ドルトン東京学園の校長がオモロい
こんにちは。タカサカモトです。
前回の記事では、先日イベントに呼んでいただいてドルトン東京学園にお邪魔した日のことを書きました。こちらの記事です☟
この記事でも少しだけ触れましたが、元々このステキな学校とのご縁ができたきっかけは昨年、校長の安居長敏さんが拙著『東大8年生』を読んでくださり、SNS上に長文のレビューを投稿してくださったことでした。(後で伺ったら書店でジャケ買いしてくださったということで、有難い限りです)
その熱いレビューを見て初めて安居さんやドルトン学園について知り、そのユニークな校風や教育方針に興味がわいたため、一度遊びに行かせてもらったのです。
実際にお邪魔してみると、これが期待していた以上に楽しそうな環境で、特に図書室は毎日入り浸りたくなるくらいステキでした。
このとき午後の授業時間でしたが、生徒達の様子も面白くて、一人キャンバスに向かって絵を描き続けている少年がいたり、司書さんみたいに図書室をウロウロしている少女がいたり、あるいは校舎の周りを徘徊しながら文字通り俳句のテーマを探している子達がいたり、数学の問題に個々でなくグループで話し合いながら取り組んでいたり、購買を生徒自らが運営していたり、本当に生徒の自主性や主体性が尊重されている印象でした。
教育現場、特に学校でこれを実践するのって、実際それなりのリスクもあるし難しいことだと思うんですが、少なくとも現時点でのドルトン学園は、単なる理念で終わらせることなく現実に、“自由な学びの場”を出現させているように感じました。
そんなユニークな学校を校長として率いている安居長敏さんその人が、今回の記事のメインテーマです。
「校長がオモロい」という、下手したら失礼極まりない表現のタイトルを付けましたが、敬意と共に、素直にしっくりくる言葉を選んだらこうなりました。(きっと安居さんご本人はこのニュアンスを理解・許容してくださるはずですので、真面目な皆さんも怒らないでくださいね)
というわけで、ここからは安居さんの話をします。
校長のオモロい経歴
安居さんは滋賀県出身で、大学卒業後、地元の滋賀女子高校(現・滋賀短期大学付属高等学校)に理数教科の教員として赴任。そのまま20年勤めた後、42歳でいきなり教員を辞めて起業します。
もう一度書きます。
安居さんは新卒から20年間、地元の学校で教員として勤めた後、42歳でいきなり辞めて起業の道に進みました。ちなみにご家庭もおありでした。
しかも事業内容は教育関係ではなく、失礼ながらどう考えても簡単に儲かりそうには思えない、コミュニティラジオ局の立ち上げと運営でした。同じく別業種、具体的には電車の運転士をされていた昔からのご友人に誘われての起業だったようです。「友達に誘われて一緒にやることにしたんですよ〜」と、まるで小学生が近所の習い事に入会した話でもするような雰囲気で仰るのが印象的でした。
あ、これはちょっと"ヤバい"お方だと、この時、完全に確信した記憶があります。
その上で真面目な話も付け加えると、1995年の阪神淡路大震災発生時にコミュニティラジオが大きな役割を果たしたことが念頭にあった上で、滋賀県初のコミュニティFM局を創ろうという志が原動力のひとつであったということでした。
とはいえやはり、簡単に収益化させられるような事業ではありません。そこで安居さんは生活のため、ラジオ会社の経営に携わる傍ら、パソコン関連の出張訪問サポートの仕事を始めます。で、ここからがまた氏の真骨頂なのですが、人によっては苦手だったり緊張してしまうであろう出張訪問の仕事が、ただただ楽しかったといいます。
曰く「毎日何軒か知らない人を訪ねて新しい出会いを経験するわけなんで、人間好きでお喋り好きの自分には楽しくて仕方がなかった」ということです。
こうしてワクワクしながらもう一つの仕事に勤しみつつ、同志の方々と共にラジオ局を成長させていった安居さんですが、4年後に再び転機が訪れます。
ある日、自局のラジオ番組のゲストとして招いた県内の高校の関係者が安居さんの過去を知って、教員に戻らないかと声をかけてきたのです。このオファーを受ける形で滋賀学園に赴任し、46歳で教育現場に復帰。その後、同校校長を経て、再びスカウトを受ける形で沖縄県のインターナショナルスクールに校長として赴任し、そこでも数年勤めた後、ドルトン東京学園の立ち上げに参画し、校長となられて現在に至ります。
という型破りな、特に学校教育界においてはいっそう異色であろう経歴をお持ちの方が、現在のドルトン学園を率いているわけです。
年齢にも立場にもとらわれず、人生をいつでもゼロリセットして新たな世界に飛び込んでいける、その胆力と軽やかさは、まさにこの学校にしてこの校長あり、そして逆もまた然りという印象です。
校長のSNSも面白い
さて、ここまで安居校長のこれまでを中心にご紹介しましたが、氏の現在のご活動もひとつ、最後にご紹介しておきます。
SNSでのブックレビューです。
Instagram、Facebook、そしてTwitter(X)に、日々ご自身が読み終えた本への熱い感想と紹介コメントを綴ったものなのですが、これが毎度とっても興味をそそられるのです。
その一冊がご自身にどう響いたかが率直かつ情熱的に記されており、その言葉のまっすぐさには強い説得力が宿っています。
せっかくなのでリンク紹介しておきますね。
何より驚かされるのは、その更新頻度です。
ご本人に尋ねてみたところ、通勤時間を含め、毎日必ず一定時間は読書に割いているとのことでしたが、なかなか真似できるペースではありません。しかも毎回、全力の長文レビューです。
冒頭でも触れたように、僕自身がまさに、拙著を熱くレビューしていただいたことをきっかけに安居校長と知り合ったのですが、氏曰く、自分が読んで好きになった本は必ずレビューを書き残し、著者とのコンタクトを試みるとのことでした。
そうやって人の輪を広げ、その輪にドルトン学園の生徒や職員、そして保護者の皆さんをも巻き込んでいくような活動を、校長の立場で積極的に進めているというわけです。
ある意味、僕もまんまとそれに釣られたわけですが、その結果安居校長だけでなく、学園や生徒たちとの出会いにも恵まれたわけですから、有難いことです。
ご興味を持った方は、安居校長のSNSをご参考に、次に読む本を選んでみても面白いかもしれません。ぜひ覗いてみてください。
というわけで、前回に続いて今回も、ドルトン東京学園をテーマにお届けしました。
2019年に開校したばかりの同学園は、いよいよこの春で中高合わせた全6学年が揃い、学校として本当のスタートを迎えることになります。来年には最初の卒業生がそれぞれの進路に向けて巣立ちます。
願わくば今後も時々お邪魔させてもらいつつ、このステキな学園の今後に注目し続けたいと思います。
それではまた。
このご縁のきっかけになった拙著『東大8年生 自分時間の歩き方』のAmazonリンクを貼っておきます。お陰様でその後、読書推進運動協議会による「若い人に贈る読書のすすめ」2024年版にも選出していただきました。ご興味ある方はお手に取ってみてやってください。
ついでに、先月刊行された2冊目の著書『PLMメソッド ファンを増やしてプロ野球の景色を変える!』のリンクも貼っておきます。こちらはスポーツ業界ではたらく魅力的な人々にスポットを当てたビジネス・ノンフィクションです。併せてぜひ。
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