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スポーツビジネスの第○線

スポーツビジネスにおいてターゲットは誰かという目線でスポーツビジネスへの関わり方をまとめてみました。誰をターゲットにしてビジネス(課題解決の仕組み)をするのか、そしてマネタイズはどうするのかについて書いてます。

まずスポーツビジネスはプロスポーツに限定するものではなく、業界がどうこう偉そうにマウントとったり、スポーツビジネスはこうゆもんだ的なポジショントークもしません。スポーツに関わる何かしらのものを売って、収益を上げているならば、それはすべてスポーツビジネスと定義しています。その曖昧なスポーツビジネスを少し私なりの視点で分解してみました。

スポーツには「する人」「みる人」「支える人」がいますが、スポーツビジネスを展開する人はほとんどが支える人です。スポーツは当然ながらプレイヤーである「する人」が確実に必要なので、彼らをスポーツビジネス第0線として考えると「する人」の課題を解決するというのが第1線として考えます。

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「する人」の課題を解決する場合、対象は完全にtoC(Consumer)向けになります。「する人」はどんな課題を抱えていて、その数だけビジネスチャンスがあり、その課題を抱えている人数の数だけマーケットがあり、その解決にかけるお金が大きいほど市場規模が大きくなります。

スポーツビジネスはエンタメビジネスだというのであれば、プロスポーツのように見ている人を楽しませる娯楽だけでなく、楽しみ、気分転換、気晴らし、遊び、息抜き、レジャースポーツといったDoスポーツをする人の数だけビジネスの可能性があります。

ニーズではなくペイン

課題解決するうえでビジネスにおいて大事なのはマネタイズです。スポーツビジネスにおいて、新しい収益の仕組みを作ることを目的とする場合「顧客ニーズ」だけでは弱いということを念頭に置いて考えください。

顧客ニーズは「あれば便利」というレベルなので、本当にそのニーズを「対価を支払ってでも解決したいかどうか」を基準に考えます。「あれば便利」の顧客ニーズを解決するために、新規サービスのアイデアを出すというのは実はかなり危険です。

新規事業のアイディアを出す場合「顧客のペイン」を考えます。ペイン(痛み)は「お金を払ってでも解決したい」ですよね。人は痛みを感じていればを取り除くためにお金を払うというわけです。

たとえば「洗濯が面倒くさい」という人がいて臭いは取りたいが洗濯はしたくない、つまり洗濯という行為がペインで、洗濯ができないユーザーはその痛みに耐えていました。そこにファブリーズが登場し、洗濯しないといけないというペインを一吹きで解消することができます。「洗濯が面倒くさい」をお金で解決する手段を提供したことで市場に受け入れられヘビーユーザーが出現しロングヒットとなりました。

味の素のCookDoは時短料理として手軽においしくつくれる商品ですが料理そのものの手間を省くだけであれば冷凍食品や出来合いの惣菜でもかまわないはずです。しかし、CookDoが年間500億円ほどの売上がある理由は主婦の「手抜きと思われたくない」というペインを解決しているからです。冷凍食品や惣菜では、家族に手を抜いていると思われてしまい、手料理だと面倒だし、時間もないので難しいため、手抜きと思われたくないが手料理はできない主婦のペインに対して材料を切って入れるだけで料理が完成するという解決策を提供しました。主婦に野菜などの下準備をしたと感じさせ、手抜きではないと納得させつつ、時短を実現しています。「ママの料理してくれた」「妻の手作り」と思われたいがゆえに、このペインに主婦はお金を払って解決しています。

ペインの解消には中毒性があります。例えば上記の商品も一度使うと、そのまま使い続ける傾向があるものです。スポーツビジネスにおいてはペインはなかなか表に出てきません。いや正確にはあるのですが、ビジネスの条件として市場があるものをかなり見つけにくい業界でもあります。

ペインとゲイン

減らしたい(排除したい)要素がペインとすると、増やしたい要素のことをゲインといいます。新規のサービスを考える際は、ゲインをサポートするものなのかペインを排除するのか、はたまたその両方なのかを明確にしておくことがポイントです。

スポーツビジネスにおいて、ユーザーが何かしらにおける満足度をあげたり、目的を達成することができるサービスは需要が高いとされています。そもそもスポーツとは一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体運動の総称のことですので、ペインよりもゲインの機会が多いからです。

ゲインは新たに得られる恩恵のことです。「機能的、社会的、感情的」3つの恩恵に分けれます。

機能的:具体的な行動や状況
社会的:まわりからの評価やステータス
感情的:個人の感情や気分

ペインとゲイン、究極的に人はこの2つにしかお金を支払いません。スポーツビジネスでも同じです。特に、人類の歴史はペインを取り除く歴史でした。やはりペインの方がお金を払ってでも取り除きたいものなのでビジネスとしても強いです。痛みは嫌いですし痛いままにしないからです。

人は「全ての煩わしさを取り除くこと」と「自らの価値を大きくしてくれること」に対価を払っているわけです。これから訪れるであろう世界ではなによりもこの自らの価値を大きくしてくれることへの願望が力を持つようになります。しかし、ゲインは短期的には非常に効果が見えづらいため作り出すのは至難の業でもあります。

誰から、いくら貰うのか

ターゲットとなる顧客が「お金を払ってでも解決したい」場合、ダイレクト課金、つまり解決した相手からお金を受け取ります。しかし、ペインを抱えている人数の数だけマーケットがあり、その解決にかけるお金が大きいほど市場規模が大きくなるので市場規模が小さいがよくあるパターンです

これはビジネスモデルを変えるか、ペインとゲインを両方やってダイレクト課金の単価を上げるなどをしなければいけません。スポーツの課題は正直たくさんあります。その課題を解決するのに1万人が1万円を払ってでも解決したい課題を解決した場合1億円です。500円を20万人でも1億円です。100人しかいなければ100万円もらわないといけません。

だれの課題を解決してだれからお金をもらうか、そしてその市場はどれくらいなのかを理解したうえでビジネスを考えます。私は起業家なのでこの部分の感覚が当たり前にありますが、スポーツビジネスがどうこう関係なく、ビジネスにおいては当たり前なのでしっかりと認識してください。

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「支える人」を支えるビジネスを第2線とします。弊社もここに当てはまる事業をしています。する人(第0線)の課題を解決する第1線の「支える人」を支える仕事はtoCとtoBの両方があります。実はプロスポーツしかり、企業しかり、第1線をサポート、課題解決しようとする会社が増えてきた印象です。

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スポーツには「みる人」がいて、観客や放映権など様々なビジネスが動いていますがスポーツをみて楽しむ領域もたくさんの課題、可能性はあります。スポーツの観戦市場は約8500億円あります。現地でのリアル観戦やオンラインでの観戦など、箱の収容率を考えてもまだ伸びますし、観戦の体験にはペインもゲインも沢山あります。オンライン観戦市場もまだまだ伸びていく市場なのでこの第3線でビジネスを考えるのも面白いと思います。

労働集約?レバレッジは効く?初期費用は?利益率は?スポーツビジネスに限らず考えなければいけません。マッチングなのか、D2Cなのか、SaaSなのか、メディアなのか、箱物ビジネスなのか、広告代理なのか、様々ですがそのドメインがスポーツというわけです。スポーツ業界の”特有さ”はもともとどの業界にもあるソレと変わらないです。

スポーツビジネスをやりたいのであれば、あなたは誰のどのペインを解消できる人ですか?それとも誰のゲインをサポートできますか?ただやりたいではなく何ができるのか?雇われて、言われた事をするにしてもあなたは何ができるのかを問われます。まだ決まってない人はターゲットを決めて第何線で関わりたいのか、そのために必要な知識、スキル、経験値は何かを逆算しましょう。

自分にしか発信できない、スポーツに関わる全ての方にとって役立つ情報をGiveし続けたいと思います。