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❨698❩1973.7.28.土.晴/「氷点」(三浦綾子 著) 感想文/ポモナ:アメリカ合衆国

「氷点」(三浦綾子 著)を読んだ。
先日は「還らぬ海」石原慎太郎を読んだが、相方共、登場人物の心理分解、変化に吸い寄せられる程、巧妙であり、細かなものであった。

「氷点」は、厚い本が次第に薄くなるにつれ面白くなり、もう終るのか、もっと続いてほしいと、離れ難い衝動にかられた。

陽子の過去が遂に解かってしまった時、俺は、涙を浮かべずにはいられなかった。
無念な彼女の気持ち、一生懸命耐えようとしている健気な心。純心潔癖な明るい彼女が、壊れ落ちてゆく時の、その姿を想像し、同情より、悲哀を痛切に感じた。

そして、自殺という最終手段によって、全ての人間がその罪を謝し、誤りを悔い、心を一つにして彼女を甦えらせようと努力する所が、また胸つまる。

また、良い本に会えた。
読解力がまだまだ未熟な俺だが、良い書は、文字一つ一つよりか、体全体から、その感動が伝わる。

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