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アップリンク60本見放題、を観ています~『おいしいコーヒーの真実』~

4月、新型コロナで各地のミニシアターが喘いでいて、いくつかのクラウドファンディングも立ち上がったりしていた頃、チャリティー付のアップリンクの作品60本見放題があることを知りました。

こんな最中に自己都合とはいえ引っ越しを予定していた私は、正直映画を観る余裕はなかったのだけど、学生時代に多大な影響を与えてくれたミニシアターの危機を見逃すこともできず、ポチッと寄付のつもりで購入しました。

とはいえ、8月まで視聴期間があるので、引っ越しがあろうと観る時間はいつかは作れるはずなんですよね。結果的に本人が思うより早めにその時は訪れました(大げさ)。

ちなみに3ヶ月60本見放題と謳われているのだけど、私は2つ購入したのでもっとその期間は長い(2倍?)。そして、なぜか60本と書いてあるものの、実際はもう少し作品数が多いです(変動する?)。

『おいしいコーヒーの真実』

アップリンクの作品群なので、言ってみればマニアックなものが多いです。社会派ドキュメンタリーとか、邦画でもシネコンとかではあまり上映されないような。70本以上あるので、何を観るかも迷う。

ひとまず私のライフワークでもある環境とかそのあたりのテーマから始めようかと。『セヴァンの地球のなおし方』『世界が食べられなくなる日』『モンサントの不自然な食べもの』このあたりはタイトルは知ってはいるけど未だ観たことのない作品たち。あとでちゃんと観たいと思います。

なお、どこかで聞いたけど、シネコンでは上映時間が長すぎても短すぎてもダメだそうで(タイムスケジュールとか料金の都合でしょう)、となると元々シネコンに観に行っているだけではお目にかかれない作品というのがたくさんある訳です。もっとも尺ありきで作品を創るというのも、なんだか不思議な話ですけどね。規格化する不自然さというのは、農作物でもエンターテイメントでも同じですね。流通の弊害。

今回視聴したのは、おいしいコーヒーの真実。「コーヒー1杯330円、コーヒー農家が手にする金額約3円」というリード文が示すように、フェアトレードのお話です。2008年の作品ですが、2005年の頃の映像がたくさん出てきます。主にエチオピアのコーヒーについて。私がフェアトレードというものを知ったのも、2005年かそれくらい。今でも時々お世話になっているピープル・ツリーを通じて。その後、日本野鳥の会の物販部門で仕事をするようになって、ピープル・ツリーの他いくつかのフェアトレード商品を仕入れたりしてました。展示会で半年先の商品を見定めていた経験は今となっては貴重。

そんな私にとっては、内容はすごく物珍しいというものでもないんですが、でもやはり知識で十分分かっているはずの貿易の不平等さとか理不尽を強いられる農家とか、そういうことを映像で観ることの意義を改めて感じます。コーヒー農家の一人一人の姿も、かたや欧米の仕入れる側の人々の姿も、映像で観ることの意味。どちらかを善とか悪とか決めつけられるものではなく、巨大な貿易の仕組みが結果的にもたらす不平等があるということ。

そして観ながら考えていたことは、この作品から15年くらい経った今、実際どうなのかということ。このところ流行っている本「FACTFULNESS」の冒頭にも書かれていたけど、アフリカは私たちが思っている以上に発展している。飢餓のイメージをそのまま持っている人も多いけど、そこは私たちかなりアップデートしなければいけないと。

作品には飢餓のこと、痩せ細った子供の姿、コーヒー価格の暴落でそれに拍車がかかっているというようなことが描かれていました。一方、2020年現在、フェアトレードの知名度はかつてより上がっているし、スーパーでもフェアトレードコーヒーを入手したり、カフェでフェアトレードコーヒーをオーダーできることも増えていると思う。このあたり2008年の映画を観てフェアトレードに対する思いを新たにする一方、状況は刻々と変化するんだから自分の中も常にアップデートしていかなければいけない、ということも感じました。

私、コーヒー好きです。ほぼ毎日1〜2杯飲みます。職場に地元のロースター屋さんアルドコーヒーが出張してきてくれているので、日常的に相当美味しいコーヒーをいただいています(自慢!)。大学院通っていた昨年は、必ずと言っていいほど、改札出たら脇のスタバに寄ってグランデサイズのラテを頼み、それをお供に論文執筆に勤しんだものです。

コーヒーないと、困るんです。タバコを止められない人の気持ちが分からなくもないんです。単に喉を潤す液体ではない。紅茶も好きだけどなんか違う。ちょっとしたコーヒーの中毒性なんでしょうね。

環境に悪いから、人権に配慮してないから、そういう理由で何もかも止めようとすると、私たちはほぼ生きることができなくなる。コーヒーを飲みたい私とコーヒーがもたらす不公平の間をどうにか掻い潜って、私なりによりよくコーヒーをいただく方法は、いまのところ適当にコーヒーを飲まないことかなと思っています。フェアトレードを入手できるときはする、買ったコーヒーは美味しく飲み切る、カップはできれば持参する、無理はしない。そう、無理はしない。

ということで、『おいしいコーヒーの真実』を観て思ったことでした。言うまでもなく、見終えた後コーヒーを淹れました。コーヒーって、やっぱり美味しい。ありがたい。

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