いつか書けなくなった時のため、書けるわたしからの手紙を贈る
noteが書けなくなった時があります。
自分の言葉に自信が持てず、語りたい気持ちに出合えず、書こうとする姿勢すら保てず。
まるで暗闇の中を進んでいるような、前に進めているかも分からなくなるような時間。
そのわたしの足元を照らしてくれたのは、同じ「書けない」気持ちを持った人と、わたしの側で変わらず書き続けている人の存在でした。
いま、わたしは毎日安定してnoteを書いているけれど、いつかまた書けない日が来るかもしれません。いや、絶対来る。書くって、そういうことだと思う。
だから今日は、そのいつかの日のために「書けるわたし」から「書けないわたし」へ手紙を書きます。
書けなくなった、あの時のこと
拝啓、お元気ですか。
この手紙を読んでいるということは、きっとあなたは今、noteが書けなくて、言葉が出てこなくて、あるいは言葉を選べなくて、あるいは出てくる言葉に納得できなくて、大層困っているのでしょう。
まずあなたに伝えたいのは、あなたが書けなくなったのは初めてではないということです。
書けなくなった時があります。
とにかくnoteを開いてみたり、スキマ時間ができる度にスマホのメモ帳アプリを立ち上げたり、自分のツイートを振り返ってみたり。
いろいろ試してみたけれど、結局noteを書ききることはできなかった。
noteが書けなくなっても、わたしの世界は変わらなかった
心細くて、切なくて、寂しくて。なんだか言い表しようのない感情がありました。
noteでなくても、例えば日記に書くことがなくなったり、友達への手紙を何度も書き直したり、宿題の作文ができなかったり……。そういう瞬間は、誰しもあるでしょう。そして、乗り越えてきたでしょう。
あなたも、その一人です。確かにその足で、この苦しみを乗り越えてきました。
それでもわたしは今、こうしてnoteを書いている。うんうん唸りながら、書いては消してを繰り返している。書いては消しているけれど、徐々に文は繋がっていっている。
書ける時間に終わりが来たように、書けない時間にも終わりが来ます。
それをどうか、覚えていてください。
今の暗闇が永遠ではないことを、知っていてください。
書けないのか、書きたくないのか、書かないのか、書きたいことがないのか
あなたは「書けない」と言いますが、本当にそうでしょうか。
言葉が出てこないのか。
それとも気持ちが書くことに向いていないのか。
書く以上に楽しいものを見つけたのか。
書かずにはいられないテーマがないのか。
あなたは書けないのではなく、書かないことを選んでいるのかもしれません。
暗闇に突然引きずり込まれたように感じているかもしれないけど、自分から暗闇に足を踏み入れたのかもしれません。自ら灯りを消したのかもしれません。
そこを、一度整理しておきましょう。
別に「書く=良い」ではありません。
書くことを前提にするのをやめて、フラットな気持ちで現状を眺めてみてください。
現実は、あなたが悲観しているほどのものではないと思うから。
読むことも話すことも考えることも、「書くこと」の仲間であること
「書くこと」とは、何なのでしょうか。
キーボードを指で押して、液晶画面に文字を表示させることでしょうか。頭の中で言葉を繋げることでしょうか。たとえ言葉でなくても、イメージや色が思い浮かんだら「書いている」ことになるのでしょうか。
おそらく、いまのあなたが考えているよりも「書く」はずっとずっと広いです。明確な定義的な意味合いではなくてね。
わたしは、読むことも、話すことも、考えることも、考えないことでさえも、「書く」の一環だと思っています。
その瞬間のあなたは書いていないのかもしれないけれど、書く材料を集めたり、準備を進めていたりするのです。
いきなり走り出しても息が続かないように、いきなり書き出しても言葉は続きません。
自分の中に言葉を蓄えること。
問いを見つけること。
感情を震わせること。
そういうものがあって、初めて人は書くことができるのだと思います。少なくともわたしは言葉が湯水のように出てくるタイプではないので、こういう準備が定期的に必要になります。
過去、その苦しい時間を耐えてくれたからいまのわたしは書けています。きっと、いま、あなたがその苦しい時間を過ごしているから、未来のわたしはまた書けるのだと思います。
一見ムダなように思える日々、鈍いと思う速度であっても、それが必要なんだということ、それが必ず役に立つということを心得てください。
「書くことは身を削ぐこと」とは思わなくてよろしい
最後に、未熟者ながらひとつアドバイスをしておきます。
書くことは身を削ぐこと、なんて思わなくてよろしい。
見つめるのが苦しい過去や、大切な思い出、忘れられない瞬間。そういうものを、無理に差し出そうとしなくていい。
もっと、日常の些細な幸せや、ちょっとした発見、朝起きた時にパッと思い浮かんだことでよいのです。
1000文字に行かなくたって、大したオチがつかなくたって、まとまりがなくたってよいのです。
だからもっと気楽に書いてください。
最初から人に見せられるような代物を完成させようとするから書けなくなるんです。誰かに宛てて書く手紙のように、ひっそりとした気持ちで書いてみてください。
あなたの言葉を、いつまでも待っているから。
敬具
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