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松本人志が週刊文春に勝てない3つの理由(2)

割引あり

文春砲の直撃を食らった松本人志氏だが、芸能活動を休止して裁判に注力する方針を示した。果たして、彼の選択は功を奏するか。かつて文藝春秋や週刊文春取材班と取材し、多くの記事を書いてきたジャーナリストの上杉隆が解説する。ちなみに、上杉は、週刊文春の顧問弁護士である喜田村洋一氏とは25年来の知己で、現在も顧問契約関係にある。また、松本人志の個人弁護士の田村政弘とは、2009年から始まった週刊朝日誌上での東京地検追及の取材時、並びに検察取材のまとめ『暴走検察』(朝日新聞出版)での取材対象であった。その上杉が松本人志が文春に勝てない3つの決定的な理由を示した。今回は連載2回目(次回が最終回)。

2,2023年の法改正と社会的風潮の変化:

二つ目の理由は、社会情勢の変化と法制度の改正だ。かつては容認、もしくは黙認されていた「性文化」が、#me too 運動やキャンセルカルチャーなどをみるように、時代の変化とともに許されなくなっている。根底に流れていた男尊女卑の「常識」は「性犯罪」となり、時代についていけないメディアや著名人が結果としてターゲットになっている。

世界においても、エプスタイン事件やローマ法王庁のように性犯罪に対しては厳しい目が注がれ(これら事例は児童虐待であるが)、それがいかなる権力者であれ、有名人であれ、犯罪は許されるべきではないという風潮が強くなっている。日本においても同様だ。著名人の不法・脱法行為への許容範囲は年々狭まっている。長年、黙殺されてきたジャニー喜多川氏の児童虐待だけではなく、今回の松本人志氏のパワハラ事案も、そうした流れにあるといっていいだろう。

松本人志氏の関わる文藝春秋との訴訟において、法律の観点から注目されるのは、2023年7月に施行された不同意性交等罪の改正だ。この改正は、性犯罪に対する法律の適用範囲を拡大し、より厳格な対応を可能にした。ポイントを簡単にまとめると以下のようになる。

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