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セカンドキャリアというスポーツ病を根絶させる方法 Vol.1

セカンドキャリアとは

競技を中心として生きてきた人が競技を辞め、その競技をほぼやらなくなってしまった時、どのようにキャリアを作っていくのか。これはスポーツに限らず、ずっとサラリーマンやっていた人が飲食店始めたというのもセカンドキャリアですし、芸人やアーティスト等も該当します。まずここでの定義は下記のような前提条件とします。

【アスリートのセカンドキャリア】
アスリート:競技を中心として生きてきた人
セカンドキャリア:競技を辞めた後どうするか

セカンドキャリア問題が生じる理由の1つとしては、文化、社会的背景にあると思います。冒頭にも述べたように何かを中心にやっていた人がそれを辞め、新しい何かを中心におくる生活に関してはどの業界でも問題視されていてスポーツがこれほどまでフォーカスされる理油はなんなのか、ここに原因があるのではないでしょうか。

体験者の分母の数や感情が理由に当たります。スポーツやっていた人が他の分野と比較して、辞めた後、落ちぶれている(ここでは感情的にマイナスに感じる状態)人の数が多いというのが考えれます。スポーツやらせると落ちぶれる確率の統計なんてものはそもそもないので「かわいそう」という感情は輝いていた選手が、落ちぶれるのを見るのが嫌だという感情なんでしょう。

体験者の分母の数は「スポーツ(部活)ばっか」だったという実体験に当てはめたり、身近にそうだった人が多いのが原因の一つです。日本では人口の半数が運動部を経験しているので約5000万人が身近にいるのです。アーティストや脱サラ、芸人と比較しても圧倒的に多いのです。

もちろん多くはアマチュアの話だが、その体験や感覚を20代、30代、40代と長引いてることが想像できて感情移入ができるからです。当然、身近にいなかった人からしたらアスリートのセカンドキャリアなんてなんのこっちゃて感覚だと思います。

以前スポーツを見たことがなく、体育以外で運動をやったことない女性に聞いたところアスリートのセカンドキャリアという概念が存在していませんでした。その女性は何が問題なのかわからない(共感できない)辞めたら違うことやればいいじゃんといった考え方です。スポーツやっているとキャリアに苦しむ人がいるという概念がないのです。

世の中のアスリートだった人への、受け入れ態勢・思想の問題もあると思っています。例え話になりますが「スポーツをやっていた人間はポテンシャルが高い」ということで体育会人間を欲している企業があるとします。その思想=世間が認識している思い込みが原因だと考えれます。

そして、その思想がアスリートのセカンドキャリアにメディアがフォーカスをしようとすることがあるということに繋がります。「あの頃の○○選手の今」のような形でネタになるからこそ、顕著に問題視されていると思います。芸人やサラリーマンの成功はよくマスメディアに取り上げあれますが、スポーツは同じくらい苦労している例にもフォーカスします。

また、乗り越えた人たちが、実体験からスポーツの経験(精神論や身体的マネジメントなど)にフォーカスしてその優位性やプロセスを話すので周囲のマインドも偏って形成されます。

アスリートのセカンドキャリア問題を無くすには?

「セカンドキャリア問題をどうにかしたいです」という発言が生まれてしまっていること自体が、あまり良くないと思います。例えるのであれば病気と一緒だなと思っています。新型の病気が流行るとワクチンを作ろうとします。ないから不安になり問題になっています。専用のワクチンが出来たら確かに、問題にはならなくなるでしょう。「セカンドキャリア問題をどうにかしたいです」という人の多くはワクチンを作ろうとします。

結論を言うと「そのような思想を無くす」というのが最善なのではないかと考えています。そもそもの病原の元を切らなければならないと考えると「教育」が病原に該当すると思います。

例えば、教員たちがセカンドキャリアに対して、何も言うことができないという現状が、セカンドキャリア問題を創出していると考えます。これは教員の多くに新卒や、もともと社会的経験が少なく、公務員しかやったことない以上、適切なアドバイスができません。

だからといって、教員のみに任せるのも違うと思いますし、そこは変えていかないといけないなと感じています。教員にそれを求めない場合、外部の"何か"に頼ることもできます。アスリートの身内、家族も同様に言える事でしょう。親の考えはそのまま子供に影響します。

ワクチン的な考え

とはいえ、ワクチンが必要な状況であるから「そのような思想を無くす」といっても予防ができず、今、病気をもってしまったアスリート、もしくはその予備軍をどうするかを考えている人も多いです。

病気にかかった(セカンドキャリアの病)アスリートたちが自分たちで治すためにはどのようにすればよいかを考えます。答えからいうと違うことをやってみるのが早いのではないかなと。私は普段から人生を変えたいなら3つ変えれば変わると言っています。

「人生を変えるなら3つを変える」
①付き合う人間を変える
②住む場所を変える
③時間配分を変える

これだけで人生は大きく変わるのですが、アスリートたちは、付き合う人間を変えることができず、同じ人といること、狭いコミュニティが当人の社会になってします事が多々あります。住む家が変わらない、生活リズムも現役時代と変わらないといったようなことが多いです。結果的に人生が変わるわけがない、という状況です。

ちょっとした変化であれば海外に行けば考え方なんてすぐに変わりますし、田舎の人だったら都会に出るだけですぐ変わります。付き合う人間に関しても同様で、アスリート同士で常々一緒に居たら頭を使う機会なんてそうそうないので知識は狭くなっていきます。本田圭佑選手は確実にチームメイトよりもそれ以外の人と関わっている時間の方が長いと思います。


3つの問題

【3つの問題】
①:セカンドキャリア予備軍をどうするか(予防)
②:①させないための予防(根本を無くす)
③:今セカンドキャリアに悩む人達の解決(治療)

病原菌を無くすのか、予防するのか、治療するのか。根本をなくすところに力を入れていきたいなと考えています。正直なところ、③は諦めています。当事者は「我々は被害者だ」と言ってもしょうがないかもしれません。だからこそ、気を付けなければならないのは”自分たちがウイルスを充満させてはならない”ということです。

大人になった人たちが子供に対してセカンドキャリアに関することを何も言ってこなかったということ、アドバイスができなかったということです。あるいは「勉強しなさい」もあれば「スポーツに集中すればいい」など偏った考えまたは抽象的なアドバイスがありました。「銀行員なれ。公務員なれ。」といった安定を求める声等が、適切なアドバイスでありません。

”部活動”、”推薦”という教育システム自体が「勉強しなくても良い」というような現状を生んでいます。ヨーロッパの方で考えるとクラブチームに所属しているからこそ、学校で勉強しなくて良いというような風潮は生まれにくいです。スポーツが得意な選手は”推薦”という制度があるからこそ、「勉強をしなくても良い」といったような考え方になります。

「勉強しろ」と言われていましたが、全然しなかったですよね。私も学校のテストの勉強はしていましたが、ずっと推薦で進学できると思っていたので、まさか一般受験をするとは思っていませんでした。だからこそ、”推薦”というシステム自体が要らないのではないかと思うこともあります。

それでも”推薦”を完全に無くしてはいけないケースもあります。友達にもいましたが”スポーツをやっていたからこそ道を外さずに済んだ人”がいるのも事実です。スポーツのおかげで全うに生きることが出来た。こういう人達から”推薦”をとってしまった場合、学校に入れない・就職できない・グレてしまう、最悪のケースだと犯罪者になってしまうとかは海外でもよくある事例です。

アメリカの事例から考えてみると、アメフトを始めたことによって更生し、真っ当な人生を送ることが出来た選手がいれば、途中で道を踏み外しアメフトを辞めたことで今生きているのかすらわからない選手もいます。資本主義的な考え方で、”部活動”・”奨学金”という制度で生き残るというアメリカ的な考え方が日本に通用しているかというと実際のところ何とも言えません。できた制度と継続する意義は全く持って違うからこそ、考え直さなければならないと思います。

これらは大人たちも悪いなと思っていて、自分たちが「学生にとって部活動が全てだ」というような考え方で生きてきたからこそ、それをどこか押し付けないにせよ、伝えてしまっているようにも思えます。どうしてもそれが正しかったと思いたいからこそ、考え方をわざわざ改めようともしません。

私も部活ばかりやっていましたが、部活ばかりでなく、好きなことをやれば良いと思う派なんですが、好きなことが部活くらいしか思いつかない人は当時は多かったと思います。現代は「Youtuberになりたい」みたいな子が増えているようですが、変わらずやってみれば良いんじゃない?と思います。自分で始めてみて、継続することで何か学ぶことがあるし、自分の才能に気付くかもしれない。そうやって成長していくべきなのかなと思います。

根本を改善するにはどうするべきか?

セカンドキャリア予備軍に向けて発信すると、セカンドキャリアっていうのは何もやってこなかった人間を優遇するという話ではないということです。

社会の中でスポーツやっていた人は過去のステータスが高かったからこそ、勝手にそのように思われているだけで、単純にバンドやっていた人はセカンドキャリアの問題にならないの?といえばそんな事はありません。スポーツもバンドマンも一緒、キャリアというのを表現したのがスポーツという母体が大きいものだったというだけで、これは誰しもが当てはまるキャリアの問題ですね

更に大枠で考えていくと、元の情報量が圧倒的に欠如しているので、そこを提供していく必要があるかなと思います。親・兄弟・先生がキャリアに関して一つのことしか知らないとなったら、子供はその生き方しか知ることは出来ないですよ。

親が自営業・経営者の子が起業する確率が高いと言われてるのもそういう理由だと思っています。実際、私は親がサラリーマンでしたが高校の途中までは実業団チームに入って、サラリーマンをしながらバスケをしようみたいな考えでした。それしか知らないからこそ、そんな考え方になっていました。

アスリートが「それしか知らない」以上に周囲も「それしか知らない」が大きな課題であり、そこを解決しなければいけません。そのためには大きなボトルネックがいくつかあります。


続きは次回のVol.2で...




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