![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127225032/rectangle_large_type_2_09f5c411808cf70072a3a054a4f0f7e3.jpeg?width=1200)
マジックアワー
いつも通っていたはずなのに
見慣れていた景色のはずなのに
街が変わってしまったのか
自分が変わってしまったのか
久しぶりに訪れた街は
自分の茜色に染まり
少しこじんまりと見えた
県境に架けられた橋は
車の往来はあれど
人の行き来は微塵もない
いつしか食べたラーメン屋の前には
営業中の看板が立てかけられてはいたものの
少し薄暗く人の気配はない
大して旨かった記憶もないし
まずかった記憶もない
ちょっとセンチメンタルな気分になれど
その扉を開く勇気もない
そうして時を過ごしていく中で
いつの間には営業中と書かれた看板はなくなり
その扉を開く事は二度となくなってしまった
昔見上げていたバス停の時刻表は
いつしか屈んで見るようになった
久しぶりに見るその風景は
押し入れから出てきた写真のように燻んでいる
ただ橋の上から見る自然の美しさは
過去よりも鮮明で雄大で
力強くそこにあった
この記事が参加している募集
劇団での企画や、自分の企画の制作費として有難く使わせて頂きます。髙頭祐樹がやりたいことを出来るだけ多く皆さまに届けられるように色々と作っていきたいと思っています。