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ロックダウン下のアメリカから見る日本経済④:ついに解けたか!?「生命」と「経済」のトレードオフ問題

ボトルネックは「医療崩壊」問題 

僕の住むサンフランシスコ・ベイエリアでのロックダウンが5月31日まで1ヶ月延長される中、僕は変わらずコロナ問題を注視している。

以前の投稿で、結局ロックダウン期間の問題というのは、ある国の中で「医療崩壊」というものを起こさないことを目的としてやっているのだ、と論点を整理した。

「若者かつ持病が無い」という人たちにとって、コロナウイルスへの感染と発症が致命的になるリスクは統計上低いものの、一方で、こうした人たちが街を歩き、感染し、(場合によっては)発症し、(さらに場合によっては)発熱し、(通常程度の病院利用数を超えた形で)一定数以上の人たちが病院に押し寄せると、困ったことが起こってしまう。

それは、この人たちへの検査やら治療やらといったことに、医療スタッフの労力と医療器具が消費され、各地域で持ちうる医療提供キャパシティを超えてしまうこと、またそれによって他の患者が医療を受けられなくなるということだ。

いつコロナ感染が指数関数的に増えるか予測できないから(この対策は後述する)、若かろうが、持病が無かろうが、とにかくできるだけ家でじっとしていてくれというわけだ。

経済の再開なくば、倒産と失業の嵐が待つ

しかし、ロックダウンの期間が長引けば長引くほど、経済が致命的な損傷を被(こうむる)るのも、また事実である。

既に書いたが、外食、小売、店舗型サービス業などといった業種から、どんどん資金繰りに窮(きゅう)するようになり、結果倒産してしまう。

当然のことながら、倒産前には倒産回避型の解雇がどんどん増える結果として、街は失業者で溢れてしまう。

アメリカでは既に東京都の人口の2.6倍以上にもなる、2,600万人以上が職を失い、失業保険を申請するに至った。

小売のニーマン・マーカス、ディーン&デルーカは連邦破産法の申請を行い、先ほどアパレルメーカーのジェイ・クルーが連邦破産法の申請に進むとのニュースが入ってきた。

サンフランシスコ・ベイエリアにおいても、街を歩けば明らかにホームレスの数が増えたことが分かる。日本経済にとって、これは対岸の火事ではない。

水面下では潜在的失業者が1,000万人規模になっている可能性があり、また現在金融機関と交渉中ではあるものの、これに失敗すれば倒産法(破産法、民事再生手続き)の申請に入っていく外食、小売、その他企業は多いと見ている。

兆しが見え始めた「解決のカギ」

一体どうすれば良いのだろうか。

つまるところ、経済活動を再開しながら、一方で国民の生命を守るという、「経済」と「生命」のトレードオフ問題をきちんと解く必要がある。

また、この問題をリアリティをもって解くためには、死亡者ゼロなどという無理な目標を掲げると、極端に問題を解くことが難しくなるので注意が必要だ。

厚生労働省の発表を見ても、通常の季節性インフルエンザであっても、国内の推定感染者数は毎年約1,000万人いると言われている。

このうち、国内における年間の死亡数は、2001年の214人から、2005年の1,818人まで大きくばらつきがある。

さらに、超過死亡概念と呼ばれる、直接間接にインフルエンザの影響によって死亡した人たちの人数は、毎年1万人にものぼるのだ。

一方で、本日時点における日本のコロナウイルス感染者数は14,516人、またコロナ起因の死亡者数は466人だ。

マクロな問題は感染率、死亡率そのものというよりむしろ、「医療崩壊」というボトルネック問題だ。

しかし、この問題を解くカギが少しずつ見つかり始めている。

唾液PCRにより一億総検査が可能に!?

「医療崩壊」を起こさないためには、各地域における感染者数の増加をきちんと制御できれば良い。

各地で「医療崩壊」(医療機関への患者の殺到)が起こるタイミングと規模を推定することさえできれば、経済活動の維持を狙いつつ、若者かつ持病が無い人から学校や職場に戻していくということができそうだ。

そのためにPCR検査を簡便に、かつ複数回行える体制があれば良いのだが、医療従事者が行う現行の検査方法の問題によって、それが難しかった。

つまりこの検査が大がかりで大変なのだ。

「医療崩壊」を起こさないためにPCR検査を大量に行うことで、また別の「医療崩壊」が起こってしまう。

一方、ここに光が見え始めた。本日付の米ウォール・ストリート・ジャーナルでは、訓練された医療従事者が、患者(候補)の「喉」や「鼻の奥」に対して綿棒を当てて検体を採取するやり方では無く、唾液(だえき)によってPCR検査をやったとしても検査精度に差が出ないということをエール大学の研究チームが確認したと伝えている。

これが問題解決のカギとなる可能性がある。同誌では、ノーベル経済学賞を受賞したポール・ロマー氏の発言として「PCR検査の数を飛躍的に増やすことでしか、生命と経済の問題を解く方法は無い」と引用している。

この方法を使い、またPCR検査の誤謬率(約30%)を睨(にら)みながら、複数回実施するなどすることで、「医療崩壊」を上手く制御できる可能性が目の前に見え始めている。

FDAが「レムデシビル」の緊急時利用を承認へ

「医療崩壊」が制御できてしまうと、学校や経済活動に戻す人を「きちんと選択する」限りにおいては、マクロな問題は解決しているように見える。

しかし、高齢者、そして持病を持つ人たちにとって、このウイルスが脅威であることは変わらない。

これに関しても、各種進展が見られているので、ここで共有したい。

エボラ出血熱向けの抗ウイルス薬としてギリアド・サイエンシズ社により開発された「レムデシビル」という薬について、コロナウイルスに対する効果があることが急速に注目を浴びている。

日本でも特例承認のプロセスに入っているという話だが、つい先ほど、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)が、「レムデシビル」に対して、コロナウイルスに対する緊急時使用につき正式に承認をしたとのニュースが入ってきた。

1,060人に対して行った臨床試験の結果によると、通常15日かかるコロナ治癒が、レムデシビルの投与で11日に短縮されているとのこと。

31%の短縮は、統計上も有効である証拠と言えるそうだ。致死率は11.6%が、8.0%まで減少した。

このペースで対コロナウイルスの薬、抗体、ワクチンが開発されてくれば、人類は科学的にコロナウイルスとの戦いに勝利することになる。

改めて、テクノロジーが社会に果たす役割の大きさに気づく毎日だ。

(記事終わり)

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