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一級建築士だったのに自信がなかった僕


僕は大学は教育学部で心理学を学んでいたのですが、色々あって(またこの話はいずれします)建築を学ぶ流れへとなりました。その後、大学院で工学部に移り建築を学び、ハウスメーカーに就職して28歳の時に晴れて一級建築士になり、たくさんの住宅や集合住宅を設計していました。

「すごいやん!」「何でも設計できるやん!」「ビルとか建ててよ!」といった友人たちの良かれという気持ちの喝采を浴びるたびにモヤモヤする僕がそこにいました。

設計の仕事をしている人はわかってもらえるかもしれないのですが、「一級建築士=設計の知識が豊富で何でもできる!」というわけでは全然なく、どちらかというと「一級建築士=設計人としてのスタート」に立てたという感覚なのです。

その中でも特にハウスメーカーというのは規格が決まった建物を量産する会社。設計をするにしても「ここの壁はどうしようか?何ミリにしようか?」といったことで悩むことすらないし、窓が取り付けられる位置すらも決まっている場合があります。

そうなると、設計者としての知識なんてなくとも、「ハウスメーカーのルールに従えば勝手に家ができてしまう」という感じだったのです。そういったこともあって、「一級建築士だから何でもできる!」といったことは少なくとも僕には全く当てはまらず、モヤモヤしていました。モヤモヤの原因は「自信が全くない」ことから来ていたのです。それを人から言われるほどに、見られてる自分と自分で感じている自分にギャップがありすぎて余計に不安を覚え自信がなくなり、恥ずかしい気分になってたのです。

せっかく一級建築士になったにも関わらず、建築の世界から離れてみることにしました。一級建築士を取った僅か一年後のことです。
設計事務所に転職するとか、大手のゼネコンに転職するといった選択肢もあったのですが、当時の僕はそんな気分にはなれなかったのです。

その後に出会ったのが「マーケティング」というものでした。


マーケティングとの出会いで変わった気持ち




ハウスメーカーのあと、シャープ(株)でエネルギー関連の商品企画部を経て、小林製薬(株)のマーケティング部へと転職をしました。

マーケティングの「マ」の字も知らなかった僕です(本当にマーケティングという言葉もうっすら聞いたことがある程度)が、面接でうまく(?)取り繕い、「マーケティング、めっちゃ得意です!」とハッタリをかまして無事に入社。

ここで僕の人生は大きく変わったと思います。
小林製薬では素晴らしい先輩や仲間はもちろんですが、特に会社が長い間培ってきたマーケティング上の考え方・手法に触れることができて、最初のうちは「マーケティング全然できない!わからない!」と不眠症にまでなる始末でしたが、3年を過ぎるころに「あ!わかってきた!」という感覚を持つことができました。

そのときに初めて「これならきっとどの会社にいっても、自分自身で起業してもめちゃくちゃ役に立つし、どのジャンルの仕事をしても全部に使える!」と思ったのです。

僕は再現性があるかどうかを大切にしているのですが、まさにこれが「再現性」だったのです。

もしかしたら人生で初めて「自信を持てた」瞬間だったのかもしれません。一級建築士も受かったときは嬉しかったのですが、僕には自信に全然ならなかったのです。

僕と同じように「自信がない」と思っている人へ

僕は縁あって大学でマーケティングの講義に呼んでいただいています。学生たちと話すときに「みんなマーケティングと若いうちに出会った、今から学んでるはラッキー!」ということを言っています。

それはさっき話した僕の経験があるからです。

マーケティングはビジネス上必要なものだと思っています。ヒット商品を作ることはもちろん、組織として同じ方向を向けたり同じ考えで物事のジャッジが出来るからです。

そして、ビジネスだけでなく、生活上の様々な場面で人の役に立てたり、考え方を整理したり、自分が今後どうしたらいいのかを整理することにも使えます。
今の会社を辞めたいけど、自分には何もないから我慢している。そんなことを友人や仕事の相談をしてくれる人から頻繁に聞きます。

そんな人は、特に「マーケティング」を勉強してみてほしいなと思います。

僕がどこまで皆さんに教えてあげられるかはわかりませんが、できるだけわかりやすく興味を持てるように手探りしながら、「これなら自分も出来そう」「今の会社の中でマーケティングや商品企画の部署に異動させてもらいたい」「マーケティングを実践しながら自分で商売をしてみたい」と思ってもらえるように知識や手法、プレゼンテーションの作り方等をお伝えしたいと思います。
そう、皆さんが自分の力で「再現」出来るように。

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