ドルトン東京学園のイベントに登壇しました
今月16日、前回の記事で紹介したベネズエラのメヒアさんが西武ライオンズOB戦でホームランを打ったのと同じ日、僕は東京都内の中高一貫校、ドルトン東京学園(以下ドルトン学園)にお邪魔していました。
ドルトン東京学園
ドルトン学園は2019年に開講したばかりの新しい学校ですが、そのユニークかつ魅力的な校風や教育実践によって、教育界を中心に大きな話題となっています。最近では教育の枠をも超えて、たとえばカルチャー&ライフスタイル雑誌の『Pen』にまで掲載されていました。
などと書くと、いかにも僕も前から知っていたような雰囲気になってしまいますが、実際にはその存在を知ったのは今から1年前、2023年の4月でした。
当時刊行されたばかりの拙著『東大8年生』を読んでくださった同学園の安居長敏校長がSNSに激アツなレビューを投稿してくださり、それがきっかけで同学園に遊びに行かせてもらったのです。
この縁が端緒となって今回、年度末に開催される同学園の集大成的イベントである Dalton Expo 2023 に、ゲストスピーカーの一人としてお声がけいただきました。
Dalton Expo 2023
このDalton Expoは、いわゆる研究発表会のようなイベントです。生徒一人ひとりの主体的な学びや知的探究を大切にするドルトン学園の、まさに真骨頂が現れる2日間です。在校生の保護者だけでなく、入学を検討しているご家庭や教育関係者・ジャーナリストなど、様々な方が見に来られるとのことでした。
そんな中、僕が登壇させてもらったのは1日目、一般公開前の特別ゲスト企画と呼ばれる枠で、安居校長と、NPO学習学協会の本間正人さんとの鼎談でした。対象は全校生徒の半分にあたる在校生約150名。トークテーマは「外から見たドルトンの魅力」でしたが、その場で生徒にも自由に発言してもらってアドリブ重視で行きましょうということで、あまり準備らしい準備はせずに本番に臨みました。
経験豊富な教育者にしてエンターテイナーの本間さんが当意即妙に場をリードしてくださり、手を挙げて質問した生徒達にも順番に壇上に上がってもらうなど和気あいあいとやっている内に、瞬く間に90分が過ぎていきました。
個人的に印象に残ったのは、どの学年のどの生徒が壇上に上がっても、同じような温かさで見守り、そして盛り上げるようなポジティブな雰囲気が、在校生の間で自然と共有されているように感じられたことです。互いの個性や在り方を前向きな態度で尊重することが当たり前になっているような空気感があり、良い意味で大人な集団だな、という印象を受けました。一言で言えば、とてもステキでした。
というわけで、僕の公式な役目はこの午前中で終わったのですが、中には個人的に聞きたいことや話したいことがある子もいるかもしれないということで、校長室を借りて個別にお話することにさせてもらいました。
ちなみに昨年秋にICU高校で講演を行った時にも、同じく終了後に校長室で生徒達と話し込んだのですが、その時のこともnoteに書こうと思ってすっかり忘れていたのを今思い出しました。ICU高校という同じく魅力的な学校のご紹介も兼ねて、今度書きます。
閑話休題。ドルトンに話を戻します。
校長室で座談会
イベント後、校長室で待っていると、2年生(中2)の男子生徒が1名、遊びに来てくれました。宇宙が大好きでモデルロケットの研究・開発をライフワークにしているという少年で、そのための資格も持っているということでした。僕自身はモデルロケットという言葉自体が初耳だったので、そのための資格があるという話にもただただ驚くばかりでした。簡単に言えば実際に火薬を詰めて飛ばすタイプの小型の無人ロケットということですが、詳しく聞けば、本場USAでは高度100kmを記録した猛者もいて、軌道には乗らなかったものの宇宙空間には届いたということです。びっくりです。
ちなみにドルトン学園、このロケット少年と同じ2年生にはドローン少年もいて、各地のドローンレースで活躍しまくっているということでした。今度この2人がタッグを組んで、モデルロケットが高く飛ぶ様子をドローンで撮影するという企画を実行するようです。このドローン少年も後で校長室に挨拶に来てくれました。
というような話をしていたら、他にも生徒が何人か集まってきて、校長室の応接テーブルを皆で囲んで色々と語り合う時間が始まりました。集まったのは5年生(高2)と2年生でしたが、学年学級型のクラスの代わりに異学年混合の「ハウス」を採用しているドルトン学園らしく、こういう時に発生しがちなよそよそしさやぎこちなさがほとんどありませんでした。やはりステキです。
僕の経歴や背景もあってか、集まってくれた中にはスポーツ好き、サッカー好きで、将来スポーツ関係の仕事を目指している子達もいました。一方、そんな友達にとりあえずついてきただけの子もいました。最初のロケット少年も含め、そういう色んな個性やテンションの子達とテーブルを囲む時間というのはなかなか楽しいものです。色々話している内に、気が付くと3時間半くらい経っていました。
途中、何組か校長室を訪れた大人の方々がいらしたのですが、こちらがご挨拶に席を立とうとしたところ、皆さん「生徒の貴重な時間を奪ってはいけない」みたいな感じで恐縮されながら、足早に出て行かれました。どうやらこの学校は教職員の皆さんだけでなく、他所から集まってくるゲストの方々も含め、当然のように生徒第一に行動される大人ばかりのようでした。安居校長自身もそれを自然なこととして受け止められている様子で、こちらが「校長室占拠してて大丈夫ですか?」と何度か確認しても、「全然大丈夫です!どうぞ話しててください」と毎度即答でした。
結局、この日予定されていた校長自身のインタビュー取材の時間までずっと話し続けたことになります。
もはや何を話したか細かく思い出せないくらいには濃い時間でした。僕も色々勉強になりました。
遊びに来てくれた皆、ありがとう!
というわけでこれで解散、お役御免かと思いきや、実はこの後、さらに成り行きでメディアの方から取材していただくことになり、学校を出る頃にはほぼ日が暮れかけていました。
あまりに濃密な1日で、久しぶりにエネルギーを空っぽになるまで使い果たした感覚があり、危うく風邪を引きそうになりました。
前向きなエネルギーを持った人と人とが本気でぶつかり合う場というのは、やはり良い意味で人を疲れさせる力があるものだなと再確認しました。
ドルトン学園訪問は今回で2回目でしたが、やはりとってもステキな学校でした。
この春でいよいよ全学年が揃う同学園が今後ますますユニークに発展していくことを期待しつつ、ぜひまたお邪魔させてもらおうと思います。
改めて安居校長はじめ関係者の皆さま、ご招待ありがとうございました。
それではまた。
【追伸】
ドルトン学園との縁ができるきっかけになった拙著『東大8年生 自分時間の歩き方』(徳間書面)のリンクを貼っておきます。ご興味ある方はぜひ、チェックしてみてやってください。
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