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僕が農家になった理由、表現したいこと

2022年1月1日、無農薬・無化学肥料栽培で、農作業体験ができる農園、
さんかく農園をオープンしました。
現在、たくさんの方々に来園して頂き、一緒に農作物を楽しむことができています。

ここで、
なぜ僕が農家になろうと考えたのか、
また、農家としてどのような表現をして
どのうような社会を目指すのか、ここに記したいと思います

最初のきっかけ

僕のさまざまな活動のきっかけになったのは、振り返るとやはり
2011年に起きた東日本大震災だったと思います。
神奈川県に住んでおり、当時高校生だった僕は、
テレビで多くの人が現地にボランティアに赴く姿を見て、
自分も誰かのためになにかがしたい
と思っていました。
部活や受験があり結局なにもできませんでしたが、
唯一、計画停電が好きで、真っ暗な家の中で、
この電力は東北のためになる
と東北の人たちをおもっていたのを覚えています。

ボランティア活動

 高校を卒業し、大学に入学。ボランティア団体に入り、東日本でのボランティア活動を開始。
 風評被害を受けた農家さんのでの活動や、津波により遊べなくなっていた海岸の清掃活動などを行っていました。
 それと並行し、入部した団体が、フィリピンでのボランティア活動もしていたため大学一年生の冬、初めてフィリピンに行き活動を。
 なんらかの理由で住居がない方へ住居建設をする団体のお手伝いする、といったかたちの活動で、10日間程度滞在し、活動していました。
 その中で、現地の方と交流したり、街を見たり、観光したり、そのすべてが全感覚を刺激していました。

ボランティア活動、その次

 僕が行っていた大学は医療系で、多くの学生が3年生あたりから実習などで忙しくなるため、
 僕が所属していた団体は、ほとんどの学生が2年生で引退をしていました。僕も2年生で引退、その次にできることを考えていました。
 海外での活動を通して、見てきたもの、せかいの貧困に、どう向き合うか。バイトを頑張って、毎年数十万かけて海外に行って数日滞在してボランティア活動をして、それでせかいの貧困がなくなるのか。それが自分にできる一番の活動方法なのか、、、
色々と考えていたときに、学生団体時代からお世話になっていた国際NGO OXFAMのトレーニング合宿があると知り、同じ団体で活動していた仲間と一緒に参加することにしました。

1人ひとりが、社会を変える

 大学2年の終わりの3月、オリンピックセンターで4泊5日のOXFAMのトレーニング合宿、CHANGE initiativeに参加しました。
 OXFAMは「貧困のない公正な世界」を目指し世界90か国以上で活動する国際NGO。
 合宿の目的は、キャンパスから社会を変える。世界から貧困をなくし、公正な世界を目指すために、キャンパスから1人ひとりができることを行い、社会を変えていくことが目的でした。

生産者と消費者の格差

 CHANGE initiative参加前、とある国際協力系の学生イベントで、他のNGOで活動している学生が、生産者と消費者の格差についてのお話をしてくれていて、僕はそこで初めてその問題を認識し、衝撃だったことをよく覚えています。
 コーヒーチェリー(コーヒー豆の元)やカカオなど、赤道付近の特定の地域でしか生産が難しい農産物は、その多くが日本をはじめ先進諸国で消費されている。
 安いものを求めようとすると、生産者に入るお金は少なくなる。カカオやコーヒーチェリーの生産の現場では、安い労働を求めるために、子どもが不当に労働を強いられることもある。その構造の中に、消費者として、自分が入っているなら、そこから変えたい、と思いました。

自分ができることから

 現場でのボランティア活動から、キャンパスや自分が今いることからできる活動を考えるようになっていく中で、興味を持ったのが、生産者と消費者の格差。
 フェアトレード商品を買う、オーガニック・有機商品を買う、家庭菜園などで自分で育てて食べる、菜食を取り入れる、などなど、できそうなことを考えて、実行していました。
 自分でやるだけではインパクトは小さくて、なるべく色んな人を巻き込んで一緒にやりたい、、、
 そう思ったときに、なにか買う、とか、なにかを辞める・我慢する、とかではなく、楽しく始められること、自分で育てて食べる、という方法が自分の中でしっくり来て、そこを中心に活動していきたい、と思うようになりました。

自分で育てるということ

 小規模で、自分ができる範囲で生産を自分で担うことから、生産から消費まで、考えるきっかけができるといいなあ、と考えながら、小規模で自分ができる生産方法を模索していました。
 自分で家庭菜園をしながら思ったことは、僕らの生活スタイルや文化から、生産の場を一人ひとりが持つ、ということは難しい、ということでした。
 多くの人がアパートやマンションで、家庭菜園をするスペースがなかったり、朝早くから夜遅くまで働いていて、世話をする時間がない、など、自分で責任をもって育てることは、文化的にも難しいと感じ、思っていました。

生産の場を提供できる農家になる

 そこで、僕自身が農家になって、大きな農園を持ち、そこに定期的に来てもらう形で多くの人が生産の場に触れる機会を作れたら、どうだろう。
 自分で家庭菜園できるスペースを持っていなくても、朝から晩まで忙しく働いていても、月に1度1時間くらい、生産の場に触れることができる場を作りたい、そう思いました。
 また、消費者としてできることは、フェアトレードのものを買ったり、環境に配慮されたものを買ったり、できることは多いけど、多くお金がかかったり、やり続けることが難しかったり、課題がたくさんありました。
 そもそも、消費者が買うものを配慮し続けることに限界を感じていて、僕は生産者としても、生産から消費に配慮した生産方法を模索したい、と思いました。

農家研修、農家の道へ

 様々なきっかけがあり、友人が研修していた農家さんと知り合い、上記のことを話し、自分も農家になりたい、と言って農家の門を叩き研修をはじめました。神奈川県は藤沢市の有機農家さんのもとで1年間、既定の研修期間を修了し、2021年9月から、僕が代表を務めるさんかく農園の運営を開始、2022年1月から、体験農園の営業を始めました。
 ちなみに、農園の名前は、僕が幼少期よく遊んだ地元の公園、通称さんかく公園からもらったもので、特に意味はありません。

農園の運営システム

 僕が農家になりたい、と思ったきっかけは、多くの人が生活の中で生産に触れる機会を作りたい、というものだったので、それを達成できるようシステムを模索しています。
 今回は、この仕事を選んだわけ、という名目のもと思いをまとめているので、農園の運営システムについてはさらっと触れる程度とします。

短時間、一組ずつの体験農園

 お客さんが農園に足を運んでもらえるよう、体験農園というスタイルにしよう、と思いました。グループや会員制の農園はよくあると思います。会員制にすると、グループの組織としての親密さなどはどんどん向上すると思いますが、一方で新規の方が入りにくい、という特徴はあると思いますし、人間関係の問題も出てくると思います。もちろん、そういったコミュニティは必要だと思うのですが、生産に触れる人を増やしたい僕の考えとしては、コミュニティの強固さを求めるよりも、手軽に参加できる方を優先したい、と思い、僕対お客さんと一対一組の関係性をたくさん作れるようにしよう、と考え、時間制、一組ずつの体験農園としています。

スライディングスケールによる支払いシステム

 さんかく農園では、30分~60分、お客さんに選択してもらった時間一緒に僕と農作業をし、収穫したお野菜をお渡しした後、お支払いをしてもらいます。お支払いは1000~50,000円程度の中でお客さんに値段を決めてもらいます。(0円も予約フォームから事前申請か)
①安さを求めるだけでないお金の使い方を考える機会を作りたい
②経済状況に関わらず参加してもらえるようにしたい
主な理由は上記2つで、値段は定めず、お客さんに選択してもらう、というシステムをとっています。

 さいごに、現在の活動の様子を少し紹介します。

農作業風景

 現在すでに運営を開始していて、たくさんの方に遊びにきてもらい、一緒に作業をしています。

車いすの子の種まきシーン

 子どもたちもたくさん遊びに来てくれて、いろいろな工夫をしながら、参加において、包摂的な場づくりを目指し活動しています。

草マルチを切るシーン

 僕とお客さん、少人数で関われるからこそ、参加できる空間を作れていると思っています。

農園で採れた野菜たち

  さんかく農園は、野菜だけでなく、ムーブメントづくりをしていると思って活動しています。ぜひ、お近くの方は参加して頂き、一緒に生産場面に触れ、よりよい生産から消費まで、や、場づくりを模索していけたら、と思います。

泥団子づくりを楽しんでくれた子

 彼女は、農園の土で一生懸命泥団子を作り、ズボンで磨き、仕上げたものを笑顔で見せてくれました。
 彼女にとって、ズボンで磨くほど、泥団子が美しかったんだな、と思いました。
 僕も、来てくれたみなさんと一緒に美しい瞬間を探していきたい、と思います。

農園の運営を支えてくれる仲間たちに、感謝を込めて。

 農園でお待ちしています!!!

#この仕事を選んだわけ

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