日々を折り返す。

撮影の現場が折り返し地点に差し掛かった。前半たった5日間だけの撮影なのに初日の記憶は遠いかなたへ行ってしまったように思える。落ち込みと浮き上がりを行き来しながら1ヶ月近くの時間が過ぎたと思うとどうやってこの日々を過ごしてきたのか、よくわからない。周りの人たちはとても思いやりがあって自分は幸せだなと思う一方で、やっぱり良くならない自分の動きに辟易とする。それで落ち込んだ瞬間も何度もあったが、少し考え方を変えた。

得意なことは得意な人にやって貰えばいい。苦手なことを無理に克服してやることはなく、自分の得意な、そしてその瞬間に楽しいと思える役割とポジションを全うすればそれでいい。明日からの撮影でもきっとこの不甲斐なさとの闘いにはなるのだろうが、とにかく最後まで乗り切りたい。ゴールが見えている。あと5日。

これが終わったらこのポジションの仕事は二度と受けない。別にネガティブなニュアンスではなく、やはりこれだけは、終わりでいい。「また違う現場で会いましょう」という言葉をスタッフ同士が話しているのを聞いてとても憧れてしまったが、そこには行けないのだ。これは清々しい挫折とでもいうものだと思う。もう無理にその場にいなくてもいい。克服できるのか、この10年くらいの間で充分に試した。どんなに改善しなくても不甲斐なくても、とにかく全力で、あと5日。


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