021 コーヒーとミルク
僕のおじいちゃんは、いつも珈琲に少しだけミルクを入れる人だった。
僕を楽しませようと、少しかき混ぜて渦を作り、そっとミルクを流し込む姿が、こどもの僕にはカッコよく見えた。
中学生の頃、塾の帰りには友達の阿部くんと、いつも缶コーヒーを飲んだ。ジョージアの赤いやつ。
「やっぱり赤だよね」阿部くんがそう言うもんだから、僕も「赤だよね」と答えた。正直、コーヒーはいつも苦い。
高校生になって購買横の自販機で缶コーヒーを買った。
一緒にいた友達に「やっぱり赤だよね」って自慢げに伝えたら「コーヒーよりコーラがいい」って。
今、僕はコーヒーが大好きだ。
おじいちゃんを真似して入れるようになったミルクとも、いつの間にかお別れをして、「缶コーヒーなんて飲めないや」なんて言いながら、毎日豆を挽いている。
ミルクとはお別れしたけど、誰かと喫茶店に入った時には、たまにミルクを入れる。ティースプーンで渦を作りながら。
その姿がおしゃれだなって、いつか言ってもらえると思っているけど、今のところだれも言ってはくれない。
僕のおじいちゃんだからだな。
かっこよく見えたのは。
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-もの-
TIMEMORE NANO
TIMEMOREという中国のブランドが今の一押し。
ハンドルが曲がって小さくなるから出張にも持って行ったり。
粉の大きさが均一に轢きやすいから、僕のような素人でも味が安定しやすいんだよね。ミルクを入れるのがもったいないなってくらい美味しいコーヒが入れられるから、おじいちゃんにも飲ませてみたかった。
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