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90年代の音楽を知らないアナタへ その61 EROTICA(92)/MADONNA みんな大好きセックス!その昔、マドンナはわたしのズリネタだった。

200万枚以上を売り上げた「VOGUE」の大成功で90年代の幕開けを華々しく迎えたマドンナが次のアルバムに用意したコンセプトが、肉体的な愛の探求「EROTICA」だった。

いま思うと、この時期のマドンナにはこの選択しかなかったのかもしれない。行き着くとこまで来てしまった人気・地位・名誉。それでも彼女はまだ30代。この先のテーマとして、そして、それまでのテーマ「愛」の表現に、不足している要素は何だろうかと考えたに違いない。

80年代にも、直接的であれ間接的であれセクシーな表現はしてきたマドンナだったけど、90年代に新たな時代の空気を感じとったマドンナは、自らセックスをみせることで、自身の愛とはなんぞやというテーマを探る道へとすすんだ。

彼女のファンとして長く見続けてきたわたしの感想だと、彼女自身にフェミニズムを強く主張する意図はない。ジャーナリズム色の強いメディアや、ある種の団体からはそういった側面を支持されている所は存分にあるが、それは彼女が意図していたことではなく、結果的にそうなってしまっていたという見方が正しい。

マドンナは絶対的に自分が好きで、自分が生きたい世の中になればそれで満足な人なのだ。そして彼女は女性。超人的な野心を持って自らの道を押し進めていく彼女のアーティストとしてのあり方が、すなわち女性の解放運動と重なったところが大きい。

そして92年に発表された「エロティカ」は聴衆が噂に聞かされていた以上に「セックス」だった。年寄りには心臓に悪いのではないかというほどの衝撃的でショッキングなニュースとして世界中を駆け巡った。

ミュージックビデオでは、白人、黒人、ラテン系、紳士淑女、ゲイ、SM、乱交などなど。考えられるありとあらゆるセックス表現が映像としておさめられていた。

マドンナ曰く、これはすべてファンタジー(ロマンス)で、みんなが頭で妄想しているものを具現化しただけ。これを誰も否定できないし、見たいものを見せているだけ、と強気。そして、終には写真集発売という特大の衝撃が待ち受けていた。みんなセックス好きでしょ?周りがどんなセックスしているか気にならない?とでもいいたげで、ステンレススチール製のハードカバーに、カラー・モノクロのモロだし写真がわんさか掲載されていた。

当時わたしは中学生。ちょうど性の目覚めが起きていた時期と重なり、この写真をむさぼるように見ていたし、正直ズリネタにもしていたことを告白しておく。でもこのエロティカで世界中のみんながやったよね?

アメリカをはじめ世界中で、92年はマドンナのセックス大爆発が起きたのだ。

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