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保育の質 初の全国調査|北欧デンマークの保育事情🇩🇰

記載日: 2023年10月20日

北欧デンマーク発の保育ICTシステム(Nembørn)をグローバルに展開する企業: Assembleで働く安田です。

前回は、デンマークにおける保育の質と配置基準について記載しましたが、その中で保育の質の全国調査によって、38%以上の保育施設(0-2歳)において保育の質が不十分であると示されたことに言及しました。

前回記事はこちら。

今回は、そのデンマークで初めて実施された保育の質の全国調査について記載します👍

私たちは、人生の最初の数年間における子供たちのウェルビーイングと学習が極めて重要であることを知っています。

デンマーク評価研究所(EVA)

日本における保育の質に関する全国的な調査・研究は今のところなさそうですが(安田調べ)、以下日本総研社による保護者・保育者に対するアンケートが実施されているようですね。
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=103258
(自動翻訳及び安田翻訳で内容を理解しているため、少々言葉の意味合いや違いがある点についてはご理解ください。。。)

デンマーク保育の質に関する初全国調査  概要🇩🇰

  • 調査機関: デンマーク評価研究所(EVA)及び国立福祉研究分析センター(VIVE)※児童教育省に代わって実施

  • 調査期間: 2022年〜2023年

  • 調査目的: デンマークにおける保育の質保育の質の違いについて知られていないため。全国レベルでの自治体の保育の質について体系的な洞察を生み出すこと。

  • 調査対象(本研究に参加する 300 の自治体管轄の保育施設を無作為に選択

    • 0 ~ 2 歳の範囲の保育施設 100 件

    • 3 ~ 5 歳の範囲の保育施設 100 件(2023年に調査実施のため今回結果には含まれていない。現時点予定とのこと)

    • 保育施設提供者 100 件
      ※デンマークの保育・幼稚園は90%以上が自治体保有です。

  • 調査方法(調査ツールはKIDS)

    • 教育学習環境の質の観察👆

    • フレームワーク条件に関するデータの収集(標準化、トレーニング、組織など)

    • 10 の保育施設ごとに、従業員の代表者との教育的意図についてのインタビューを行って観察を追跡

デンマーク評価研究所(EVA)ってどんな組織?

EVAは、デンマークの教育および保育システムにおける教育、指導、学習の質の向上に取り組み研究・分析機関です。デンマークは教育部門全体の評価機関を設立した世界初の国で、EVAはその評価機関です。さすが教育大国、動きが早いですね👍
ちなみに、ペタゴー(保育園先生)の友達に聞いたところ、EVAの内容についてはよく確認する、とのこと。先生がどのような内容を見ているのか、気になるので、別途深掘りしてみたいと思います。

EVAの理事会メンバーを見てみると、全国地方自治体協会や、教育機関関係者、校長や教育専門家・コンサルタント・保護者全国組織生徒及び学生団体等で構成されています。学生や、保護者団体も入っているというところが大変興味深いポイントですね。子供は対等、が日常の北欧ですが、具体的に考えてみると、こういった組織において子供(生徒)に大人と同様の発言権が与えられている、というのは素晴らしい仕組みと感じます。

保護者全国組織(FOLA)は、どうやら日本の保護者会 全国版 な位置付け?のようです。とっても気になるので、別途調べてみたいと思います👍

EVA設立の歴史: 

  • 1992年 高等教育の評価を通じて「デンマークにおける教育、学習の質の向上」を目的として「評価センター」を設立

  • 1999年 名前はデンマーク評価研究所に変更され、初等教育から青少年教育、高等教育、成人教育に至るデンマーク人の教育課程全体がEVAの研究分野の対象となる。

  • 2006年 保育部門が併設。

どのようなツールを使って調査されたか?

以下EVAが開発したツールが活用されて今回調査が実施されました。
1. KIDS 
2. KIDS デイケア 

保育の質を評価するツールはCIS、CLASS等様々あるようですが、KIDSはデンマーク独自に開発されたツールです。KIDSは以下領域を評価分析するため、ハードとソフト(子供の発育等)両方が対象になっていますね。

  1. 物理的環境

  2. 人間関係

  3. 遊びとアクティビティ

また、KIDSツールは行動を観察するため、教育目標の説明や教育意図を評価しないようです。今回は、EVA等の機関の専門家が現地に赴き、子供や先生観察しました。

以下概要: 

  • KIDSツールは2014年に初版が発行され、2018年からの新しい保育法に対応した6つのカリキュラムテーマを盛り込んだ第2版が2020年に発行されました。

  • このツールは、社会文化的発達理論と保育施設における教育の質に関する研究、および幼児の学習と発達に関する発達心理学の知識に基づいています。

  • このツールは、子供たちのウェルビーイング、学習、発達の条件を構成する環境、ひいては教育環境の質を観察するために使用されます。KIDS は、保育施設で子供たちに良い発達の機会を与えるものについての国内および国際的な研究に基づいた体系的なツールです。

0~2歳児の保育の質  調査結果 概要

2023年に3-5歳の調査が実施されるため、今回レポートとしてEVAに公開されているのは0-2歳児の調査結果でした。よって、以下0-2歳児 保育の質の調査結果の概要を記載します。

注意: 保育園と保育所は異なるもので、保育園は保育施設、保育所は家庭的な環境で 1 人以上の保育士が子供たちを保育する場所、と定義されています。どちらも自治体管轄です。

  1. 保育の質に大きな差。
    保育所における教育的学習環境の質には、大きな差がある。つまり、子供たちのウェルビーイング、学習、発達、教育がどのようにサポートされているかに大きな差がある。

  2. 保育所の8%が「良質」と評価される教育的学習環境を有しており、弱い立場にある子供たちを含むすべての子供たちの福利、学習、発達、教育を支援することが期待されている。

  3. 10分の5 の保育園、および 10 分の4 の保育所が「十分な」質の教育的学習環境を備えていると評価された。

  4. 約 10分の 4 の保育園では、教育学習環境が「不十分」または「質が悪い」と評価されており、子供たちはそれに応じてより低い程度の支援を受けることが想定されている。

デンマークの教育システムが保育・幼稚園を除いて大学院まで無償化されている背景の一つは、家庭環境等に依存せず、子供たちに同様のチャンスを与えること、です。以下EVAが伝えているように、保育や発達の機会が少ない家庭の子供たちにより顕著に影響が出てしまうことを示唆しているかと思います。

弱い立場にある子供たちにとって特に憂慮すべきことです。これは、例えば保育や発達の機会が少ない家庭の出身の子供たちに、チャイルドケアがそれを補うプラスの効果をもたらすことは期待できないことを意味するからです。

デンマーク評価研究所(EVA)

以下原文HP。

まとめ

教育に力を入れているデンマーク🇩🇰
「人生の最初の数年間における子供たちのウェルビーイングと学習が極めて重要」とEVAも伝えていますが、今回の結果はその重要な時期に、保育の質に大きなばらつきが出てしまっているという結果でした。

次回(読み解くのに時間がかかりますが。。。)はできればEVAの保育の質レポートの内容をもう少し深掘りしてみたいな、と思います。

Assemble社 資料

弊社Assembleはデンマーク自治体からの要望を受けて、子供を中心にした保育ICTシステム Nembørnを提供しています👍
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