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カイタイ習慣のデザインと日本茶 vol.1

新しい習慣はどうやって生まれるのか?という疑問

 相変わらず、「どうやったらリーフの日本茶が好きな人が増えるのか?」を考える毎日。
 そんな中、withコロナの日々が始まり、圧倒的な在宅時間、ファーストプレイスへの長時間滞在が始まった。これまでのお茶側のよくある言い訳は「昔に比べて、家で湯を沸かしてお茶を淹れる時間がなくなった」である。
 なんということだ、令和のある日、突然そんな言い訳ができなくなり、ポッカリと、リーフのお茶が入り込める時間ができたではないか。
 しかし、昭和の頃と違うのは、既に家でリーフのお茶を飲むという行為が、多くの人にとって習慣ではなくなったこと。つまり、僕の日本茶が好きのおすそ分けをするためには、みんなのニューノーマルに、リーフの日本茶を飲むという新しい習慣をつくりだす必要があるのだ。

 新しい習慣をつくる方法(きっかけにぶつかり、定着するための方法論)なんて考えたことない、と、途方にくれる僕の元に友人が一冊の本を紹介してくれた。

”カイタイ新書”

 なんてことだ。その著者は、かつて自由が丘で、有田焼と嬉野茶を中心においた1Dayスタンドお茶バー(私もお手伝いさせていただいた。そして楽しかった。)を企画された中川悠さんだった。
 これは何かの運命だ。読むしかない。
 そうして始まった、僕とお茶仲間の”カイタイ新書”の解体もの語りを数回に分けてアウトプットしていきたいと思う。


お花見Bar

2015年の春、中川さんとご一緒させていただいた"日本茶お花見BAR"


中川悠×三浦崇宏 

 新しい習慣をつくる方法を手を動かしながら学んでいきたい僕らの教科書となる"カイタイ新書"。その著者の中川悠さんの紹介に代えて、5月25日に開催された出版記念イベント、
● 中川悠×三浦崇宏 NEW POSITIVE ~コロナをこえて、生きていく10のルール~
の中から、特に学びが深かったところを共有させていただきたい。

 今日の記事で書かせいただくのは次の3点です。
1.withコロナ時代の消費の2極化
2.レコメンド・アルゴリズム時代の「好きのセレンディピティ」
3.人が集まる旗の立て方


Withコロナ時代の消費の2極化

 お二人のトークは、中川さんが用意した、「社会の新しい10のルール」「会社の新しい10のルール」というパネルをお題に進んでいった。

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 話が進んでいく中で、パネルの中の「エッセンシャル消費者」へ。
 withコロナ時代、これからの消費がどのように変化していくかという予測について両氏の意見がピッタリと一致した。これからの消費は、
・ これでいいや消費(必需品)
・ これじゃなきゃ消費(好き・嗜好品)
に二極化する
という予測。その間にある半端な商品はどんどん淘汰されていくというのだ。

 そしてさらに、
・ これでいいや消費はサブスクへ
・ これじゃなきゃ消費は徹底的にブランディングへ

に流れるという。サブスクは基本的にAmazon的なもので十分である一方、これじゃなきゃ消費は店舗すら販売の場所ではなくブランドロイヤリティを高めるためだけのツールとして運用して、「好き」を強くするための手を打ち続ける必要があるとの分析だ。

 関連して、これじゃなきゃ消費市場のマーケティングに関連して「市場の拡大から市場の濃縮へ」という言葉が紹介された。
 その一例として、コロナの影響による外出自粛期間、多くの飲食店が大変な打撃を受けた一方で、代表的にはミシュランの星付きのお店のような、既に一定数の常連客がコミュニティを形成している(新規顧客の開拓を行わない・行う必要がない)お店では、かすり傷程度のダメージで治っているという話が紹介された。

 つまり、プロモーションよりブランディングに資源を投入し、新規顧客の開拓よりも既存顧客の「好き」を高めた方が、これじゃなきゃ消費の戦略として正しいという話だ。

 これは、ロイヤリティ・ループを使った話において、(確か)マッキンゼーも、従来は、新規顧客開拓:既存顧客のロイヤリティ向上に、7:3で資源を投入せよと言っていたのが、近年は逆転して、3:7で資源を投入せよに変わったそうだ。
 さらに、ロイヤリティの高いファンの口コミやSNS発信は、結果として評価社会における有効なプロモーションに代わるという分析。ふむふむ。勉強になります。


レコメンド・アルゴリズム時代の「好き」のセレンディピティ

 なるほど、リーフの日本茶は、明らかに「これじゃなきゃ消費」を目指すものなのであるが(対象にペットボトルのお茶は「これでいいや消費」を目指すのだろう)、ブランディングも何も、「好き」となるきっかけがなければ、話は始まらないということになる(そんな問題意識から、日本茶の映画づくりに挑戦している)。

ごちそう茶事2


 しかし、これまでの習慣には登場しない、新しい「好き」に出会うのは、今の時代はすこぶる難しくなっている。なぜなら、YouTubeやAmazonの隆盛の中、これまでの好きの傾向を分析して、似たような好きの種をオススメしてくれる、レコメンド・アルゴリズムが発達・浸透した世の中になっているからだ。
 そんなレコメンド・アルゴリズム時代の中で、どのようにして新しい「好き」にぶつかってもらうのか、そのヒントを聞いてみたら、バシッといい球が帰ってきた。

 新しい「好き」のセレンディピティは「人とコンテンツ」が軸となる

 非常にわかりやすい事例として、検察庁法改正ときゃり〜ぱみゅぱみゅの話があった(※検察庁法改正は「好き」ではないですが、新しい興味対象の発見という意味で説明)。
 もともと、音楽やファッションが「好き」な人が、その入り口から、きゃり〜ぱみゅぱみゅという「人」を好きになる。そして、きゃり〜ぱみゅぱみゅという「人」の言動を好きで追いかけていると、検察庁法改正という、およそその「人」をフォローしていなければ出会わなかった興味関心の対象にぶつかる。
 これを「好き」なものとのいい偶然に置き換えたのが、
新しい「好き」のセレンディピティは「人」と「コンテンツ」が軸になる
という話だ。

 「コンテンツ」の方も、僕が所属しているコルクラボで、宇宙兄弟が大好きな人たちが繋がり、そこから派生して新しい「好き」が生まれるのを自身の目で見ているので、全然違和感なく納得した。

 そうなのだ。リーフのお茶の場合はそれ自体が「コンテンツ」だが、コンテンツ(お茶そのもの)を軸にした場合、(既にお茶が好きな人が集まるのであるから)セレンディピティは期待できない。だから、
「人」を軸とした「好き」のセレンディピティを追求する、その一択になるのだ。
ここ最近、なんとなくモヤモヤ思っていたことがスッキリと言語化できた。感謝。
 ということは、お茶の好きを広めたい人が、自分の顔と名前を出して、全人格で勝負していくしかないということ。しかし、一人で戦うのはいろんな面でしんどいから、そんな「人」が集まりコミュニティをつくって、協力や共同ができる場づくりも必要だと改めて確認。

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人が集まる旗の立て方

 最後に、両氏の対談の中で、「旗を立てる人にしか人は集まらない」という言葉が出てきた。それは何となくそんな気がする。しかし、難しいのはその旗の立て方なのである。そんなわけで、人が集まる旗を立てるためのコツを聞いてみたところ、これまバシッとストライクを投げてもらえた。

 人が集まる旗を立てる際には攻めと守りの両面を考える必要がある。
攻めは、まず、自分がワクワクする旗を立てること。そして、実現しないくらいの大風呂敷を広げること。
守りは、最初から入れない人がいないような旗を立てること。

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 自分がワクワクするというのは、考えすぎるとつい忘れてしまうことなので改めてテイクノート。そして、「実現しないくらいの大風呂敷を広げること」というのが面白い。理由は、「実現してしまうと、旗を畳まないといけなくなる」から。」確かに駆け寄りたくなる旗は、ワクワクドキドキするけど、言われてみれば実現しないものである気がする。笑
  それが絶妙な旗なのだ。
 そして、最初から入れない人がいないような旗を立てること。大きくて野心的な旗を立てる時でも、傷つける人がいないか心を配りしながら、繊細に旗を立てるということだろう。大胆かつ繊細に。そして自分がワクワクする。
 じゃあ、自分はどんな旗を立てるか。これはこの夏の宿題にしよう。ワクワク。


 "カイタイ新書”を読むモチベーションも俄然上がったところで、次回からは、本と対話と実戦の記録をnoteしていきたいと思います。
 ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。感謝。





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