ASD者の偏食を改善するためのイタリア流のアプローチとは?
ASD(自閉症スペクトラム症)の人は感覚過敏な点で生きづらさを抱えていると言われています。そのため食事に関しても独特のこだわりがあり、得意な食べ物、不得意な食べ物が明確に分かれていると言われています。
ASD児を育てる親御さんから食育の相談を受けることが結構あります。子どものために・・・と思って栄養満点の食事を用意しても中々進まない。それどころか全く口をつけないということで悩まれているケースも少なくないですね・・・。
せっかく作った料理。もったいないから親が食べたり、食べきれない場合は廃棄せざるを得ない。さらに外食の際に、子どもの偏食傾向を把握していないとどれが子どもにとって適切なのかわからない。中々苦労します。
ASDの特性を有したまま成人になってしまうと食事に関する偏食を是正するのも中々困難。結局ジャンクフードや糖質過多な食材を好む傾向があり、栄養面でのバランスが崩れ肥満になってしまうというのは世界共通の問題点でもあります。
その一環で色々と調査をしていたのですが、なかなかに興味深い論文に出会いました。
イタリアからの報告で、ASD成人22名を対象にイタリアの財団がASD者の栄養面をサポートするプログラムを立ち上げ、それを検証したものです。
この論文に目を通してみたのですが、イタリアでも同様に、ASD者は高カロリー食を好む偏食傾向があり、過体重や代謝性疾患のリスクが高いという問題を抱えていました。
そこでASD成人向けの「栄養や感覚ニーズ」を満たす食堂メニューを考案。その検証試験として例数は22名と少ないですが、ASD成人の偏食を軽減できるか?また栄養面のサポートはできないかどうかを研究しています。
結果としては、ASD成人に受け入れられやすい食事の特徴として、
✅長いパスタでなく、短いショートパスタ(マカロニやペンネなど)
✅白い色合いの食べ物
✅今まで使っている同じ皿で色合いが均一なもの(色鮮やかでない)
✅緑色基調の野菜(黄色などの野菜は嫌う傾向)
✅柔らかい食材(固い食材は拒絶する傾向)
✅淡白な臭いの魚(サバなどの強烈な匂いはNG)
✅苦味や酸味がないマイルドな味を好む
✅玉ねぎやスパイシーな調味料を嫌う傾向
ということがわかったようです。
そこで上記の内容を是正するメニューを考案。
💡大栄養素の配分をよくするために、野菜や野菜のソースで味付けした料理
💡豆類、魚、白身肉をベースにした料理
💡チーズの量を減らしポテトなどの代わりに季節の野菜を使った料理
💡単色の料理(サフランのリゾット、かぼちゃスープ、えんどう豆のクリーム煮など)で整える
💡柔らかい食感で色や香りの強くない料理
💡咀嚼しやすいようにダイスカットや皮なしの果物を用意
これらを取り入れることで、食物摂取量が増え、栄養面でのスコアが改善したとのことだった。
今までの研究はどちらかというとASD児向けの研究が主体だったが成人向けの研究は珍しい。食に対する固定概念を持っている成人に対しても有効であったということからも、これらの特徴を各国の食材や料理に当てはめて検証してみたら面白いのかもしれない。
野菜や果物の接種は、ビタミンAとC、葉酸、ミネラルを補える。特にASDや食物選択性のある人に不足しがちな鉄や亜鉛などのビタミンの摂取量を増やすことができるというのは大きいところ。
特性を逆に利用し、得意な料理や食材を増やす戦略はASD成人において、また拡大解釈をしてASD児にも有用であるのかもしれないね。
結果として食材廃棄や親の過食(子供の分まで食べる)ことを避けることができるというメリットを生むことになりそう。
症例数は少ないので再検証や別の国の食文化に応じた検証を積み重ねていくとより具体性を増すこともできるかもしれない。
実際にうちの子もASDの特性がありそうだが、
✅白いご飯が好き
✅淡色系の料理が好き
✅スパイシーな料理は苦手
✅パスタよりマカロニやペンネが好き
✅サバは大嫌い。臭みのある魚は苦手
✅固いものは拒絶。煮込み料理は得意
✅色鮮やかなものを見ると嫌気が差す
・・・意外と・・・当てはまっているのかもしれない・・・。
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