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【2020年もっとも読まれた記事No.2】 90年代の音楽を知らないアナタへ その46 BODY & SOUL(94)/ANITA BAKER 日本人はアニタベイカーを知らなすぎる

アニタベイカーという名前をみて・きいて身震いするほど興奮する日本人はどれくらいいるだろうか。

デビューはなんとホイットニーヒューストンと同じなので比較的新しい世代のシンガーの部類になるのが意外だった。クラシックなソウルとシルキーな声質はタイムレスな魅力を放ち、シームレスな歌唱にわたしは何度も昇天しそうになるほどの興奮と熱いものが走る感覚を覚えた。結婚式では絶対にアニタベイカーの曲を流そうと、子供のころからなんとなく決めていたものである。それほどわたしは中学生だったが幼い感性にも訴えるものがあったし、ロマンティックな大人の雰囲気を放っていたのだなと今更ながら気づかされた次第である。

さてこの「BODY & SOUL」は彼女の中では比較的評価を受けなかった90年代の作品「RHYTHM OF LOVE」(95)からのファーストシングルとして94年にリリースされた。アニタベイカー初のセルフプロデュースとして大々的なプロモーションが行われ、さらには95年にして90年代2枚目のアルバムだったこともあり、アニタ復活と銘打たれてのビッグプロジェクトだったのである。80年代の衝撃作の連続に比べたらそれは比較的落ち着いた作品になったであろうが、わたしはリアルタイムで触れた初のアルバムがこの作品だったので、わたしにとってのアニタベイカーといえばまずはこれであり、この「BODY & SOUL」は個人的に永遠にオブセッションなのである。

代表曲「SWEET LOVE」や「CAUGHT UP IN THE RAPTURE」など往年のヒット曲を彷彿させるメロウでスイートな路線は引き継ぎつつ、それらに対して「BODY & SOUL」は90年代らしくDIVAテイストにぐっと寄ったアレンジ・歌唱になっている。それを良しとするか、苦手とするか。80年代からのファンはこういう路線を望んではいなかったようだが、若い世代を取り込むには良かっただろうし、ブラックコンテンポラリーの中でもR&Bに寄ったアレンジが今思うと新たなアニタベイカーの魅力として出ていたように感じる。

2020年の今きくとこういうアレンジがかえって古さを助長させるところはあるが、良い歌なのは変わりない。そしてやはりアニタの声。とろみのあるシルク生地を撫でているようなリッチな気分に浸れるのは彼女の音楽しかないと強く思う。



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