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【上杉隆が小室圭さんを支持する理由】弁護士に対する大きな誤解と陳腐な正義感

 小室圭さんが気の毒である。日本と米国の弁護士の職業倫理、日弁連(日本弁護士連合会)とABA(米国法曹協会)の成り立ちの違い、さらには、米国内でも、州単位で異なる資格制度という事実関係を無視して、日本のメディアに連日叩かれている様は本当に気の毒でならない。

 とくに、その職業倫理において、無知と誤解と嫉妬から、一方的にぶっ叩かれている様子は悲劇である。まぁ、なんといっていいのか、小室さんは単に、エリートバカの集合体である日本のメディア人の被害者なのだが、それにしても気の毒すぎる。フェアに反論したい際には、ぜひ日本で最もフェアな報道番組『ニューズオプエド』で行われることをお勧めする。小室さん、お待ちしてます💗

 さて、一言でいえば、今回の件も、日本と米国の異なった社会システムに起因した誤解に他ならないといえよう。だが、たびたびこうした誤解が起こるのには理由がある。それは、日本人のリテラシーというか、ものの考え方の問題でもあるのだが、「他国もきっと自分たちと同じ社会システムを採用しているのだ」という根拠なき、しかも無自覚な前提で物事を考える癖が染みついているからだ。

 日本人はいつも同じ「事故」を繰り返している。そうした悲劇は無自覚であるがゆえにより悲劇的である。もっとも始末に負えないのは、そうした「事故」を繰り返していることに無自覚なことである。

 日本のエリートを「エリートバカ」と私が呼びつづけているのはその無自覚ゆえの振る舞いを「正義」と思ってやっている愚かさにある。西洋型の真のエリートが自らの無知を知っていることだとすれば、日本型エリートはその対極に位置する。まぁ、いまの教育システムでは治らないだろう。この話はまた別の機会に譲る。

 さて、話が脱線してしまったが、たとえば非弁行為に関してニューヨーク州における弁護士は、日本のそれよりも緩い。外国法事務弁護士との協業も可能だし、報酬についても規定が異なっている。その違いをもとに考えてみれば、小室さんへの誤解の一部も解けるだろう。

 日本では、裁判官も、検事も、弁護士も十把一絡げにして「法を守る正義のエリート職業」としてしまっていることに「事故」の原因はある。確かに、その考えが正解といえなくないこともない。法に照らしてフェアな判断を下そうとする裁判官、社会正義に燃える検事、相対的な弱者を救おうと日々奮闘する弁護士は、紛うことなく存在するし、確かにそれは正義の職業といえるだろう。

 しかし、それぞれ社会的に好感を得ている職業でも、その職業倫理に大きな温度差があることにはほとんど認識されていない。とりわけ、この日本において、弁護士業に対する決定的な誤解が広がっていることに、米国ニューヨークの外資企業で働いた筆者からして、さすがに驚きを禁じ得ない。

 弁護士という職業についての日本人の大いなる誤解は、教育に拠るところが大きい。その人生に悲劇をもたらすことさえある職業知識の欠如は、単なる無知に起因することが大きい。

 今回のコラムでは、ちょっとしたリテラシーを身に着ければ、改善できる、この弁護士業への誤解について触れていこうと思う。筆者のキャリアから、また理解を助けるためにも、比較対象を現代米国社会、とりわけニューヨーク州とすることを予めご了解いただきたい。

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