歌う夜
昔、コロンビアで記録的に大ヒットした「ベティ愛と裏切りの秘書室」というテレビドラマがありました。視聴率は最高で80%を超えたそうです。世の中を動かすほどの影響力を持ったドラマで世界中でリメイクもされました。その辺り詳しい話はWikipediaで。
当時CATVでなんとなく見ていたスーパードラマTVで放送されていたのをなんとなく見ていたら私よりも(元)妻がハマって見ていました。勤務するアパレル会社が大変なことになるのを主人公のベティとその仲間たちが機転と知恵で救うというストーリーです。パナマの通関で引っかかった荷物が届くの届かないのとか手に汗握る展開でした。ブサイクを自認するベティの見事な仕事っぷりにアパレル会社の社長のアルマンドさんが心惹かれてしまい歌に乗せて想いを伝えるシーンがあります。アルマンドさんの歌う姿を見た婚約者で会社のオーナーの娘であるマルセラのちょっと怪訝とした「歌うんだ」というセリフ(吹き替えですが)が印象に残っています。
「歌うんだ」
このシーン、(元)妻も非常に気に入っていました。
「歌うんだ」
それ以来、誰かが思いの丈を伝えるために心を込めて歌う姿を見るとこのセリフが浮かんできます。
今日の夕食は塩辛い珍味四種(松前漬・数の子わさび・イカのとびっこ和え・ほたて貝ひもの和え物)盛り合わせの「おつまみセット」でした。近所のスーパーで初めて見ました。いちおう麻婆豆腐の材料も買いましたが、なんだか作る気力がなくてお吸い物だけ用意して簡単に済ませました。しかし、娘はこういう珍味系が好物なのでいつものように浅ましくガツガツを食らっていました。美味しかったのは美味しかったようでご飯はおかわりしていました。反省としては箸で取りにくいのでスプーンを渡したのですが娘が不器用すぎてスプーンでも取りにくかったという点でしょうか。こういう時、娘は「取って」と言って自分でやりません。(元)妻は何でも面倒見てやっていました。私もどちらかというとなんでもやってしまうのですが、今日は自分でやらせていたらものすごく苦労していました。ただ、調子が悪い時はこういう苦労でも頭の中がいっぱいになって暴れたりするのですが、今日に限らず最近はそういうことはないので、それはつまり調子は悪くないということです。
食後に風呂にも入ってアイスも食べて薬も飲んだ娘は「おやすみ」と言って部屋にこもりました。
それから約二時間、歌いっぱなしでした。
「歌うんだ」
歌うんだよなあ。
歌うんだよ。