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❨694❩1973.7.24.火.晴/信子という姉/ポモナ:アメリカ合衆国

暑い日だった。

<信子という姉>
この旅に出て手紙をくれるのは、二人の後輩 と恋人(?)と姉貴(とタミー)ぐらいで、他は、カメくらいか。

そんな中で、信子姉貴の存在が、今俺には最も輝いて見える。
こんなに離れて(実際には10数時間だが)、イヤ、離れたからこそ、俺の事をよく思ってくれる。
ウソもかくしもなく、嬉しい。

人間というものは、何んでも判っていると思っても、全然気づかない事が多い。
そんな時、一言の言葉、一本の手紙が、心を開かせてくれる。
姉貴から、この事実を学んだ。

又、最近の手紙を読むと、あの家庭の中で、じわじわと自分を磨き、人間味を増しつつある事がよくうかがえる。

多忙な毎日の中でグチの一つや二つあるのは当たり前。ただそのグチが、どの方向に作用して行くかが問題なのだ。
諦めて、失望して、家庭全体を暗く、混乱の中に落としていくかも知れないのだ。

今俺は、女性としての立場を守り、責任を果たし、犠牲になりながら歩いている姉貴の姿に、敬畏を表したい気持ちが起きてきた。
頑張らなければならない。いつも俺を見守っていてくれる人間が居る事を、決して忘れずに。

この先、何か問題が起こった時、例え一つでも、助けとなる様な言葉を言ってやれる人間にならねばならない。
「面白い事も、イヤな事も、時間が解決してくれる。ありがたい……」
と云う。いかにも、安定した呑気な母親を感じさせてくれる。

あの気短かな兄さんも、きっとこの腹のスワった女に、満足し、安心して仕事に打ち込めることだろう。

さて俺も、こんな姉貴がいる以上、つまらぬ小事にああだこうだなどと、無駄な時間を費してはおれないゾ!

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