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そうか、だから決定じゃなくてフィックスなのか

仕事の関係上、カタカナ言葉に触れる機会が多い。

適当に思いつくままにあげると、インセンティブ、フォレンジック、リーガル、ベネフィット、フィックス、ワイヤー、アーキテクト、ブリーフ、マーケティングなどなど……。

もう全部日本語でいいじゃん、なんでわざわざこういう言い方するのって最初は思ってた。

でも今はちょっと違うくて。例に出したような分かる人には分かる言葉は、その業界で生きる人の共通言語であって、実際に現場で働いている人達には、単純に訳した意味とは違うニュアンスを含んでいると理解している。

どういうことかと言うと、例えば「フィックスする」は「確定する、決定する」という意味だが、現場の人たちにとってフィックスと決定は微妙に意味が違う気がした。

これは僕がクライアントとやりとりして感じたことで、本当に何となくなのだが、フィックスという言葉には決定するまでの過程やプロセスまで含んで伝わってきたのだ。

実際の場面を簡単に説明すると、「あの案件、明日フィックスしたら連絡します」とクライアントに言われたのだが、この時何となく社内でけっこう重要な会議をして、相談したり議論したりしている場面が想像できた。

これが単なる「決定したら連絡します」だと、僕の中では担当者の頭の中で決まる、もしくは上司に相談するぐらいのものに感じられる。

何を言っているか意味不明かもしれないが、頑張って説明するので聞いて欲しい。

要はクライアント側の人数というのか、言葉が違うだけで裏側の規模感まで伝わってくる気がするのだ。

なんとなく僕の中で、決定の上位互換としてフィックスという言葉が存在している。これは完全に僕の感覚なのだが、この業界で生きる人たちにはこの言葉を使うことに何らかの意味があるはず。そう思うと、なぜ使うのかをすごく考えた。

そしてたどり着いた答えは、その人たちにしか分からない背景の共有だったり、同じ意味でも重要度やそこに込める気持ちの違いを表しているのだという結論に至る。

決定一つにしても、個人で決定することもあれば、大人数で決定することもあるし、短時間で決まるものも有れば熟考して決まるものもある。

それを一々、「あの案件明日めちゃくちゃ大人数でめちゃくちゃ考えて決定したら連絡します」と言われたら笑えてしまって仕事にならない。(ある意味楽しそうだけど)

だからフィックスという5文字で集約した方が合理的だ。

今回のフィックスの例はクライアントに聞いた訳じゃないので正解かどうかはわからない。だけど、こういったビジネス用語は正しく意味を理解して使うと、本来は便利なものなのだろうと考えるようになった。

こういった専門用語はビジネスだけではない。

例えば音楽なんかもたくさんの専門用語が使われる。フェルマータは「音符や休符を伸ばす」、フォルテッシモは「とても強く」など、これらは記号の呼び方だが、ピアノの先生が指導する時、「もっと強く弾いて」と言うのと「そこはフォルテッシモで」と言うのとでは意味合いが違う。

その業界の言葉を理解するって大事なこと。

それだけで、見え方も得られるものも変わってくる。

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