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あやうく稀代のジゴロになりかけた

初デートでディズニーランドへ行くのは、オススメできないとよく耳にする。

その理由としては、待ち時間の長さが挙げられる。

ディズニーランドでは、ことあるごとに待ち時間が発生する。そして長い。

初デートの段階では、待ち時間中の会話がもたなくなる。お互いがストレスに晒さらされる時間が長くなり、機嫌も悪くなる。そうなると、お互いに良い印象は持ちにくい。

この理屈を聞いたとき、私は「初デートではディズニーランドへ行くしかない」と心に決めた。

私は待つのが得意なのだ。上機嫌のまま4時間は待てる。他の男どもが根を上げ不機嫌になる中、私だけが陽気に口笛を吹いている。

また体力もあるので、相手を飽きさせないために4時間ずっと頑張れる。

ディズニーランドは、私にとっての勝てる土俵なのである。

ただ私は大変な方向音痴である。何度ディズニーランドへ行っても、アトラクションの地理関係を覚えられない。

これはデートにおいて致命的だ。スマートなエスコートができない。

方向感覚さえ備わっていれば、私は稀代のジゴロになっていた可能性がある。スマートにエスコートできる人物は、やはり魅力的だ。

私は以前、ディズニーランドでダブルデートをおこなった。私、私の彼女、私の友人、私の友人の彼女、この4人でダブルデートは決行された。

私の友人は方向感覚に優れている上、見事な計画性も備えていた。

まず最初にあのファストパスを取り、その足であそこのアトラクションに並び、乗り終わったら、あっちのファストパスを取る。

そんな計画が瞬時に立てられ、計画は淀みなく遂行されていった。これぞまさしく「できる男」魅力がある。

私といえば、ヘラヘラと友人の指示に従い、友人の駒として働いていた。

友人は、私を「イジる」のも得意だった。友人は並んでいる間、ずっと私をイジり続け、場を沸かせ続けた。

常人であれば3時間も4時間もいじられ続けたら、体力の限界を迎えるだろう。

しかしそこは体力自慢の私である。私は5時間いじられようと、6時間いじられようと元気一杯で上機嫌だった。

稀代のジゴロを産み出さないために、天は私から方向感覚を奪ったのだ。

そのおかげか「なで肩、短足、扁平足」と、ジゴロからかけ離れた見た目になっている。

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