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031 57577のビバップ

友人のすすめで、かれこれ1年ほど短歌を書いている。

57577

“友人が 誘う短歌に 魅せられて 今日も世界を 切り取っている”



デジタル、特にWebの世界で文章に求められることは「情報を広げる」ことが多い。

検索ワードに引っかかるように、欲しい情報がすぐに見つかるように。

Webマーケティングを担当している同僚曰く
「見つけて貰わない限り、いい文章を書いても意味がない。」
だそうである。

見つけてもらうために、検索ワードを散りばめるのだ。文章の美しさは後回しにして。


その点、短歌は面白い。

どれだけ言いたいことがあっても、57577の31文字に収めなくてはならない。

広げたくても広げられない31文字の呪縛。

少し前に詠んだ短歌にこんなものがある。

 instagrumより @ugug_dong

夢の中で、銃を使う殺し屋と、刀を使う殺し屋が、僕の目の前で殺し合いをしていて、僕はコンテナの影に隠れて、震えながらその恐怖が過ぎ去ることを待っていたんだ。

びっしょりかいた寝汗と共に朝を迎えて、それが夢だと気づき、どっと疲れを感じたと共に、甘いものが食べたくなって、前日、友達が持ってきたホットケーキミックスと生クリームがが余っていたことを思い出して、朝ごはんにと焼いて食べたんだ。


実際はこんな朝だったけど、長くて読みにくい、どうでもいい日常である。

その点、短歌はわかりやすい。

日本人に染みついた57577のリズムで、削って削って31文字。

後は読み手の想像に託すだけ。


もしもその文章にリズムがあれば、人はそれを読み続けるでしょう。でももしリズムがなければ、そうはいかないでしょう。二、三ページ読んだところで飽きてしまいますよ。リズムというのはすごき大切なのです。

村上春樹「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」


notoをはじめて、長い文章を書くようになり、31文字の呪縛から解き放たれた。

その代わりに、文章にリズムを生み出さなくてはならない呪縛がここに。

・・・あぁリズム、僕にリズムを。

やっぱり短歌はいい。

声量は いつも満点 上手だよ リズムはだめね 音痴の叫び

中学時代、音楽の先生が「歌のテスト」で僕に伝えた言葉で一句


***

-もの-

Book:世界音痴 / 穂村弘
LP: 痛快ウキウキ通り / 小沢健二

数年前に、Book cover & LP sleeve Challengeとう日記のテーマが流行った時、僕が紹介した本とレコード。

短歌の楽しさを教えてくれたのは穂村弘さんと、音楽の楽しさを教えてくれた小沢健二さん。

特にB面の「流れ星ビバップ」は人生で出会った一番のリズム。
イントロが流れた瞬間から流れ星がビバップする。

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