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「新しい文章力の教室」まとめ

この本を選んだ理由

noteで記事を書いていると、説明過多でわかりにくい文章になったり、読点だらけの長ったらしい文章になることが多々ある。
そうした問題に対して自覚はあるものの、有効な打開策もなく、時間だけが過ぎていくといった悪循環にハマってしまう。
このままではマズイと感じ、ライティングの基礎を学ぶために本書を手に取った。

単語レベルの重複 〜2連は黄色信号、3連は赤信号〜

×「私友人会社社長本が売れているらしい」

「の」が連続してしまい「本」を装飾する言葉が多すぎて意味がわかりにくくなる。

「私の友人が勤めている会社の社長が書いた本が売れているらしい」

文節レベルの重複

×「毎朝会社に来て、机に座って、コーヒーを飲んで、気分を落ち着かせ仕事に臨む。」

文節とは文中の区切りの言葉である。
例文でいうよ「〜(し)て、」が該当する。
この文節が何度も繰り返されることで、クドくなってわかりづらくなっている。

◯「毎朝会社に来てから、気分を落ち着かせるために机に座ってコーヒーを飲んでから仕事に臨む。」

文末の重複

×「今日はあいにくの雨でした。予定していた登山も中止になりました。楽しみにしていたのに残念でした。」

文末の「〜した。」が連続することで、小学生の作文みたいになってしまう。

◯「今日はあいにくの雨で、予定していた登山も中止に。楽しみにしていたのに残念でした。」

主語と述語を意識
×「友人が「オススメのラーメンを教えて」と言ったので、かれこれ5時間リサーチしている。

主語と述語が噛み合ってない例。「言った」の主語と「リサーチしている」の主語が友人のように書かれているが、本来は違うはずなので、主語を私に揃えた。

◯「友人から「オススメのラーメンを教えて」と言われたので、私はかれこれ5時間リサーチしている。」

単文・重文・副文を理解して、係り受けを整理

係り受けとは修飾語、被修飾語のように係る言葉と受ける言葉の関係性のことをいう。

(単文)主語+述語
「私はラーメンを食べました。」

(重文)主語+述語、主語+述語
「私はラーメンを食べ、店主は私をじっと見つめていました。」

(複文)従属節[主語+述語]、主節[主語+述語]
私は店主が限定ラーメンを作るのを楽しみにお店に通っています。」
従属節=店主(主語)+作る(述語)
主節=私(主語)+通っています。(述語)

構造を把握してコントロール

重文や複文が込み入った文章は一旦単文にバラすのが第一歩。

「店主がラーメンを作りながら、『今度の特製ラーメンはカニを使うよ』と言ったので、私は楽しみにしています。」

↓(単文にバラす)

「店主がラーメンを作っている『今度の特製ラーメンはカニを使うよ』と言っただから私は楽しみにしています。」

小学生の作文ぽくなってしまった…。
ここで関係の深い文を複文でつなげる。

「店主がラーメンを作りながら、『今度の特製ラーメンはカニを使うよ』と言った。だから私は楽しみにしています。」

長ったらしくならず、かつ関係の深い文をつなげているので、構造として最適化される。
このように、込み入って複雑化した文章は主語・述語、修飾語・被修飾語の係り受けを把握し、噛み合っているかを確認する。
噛み合わせが複雑なら、単文にバラして、複文、重文でつなげて滑らかにする。

ひとつの文で欲張らない

一文が長すぎると、読者が文意を追う負担が増える。
なので、一文一義で情報を小分けにすることで負担を減らせる。

「ラーメンはもはや国民食とも言えるほど定着しており、醤油、塩、味噌といったタレの種類による分別だけではなく、喜多方ラーメン、佐野ラーメンといった地域ごとのラーメンまで細分化が広がっているが、私自身はジャンルに捉われずにその店の味で好みを判断するべきだと考えている。」

「ラーメンはもはや国民食とも言えるほど定着している。その人気ゆえに醤油、塩、味噌といったタレの種類による分別だけではなく、喜多方ラーメン、佐野ラーメンといった地域ごとのラーメンまで細分化が広がっている。しかし、私自身はジャンルに捉われずにその店の味で好みを判断するべきだと考えている。」

1文目はラーメンの定着について、2文目は細分化について、3文目は判断基準について3つの文に分けた。

余計な単語を削ってみる

「大勝軒というラーメン店は1961年に山岸一雄氏が東池袋に開業したラーメン店。そして大勝軒はつけ麺の元祖として、後発のラーメン店にとても大きな影響を与えた。さらに、山岸氏の弟子たちが日本中で大勝軒を開業することで、その認知度の向上に寄与した。」

(1)接続詞を削る
「大勝軒というラーメン店は1961年に山岸一雄氏が東池袋に開業したラーメン店。大勝軒はつけ麺の元祖として、後発のラーメン店にとても大きな影響を与えた。彼の弟子たちが日本中で大勝軒を開業することで、つけ麺の認知度の向上に寄与した。」

接続詞を見かけたら、削れないかと疑ってみる。
接続詞を省いて意味が通じないようなら、文章の流れが練れていないまま、接続詞の力を頼って強引につなげている可能性がある。流れに沿うよう見直し、それでも必要な時は接続詞を使う。

(2)重複を削る
「大勝軒というラーメン店は1961年に山岸一雄氏が東池袋に開業したラーメン店。つけ麺の元祖として、後発のラーメン店にとても大きな影響を与えた。彼の弟子たちが日本中で大勝軒を開業することで、つけ麺の認知度の向上に寄与した。」
最初の文と2文目で主語の大勝軒が重複していたので、2分目を削除。

(3)というを削る
「大勝軒は1961年に山岸一雄氏が東池袋に開業したラーメン店。つけ麺の元祖として、後発のラーメン店にとても大きな影響を与えた。彼の弟子たちが日本中で大勝軒を開業することで、つけ麺の認知度の向上に寄与した。」
最初の文の「というラーメン店は」を削除。
「という」は文章をソフトにするために多用されるが、削除しても問題ない。

(4)修飾語を削る
「大勝軒は1961年に山岸一雄氏が東池袋に開業したラーメン店。つけ麺の元祖として、後発のラーメン店に大きな影響を与えた。弟子たちが日本中で大勝軒を開業することで、つけ麺の認知度の向上に寄与した。」
とても大きな影響の「とても」を削除。
修飾語は冗長さに直結するので、ここぞという強調の場面以外は使わないほうが良い。

「ちなみに」や「余談ですが」で脱線しない

これらは文章の冗長化につながるので、いざという時以外は使わない。

言い訳の言葉を使わない。

「あくまで個人的な意見だが〜」、「違う意見もあるかもしれないが」といった逃げ道の言葉は冗長化につながるので、使わない。

「ご存知の通り」や「注目すべきは」の補足表現を使わない

補足表現を多用することは冗長化につながる。
こういう表現を使いたくなるのは話題が主題と噛み合ってないから。
構成を見直して、補足表現を使わなくても伝わる文章にしなければいけない。

「が」や「で」で文章をだらだらつなげない。

「が」逆説以外の意味では使わない。
X「関西初の二郎直系の店だが、その味は本店に勝るとも劣らない。」

◯「関西初の二郎直系の店の味は本店に勝るとも劣らない。」

「で」でだらだら文章を続けない。
X「そこの二郎は量が多いので、食べれるか自信がなかったので、小ラーメンにしたので、なんとか完食できた。」

◯「そこの二郎は量が多い。食べれるか自信がなかったから小ラーメンにしたら、なんとか完食できた。」

「など」「といった」「ほか」「ら」といった濁し言葉を使わない

AやBなどと他の要素を匂わせることで事実に対し誠実さが保たれる。
しかしその歯切れの悪さで文章自体がぼやけてしまうことも多々あるので、何を伝えるべきかを念頭に種者択一すべき。

伝聞表現は断定する

伝聞表現は説得力がなくなるので、事実や取材に基づいた話題は断定的に語っても良い。
X「佐野実はスープの素材を自らの足で探し求めたらしい。」

◯「佐野実はスープの素材を自らの足で探し求めた。」

複雑な係り受けは適度に分割する

X「毎年、多数の入場者を誇る大つけ麺博で注目の店は、ラーメン店史上初ミシュラン1つ星を獲得した巣鴨の蔦だ。」

分かりにくい文を解読するときは後ろから解いていくのが鉄則。
まず後ろから係り受けの関係を確認。まずは「蔦だ」にかかかる修飾語。

ラーメン店史上初
  →ミシュラン1つ星を獲得した
     →巣鴨の
       →蔦だ

「ミシュラン1つ星を獲得した」にも「ラーメン店史上初」という修飾語がかかっていて、係り受けが入れ子になっている。

次に主語「店は」の修飾語

毎年、
  →多数の
    →入場者を誇る
      →大つけ麺博で
        →注目の
          →店は

こちらも複雑な構造になっている。いったん「毎年、」「多数の」「入場者を誇る」と言う長い節がかかっている大つけ麺博で句点を打つ。

「毎年、多数の入場者を誇る大つけ麺博。注目の店は、ラーメン店史上初ミシュラン1つ星を獲得した巣鴨の蔦だ。」

係り受けの距離を近づける

X「なぜ、それまで常識とされてきたスープを煮立たせてはいけないというルールをとんこつラーメンは破ったのか?
「なぜ」の問いかけを受ける「破ったのか?」がなかなか出てこず、読者はストレスに感じる。

◯「それまで常識とされてきたスープを煮立たせてはいけないというルールをとんこつラーメンはなぜ、破ったのか?

複数の修飾語は長いものほど先に置く

X「研究に研究を重ね、新ジャンルの厳選した素材を使用したラーメンを生み出した。」

研究に研究を重ね、
厳選した素材を使用した
新ジャンルの
これら3つがラーメンの修飾語だが、長いものから並べ直す。

◯「厳選した素材を使用し、研究に研究を重ねた新ジャンルのラーメンを生み出した。」

主語の「は」と「が」の使い分け

「私上岡龍太郎です。」
「 私上岡龍太郎です。」

「が」は主語を限定し、「は」は様々な意味を含む表現。
「は」は「〜についていえば」と言い換えることができる。
主題を立て、それに続けて説明や判断を述べる構造になっている。
逆に主語を明確に限定したい場合は「が」を使う。

指示語は最小限に

X「一条流がんこラーメンはあまりの来客の多さに疲れ果て、ある日、店を閉めてしまった。それに耐えられなかった常連客たちは店の壁に再開を願うメッセージを書き記した。それを見た一条安雪氏は再開を決意した。」

これ、それ、あれのこそあど言葉が続くと、読者はそこに入る言葉を判断しながら読み進めていかないといけなくなり、文章が抽象化する。
こそあど言葉を極力使わないことで、文章がクリアになる。

◯「一条流がんこラーメンはあまりの来客の多さに疲れ果て、ある日、店を閉めてしまった。突然の閉店に耐えられなかった常連客たちは店の壁に再開を願うメッセージを書き記した。熱いメッセージを見た一条安雪氏は再開を決意した。」

トートロジーは子供っぽさを呼び込む

X「そのラーメンは利尻昆布、伊吹産特選かたくち煮干し、比内地鶏をふんだんに使ったラーメンです。」

主語と述語が同じだと稚拙な印象を与える。

◯「そのラーメンには利尻昆布、伊吹産特選かたくち煮干し、比内地鶏がふんだんに使われている。」

文頭1語目に続く読点に注意

X「さらに、仕上げで黄金の鶏油をかける。」

文頭1語目の直後は読点を使わないほうがスマート。

◯「さらに仕上げで、黄金の鶏油をかける。」

可能表現に頼らない

X「多くの家系ラーメンでは、卓上のにんにく、生姜、豆板醤を好きなだけ入れることが可能だ。さらに、注文時に麺の固さ、油の多さ、味の濃さを指定できる。」

「〜できる」、「〜可能だ」、「〜れる」といった可能表現は安直な印象を与えるのでなるべく使わない。

◯「多くの家系ラーメンでは、卓上のにんにく、生姜、豆板醤は入れ放題で、それ以外に注文時の麺の固さ、油の多さ、味の濃さの指定も特徴である。」

便利な「こと」、「もの」は減らす

X「ラーメン二郎のことが好きすぎるジロリアンが家でその味を再現することをジロリアンという」

「こと」や「もの」は便利だが、使いすぎると重複して文章がくどくなる。

◯「ラーメン二郎が好きすぎるジロリアンが家でその味を再現したラーメンを家二郎という」

なんとなくのつなぎ言葉を使わない。

X「私はがんこラーメンでは基本的に悪魔ラーメンを食べる。」

「逆に」や「基本的に」といった話し言葉に影響されたつなぎ言葉は論理を砕けさせる。

◯「私はがんこラーメンでは悪魔ラーメンを食べる。」

まとめ

自分が間違えそうな箇所だけを一部ピックアップしたつもりがこれだけの量だ。
文章を書く度に全ての項目をチェックするのはハードルは高いが、まずは以下の2点を心がけるだけでも読みやすい文章になるのではと思っている。

・伝わらないことを恐れて、過剰に修飾語や従属節を付け加えない。言い切る勇気を持つ。
・文章構造が複雑になったら、まずは単文にバラす。そこから複文にして、文体を整える。

その上で細かい点をざっとチェックする程度でまずは問題ないと思われる。

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