タカツカタ

庭師を目指していたはずが、気づけば広告業界の人に。 あれれ?現在はIT系の会社でCCO…

タカツカタ

庭師を目指していたはずが、気づけば広告業界の人に。 あれれ?現在はIT系の会社でCCOをしています。 文系男子なのに、人生不思議なものですね。 Noteではエッセイ的なものと、それにまつわる物について二本立てで連載しています。

最近の記事

085 ニッポン語。

「ちばーーー!!!!」 数人の友人たちと居酒屋に行った時のこと、お酒に酔った女の子が突然、天井に向かって声をあげた。 チバユウスケを敬愛していた彼女らしい酔い方で、かわいいなって思う。 それにしても「ちば」という二文字だけで、多くの情報が共有できるなんて、 共通の言葉を持っているって、なんて便利なんだろう。 *** 伝えたい内容を直接的に表現するのではなく、推測される意味を通して間接的に伝えることを含意法って言うんだって。 例えば「窓を閉めて」という言葉を使って「

    • 084 まとめることについて

      東京へ向かう新幹線は前日の予想通り、積雪によって徐行運転をしている。 さきほど到着時間が1時間の遅れる予定だと社内アナウンスがあったが、1時間早い電車に振り替えていたので、僕に焦る気持ちはない。 ただ、電波の悪い新幹線では1時間がいつも以上に長く感じる。 あぁ、お弁当を買って乗ればよかったな。 *** 今日のことなんて、記憶の中では「あの日の新幹線は遅く東京が遠かった」程度にしか残らないのだろうし、こうして記録していなければ忘れてしまう日常だろう。 記憶なんてそんな

      • 083 言い訳、本当に良いわけ?

        寝ぼけたままで見た朝の情報番組で、今日から3月並みの暖かい日が続くのだと天気予報士が伝えていた気がして、少し薄着で外に出た。 あれ?ちゃんと寒い。 一度帰って服選びからやり直そうとも思ったが、会議があることを思い出し、寒さに抗いながら駅へと向かった。 きっと同じ番組を見ていたんだろう、同じように薄手の人たちが数人いて、少し安心する。 「服選び間違えたのは僕だけじゃないんだ」。 自分が寒さに震えていることはかわらないのに、「僕だけじゃない」という言い訳は、どこか力強い

        • 082 働くことについて

          2011年の春頃は平々凡々な会社員として、会社に言われるがままに東京の勝鬨で暮らしていた。 夢だった専門職として入社したはずの会社ではコミュニケーション力がもてはやされ、個人の思いとは裏腹に総合職へとキャリアアップ。住みたくもない東京でやりたくもない仕事があてがわれる毎日に、半ば諦めのような感情を抱いていた。 そこに起きたのが東日本大震災。 埋立地である勝鬨は地震で大きく揺れ、歩道は捲れ上がり、スーパーマーケットからは商品が消えた。 被災者になる経験ははじめてだったけ

        085 ニッポン語。

          081 スパイスのように

          「毎日カレーを作っていると、舌が慣れてどんどん辛くなっていく。だからこそ、スパイスの量は感覚ではなく毎回計ることが大切なんだ。」 そんな話をあるカレー屋さんがしていた。 その話を聞きながら、「どこか人生のようだな」なんて思った。 毎日、変化のあるような刺激的な生活をしていれば、その刺激にも次第に慣れてしいくし、人が羨むような華やかな環境に身を置けば、それすらも日常になってしまう。 誰かの優しさや愛情に対する感謝ですら慣れてくれば物足りなく感じるし、逆に、好きな気持ちが

          081 スパイスのように

          080 写真もしくは僕のこと

          今まで書いたnoteのタイトル画像の振り返り。 本文とは結びつかない、写真一枚の思い出。 ※写真をクリックすると記事に飛びます *** -もの- LUMIX DMC-LX9 普段の生活では 大きな一眼レフを持ち歩くのをやめて、 iPhoneばかりで撮影していたけど 最近はこのコンデジを持ち歩いてる。 最近の機種と比べたら映像の性能はかなり劣るけど こと写真で言えば変わらないんだよね。 少しアナログなグルグリ感、 やっぱりカメラは楽しいなぁ。

          080 写真もしくは僕のこと

          079 Just wanted some snacks

          01 白 自宅で、あの黒い生き物を見つけると、僕たちは問答無用で殺しにかかる。 なにか特別に悪いことをしていた訳じゃない。 黒光った色と、わらわらとしたあの動きで、ただそこにいただけである。 でも、ここは僕の家、自分の領土。 僕の目の前に嫌いな姿で現れた、ただそれだけでやつらの存在は死に値する。 02 黒 僕たちは殺される。 ただそこに生まれ、お腹をすかしているだけなのに。 「確かに人のものを盗むことはダメなことだけど、それだけの理由で残虐に殺していいの?」

          079 Just wanted some snacks

          078 どこかの誰かに

          「今日の会議のアジェンダをお送りしますね。」 いつもなら前日に送られてくるはずのアジェンダが、会議の30分前に送られてきた。作ったのは取引先の担当者Aだ。 こちらとしては、今日の会議にかけたい議題として、その「Aの行動からくるチームの不協和音の解決」というお題を、彼の気に触らない程度にやんわり提案していたのだが、内容を見る限り議題が溢れ、そんな話をする時間的余裕はないようである。 この話は次回に先送りしよう。 その日の会議は、Aのファシリティーション力もあってスムーズ

          078 どこかの誰かに

          077 70.5点の領域

          パスタと料理 父が料理人だったからか、はたまた母も調理師免許をもつほどの料理好きだったからか、僕もある時から料理を趣味にするようになった。 きっかけは一皿のパスタ。 出張先でたまたま食べた「茄子と厚切りベーコンのアラビアータ」が美味しくて、大阪に戻ってからパスタ屋さんを何軒か探した。 それでもぴったり食材のパスタなんて見つけることができず、しかたなく自分で作ってみようと思い立ったのだ。 パスタ作りは意外と簡単で、一度作り出すと、次々に食べたいパスタが頭に膨らむ。 「

          077 70.5点の領域

          076 今は1日の終わりか始まりか

          0:00 お風呂に入ろうとお湯を溜めたのが3時間前。 設定温度である40度を維持するために、何度か追い焚きをしている音が聞こえる。 エネルギーを無駄にしている自分に呆れつつも、ソファから起き上がる気力もなく、興味を持てないバラエティ番組を観ている。 あぁトイレに行きたい。 0:50 小便をもよおしてから1時間が経とうとしている。 そろそろ眠りの準備をはじめないと昨夜の二の舞だ。 それにしても、睡魔で便意が我慢できるのが不思議でならない。あと大人になっても漏らさないのも不思

          076 今は1日の終わりか始まりか

          075 人を好きになる

          「好きです。付き合ってください。」 僕たちは交際したい相手がいる場合、必ずと言っていいほど「告白」という儀式に臨むが、意外にもこのような告白の文化は世界的に珍しいそうだ。 欧米では「Dating」という、友達以上恋人未満のお試し期間を経て、自然な流れでカップルになるのが当たり前で、告白とは結婚のためのプロポーズという認識だそう。 普段のコミュニケーションだけを考えると、欧米人の方が物事に白黒つけるイメージがあるし、反対に日本人の方が曖昧な表現を好む印象があるはずが、こと

          075 人を好きになる

          074 頭上権

          電車で一度、頭上の権利を主張されたことがある。 僕はその日、出張で東北へ向かうために大きなリュックを背負い電車に乗った。 朝の通勤ラッシュまでは1時間ほどの余裕があったのだが、車内の乗車率はそれなりに高く、背負ったリュックが誰かの邪魔になりそうだったので荷物棚へリュックを置いた。 そこで頭上の権利を主張されたのだ。 「おい、ここは俺が座ってるんだから、上に荷物を置くのは失礼だろう!」 突然のことにびっくりしながら、真下の座席を確認すると、まっすぐにこちらに視線を向け

          073 こんなはずじゃなかったのに

          大学生の頃、母の誕生日に感謝の気持ちを伝えようと電話をかけたら、体たらくな生活について小言を言われ、ついつい言わなくていいことを言ってしまった。 こんなはずじゃなかったのに。 明日は早いから一杯だけ呑みに行こうと酒場に向かったら、たまたま居合わせた人と会話が弾み、ついつい呑み過ぎて終電を逃したことがある。 こんなはずじゃなかったのに。 好きな女の子の声が聞きたくて電話したはずなのに、相手の面倒くさそうな口調に勝手にイライラし、過去の行動がどうだなど、ついつい相手を否定

          073 こんなはずじゃなかったのに

          072 今日がはじまる。

          街が目を覚ますより少し前、僕は一度、眠りから覚める。 2階にある寝室から、寝ぼけた身体が階段の踏み板を外さないよう、一歩一歩慎重に階段を降り、1階のトイレに向かう。 トイレを済ませたら、洗面台で軽く口をゆすぎ、冷蔵庫から取り出したお茶で喉を潤し、そしてまた布団に戻る。 ここからはボーナスタイム。 二度寝の時間がはじまる。 そして、このタイミングで僕は夢を見る。 夢とは不思議なもので、記憶の片隅にぎりぎり残る女性が妻になっていたり、どちらかと言えば関係がうまくいって

          072 今日がはじまる。

          071 モテを装う

          女性に必要とされる男になるためには「余裕」を装うことが大切なんだって。 「俺には君しかいない」と一直線な男は、「君」に嫌われまいと余裕のない行動をするらしい。 LINEの返事が来ないと夜な夜な悩んだり、優しい人でありたいと尽くして尽くし過ぎたり。 すべての行動が好きな女性に向くことで、女性から見れば都合はいいがつまらない男となり、結果、便利なだけの男に成り下がるのだとか。 では、余裕のない男にならないために、どうしたらいいのか。 それは「複数の女性に対して同時にアプ

          071 モテを装う

          070 神様の勘違い

          人の気持ちを理解するには、言葉以上に表情や仕草を読むことが大切らしい。 例えばデートの集合時間に遅刻した彼氏が、彼女に「ごめんごめん」と言いながら合流するシーンを想像してほしい。 そのとき彼女から笑顔で「怒ってる!」といわれた場合、彼女は怒っていない。 「アイス買ってあげるから許して」そのくらいの優しさで満遍の笑みになるだろう。 反対に、目に炎が揺らいでいるような表情で「怒っていないよ!」と言われれば、これは確実に怒っている。「アイス買ってあげるから許して」なんて言葉は

          070 神様の勘違い