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「北海道はでっかいどう」は名コピーだ

図書館でキャッチコピーの本を借りてきた。様々なキャッチコピーが掲載されている本である。

読み進めていくと、本に鉛筆で線が引いてあった。「北海道はでっかいどう」に確かな鉛筆の跡がある。

線が引かれている箇所はそこが唯一だった。
それほど胸に来たのだろうか。それなりのマナー違反を犯してまで感動を刻んでいる。

私は「北海道はでっかいどう」を特に良いとは思わなかった。先入観を持っていたせいかもしれない。

私はこのコピーを村上ショージのギャグとして認識していた。主にスベり芸として使われている印象だ。

元は広告コピーだとは知らなかった。「村上ショージのスベリギャグである」という先入観がこのコピーの評価を不当に低くしていたのかもしれない。

出来るだけフラットな気持ちで、改めてコピーを見た。

なぜ唯一これだけに線を引いたのか。やはりわからない。他に素晴らしいコピーはたくさんある。

「北海道はでっかいどう」に線を引くなら、他のコピーにも線を引くべきだ。

いや、やっぱり引くべきじゃない。例え素晴らしいコピーがあっても、図書館の本に線を引いちゃダメだ。

線を引いた人物は、北海道出身か村上ショージの大ファンしか考えられない。

村上ショージ的な事象に遭遇するとマーキングせずにはいられない。村上ショージの狂信者である。

そんな奴いるわけないので、やはり北海道の人だろうか。

私は山形県出身だ。「山形県はガタガタだ」みたいなコピーがあったら思わず線を走らせてしまうのだろうか。私は走らせないと思う。私の郷土愛は強い方である。それでもそんなダジャレには走らせない。線を引いたのは、北海道の人でもなさそうだ。

線を引いた人物は何者なのか。私はある重要な事実を思い出した。「明石家マンション物語」である。今から20年前のテレビ番組だ。

その番組には村上ショージが出演していた。そして村上ショージの熱狂的ファンが登場した放送回があったはずだ。村上ショージのファンは存在するのだ。

そのファンは、独自の村上ショージギャグをいくつか持っていた。「独自の村上ショージギャグってなんだよ」と思われるかもしれない。文章に起こしてみて、私も同じ意見を持った。

村上ショージのギャグに影響を受けて作ったギャグと解釈してほしい。

番組ではファン独自のギャグの他に、村上ショージのギャグ「やめて右手左手」も披露していた。

村上ショージと一緒に「やめて右手左手」を披露し、ファンが泣くシーンはあったかどうか忘れた。たぶんなかったと思う。

私はその放送回を楽しく見た。次の日学校で「昨日の村上ショージも面白かったよな」と友人たちと話し合った。我々もまた、村上ショージのファンだったのだ。

友人の菊間くんは、独自のギャグも持っていた。

「じゃねくて、じゃねくて、ジャネット・ジャクソン」である。

このギャグは「〇〇ではなくて」といったような否定をしたいときに使う。どことなく村上ショージの影響がうかがえる。

菊間くんはまあまあ倫理に欠ける男だったので、線を引いた犯人は菊間くんかもしれない。そして最後にもう一度いっておこう。

「村上ショージのファンは存在する」

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