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輸入の価格に関する注意事項

インフレ、デフレといった、
物価について、
考えるうえで、
一つ、気を付けなければならないことがあります!

インフレは、
需要>供給
需要過剰、供給不足により
生じると以前の記事で
説明を行いました。

需要が多いわけですから、
景気が良いわけです。

実際、
経済成長は
基本的に、
適度なインフレを
伴っています。

ただ、
増えた需要によるものではない
インフレもあります。

これは、
景気に左右されない
良くないインフレです。

例を挙げれば、
1970年代の石油ショックや
コロナ化によるマスクの値段の
高騰などがありますね。

これらは、
輸入する原油の価格が
上昇することで、
物価が上昇するような形で
生じるインフレであり、
需要過剰で生じるインフレとは
異なります。

石油の価格が上がると、
燃料費などが増加し、
当然、
企業の収益は圧迫され、
個人の生活も苦しくなります。

ここで重要なことは、
日本は原油などを
ほとんど産出していないという点です。

これがどう関係するのか?
というと、
例えば牛肉など
国内でも生産していた場合で
考えてみましょう。

輸入牛肉が高くなった場合は、
輸入牛肉を扱う企業にとっては
痛手ですが、
一方で国内牛肉を扱う人たちにとっては、
需要の拡大に
つながるわけですね。

これに対して、
石油などでは、
原油を生産する企業は国内には
ほとんどないことから、
国産原油の企業の需要が
増大するといったことは
ほとんどありません。

つまり、
国内に競争相手のない
製品やサービスの
輸入価格の増加は、
確かにインフレを起こしますが、
これは、企業や家計を圧迫して
景気を悪化させる方向にしか
作用しないインフレになります。

これは、
デフレにもいうことができます。

たとえば、
原油の値段が下がったとすれば、
企業や家計は楽になります。

ただ、
国内産業を保護していた、
輸入の関税などが引き下げられる場合は、
安い外国製品の流入により、
消費者は楽になりますが、
国内産業は需要を失い、
苦しくなります。

国内産業が、
外国の製品との競争に敗れて、
衰退すると、
多くの企業が倒産し、
多くの失業者が生まれます。

倒産した企業は投資せず、
失業者は消費を減らしますので、
国全体の需要は減ります。

多くの失業者が
職を求めるようになれば、
国全体の賃金水準も
下がる方向に働きます。

この場合は、
輸入製品が安くなることが
デフレを進ませる方向に
作用するわけです。

このように、
インフレ、デフレが
良いか悪いかは、
単に物価の上がり下がりだけでは
わかりません。

需要がたくさんあることにより
生じるインフレは良いインフレ。

価格上昇により、
生じるインフレは悪いインフレです。

この構造は、
頭に入れておくと
非常にニュースなどでも
役に立ちます。

最後に、
輸入品の価格の下落で
注意をするポイントを
もう一つ説明して
今回の記事を終わりたいと思います。

輸入品の価格が下がると、
消費者の出費は収まるので、
その分、手持ちが増えます。

手持ちが増えた場合は、
皆さんは何をしますか?

おそらくは、
支出を増やすと思います。

ただ、
デフレの場合は、
消費者は、
必ずしも浮いたお金を
使うとは限りません!

デフレとは、
以前の記事で説明したように、
お金の価値が上昇している状態
ですから、
消費者は、浮いたお金を
支出ではなく貯蓄に回してしまいます。

そのため、
デフレ下において、
輸入品の価格が下がっても、
それが消費の増加につながり、
デフレ脱却に向かうとは
限らないわけです。

デフレの厄介さが
少しずつ理解されてきたのでは
ないでしょうか?

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