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朝の電話「小川町と九段下」
昨夜は娘の部屋で寝ました。娘の部屋は暗いし静かなのでよく眠れます。ただし、難点がひとつ。それは、娘がドスドス足音を立ててトイレに行く度に起こされてしまうという点です。昨夜も3回だったかなあ、起きたくないのに起こされてしまうのです。起こされたついでに私も尿意を催してトイレに行くのがパターンです。昨夜はそれがありませんでした。ああトイレか、などと目を覚ましてすぐにまた眠ってしまったのです。何度も起こされたのに私はトイレに行かずじまい。そのおかげであれだけ起こされたわりによく寝た感覚。やはり暗くて静かだと違います。
朝は起きてきたのでクスリを飲んでもらいました。
「冷蔵庫にサラダあるから。ご飯ももうすぐ炊けるから食べて」
そんなこんなでバタバタしていたら電話です。見たことのない番号。なんだと思って出たら(元)妻でした。特に急ぎの用ではありません。来月あたりま来るかもという話も。そうですか。好きにしたらいいよ。
なんだかんだ話しているうちに、前に話していた老後の件になりました。(元)妻は夜中でもピアノが弾ける家で暮らしたいというのですが、今の収入の延長じゃ無理だろ。私のところに置いてあるグランドピアノとアップライトを引き取りたいというのですが、それも無理じゃないかなあ。夜中でもピアノ弾けるってよっぽどだよ。
「だからさ、前に話してたみたいに九段下に家を買うっていう方向で」
九段下?
何の話だ?
「言ってたじゃん、九段下に一軒家」
マジわかんねー。九段下でピアノが弾ける一軒家なんか買えるわけないじゃん。
あ。
「小川町?」
「そうそう、小川町。九段下じゃなくて小川町だった」
「いや、それ神田の小川町じゃなくて話してたの埼玉の小川町だから。小川町の一軒家だったらピアノ置けるんじゃないかって」
「ああ、埼玉?」
小川町違い。そこから九段下に平行移動。
「埼玉の小川町だよ。でも小川町でも夜中にピアノ弾ける一軒家は無理じゃねえか?」
相変わらず、すごくいいな、(元)妻。最高です。ありがとうございます。なんか元気出た。
とか、そんなくだらない話をしていたらいい時間になってしまいました。じゃ、また。
娘がやってきました。
「ママと電話してた」
「来るの?」
「来月来るかもって」
「そうなんだ」
「来たらまた髪洗ってもらいなよ」
「んあ」
小川町でもどこでもいいけど夜中に思う存分ピアノを弾ける一軒家を気軽に買えるぐらいのお金持ちになりたかったなあ。今さら無理だよなあ。まあでも夢あるよなあ。
そういえば今日の(元)妻との電話で(元)妻がピアノを弾いていたら娘に妨害されたという思い出話がありました。
「それ、長い時間弾いてたからじゃないの?」
「そんな6時間とかじゃなくて2、3時間だよ?」
「長いって」
長いって。
いただいたサポートは娘との暮らしに使わせていただきます。ありがとうございます。