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【健康経営】パーソナルトレーニングで事故増加

 パーソナルジムが増加している背景として、芸能人を広告に使用した某ダイエットgymの影響や新コ禍での3密回避などが上げられています。それと同時にトレーニングによる怪我の報告も増加しているようです。ここではその発生率と発生原因及び改善案を考えてみたいと思います。
参考:「追い込まないと効果が出ない?」


発生率と他業種との比較


 国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」へ寄せられた情報では2017年度以降から5年間の累計で105件事故報告があったようです。パーソナルトレーニング市場規模が  なので客単価が  だと仮定すると  %が事故にあう確率です。医療事故ではどうでしょう?少し乱暴な推論な気もしますがpresidentonlineの記事では日本では年間0.4%が医療事故で亡くなられているとも
 このように比較するとパーソナルジムでの事故件数はそう多くないとも言えます。ただ、近年パーソナルジムが増加している影響で話題になっている原因だと考えられます。もちろん、かと言ってこの事故を減らすことは業界として取り組むべき課題だと思います。

事故の原因は?


 国民生活センターの報告では「パーソナルトレーナーの指導により、前屈位の状態で重量のあるバーベルを上げるトレーニングを行ったところ、腰椎(ようつい)骨折等の全治1カ月以上を要する重傷を負った、という事故情報が寄せられました」と記されています。恐らくこれはデッドリフトという種目を指していると思われます。確かにデッドリフトは腰に障害が発生しやすい種目です。私も何度も急性腰痛症を起こしています。いわゆるギックリ腰です。これは癖になりやすいので。。
 怪我をさせてトレーナーを擁護する訳ではありませんが自分の体は自分が一番わかっているし、私自身はトレーナーを15年以上やっていますが時と場合によって判断を誤ることはあります。アスリートはパフォーマンス向上のために肉体的な限界ギリギリのトレーニングを行ないます。トップアスリートになると多くが何かしらの怪我(外傷を除いて)を経験しています。トレーナーも同じ傾向があります。
だからと言って、クライアントへ同じように肉体の限界までトレーニングをさせる必要はありません。一般的な人がトレーニングに望む成果は「痩せたい(普通体型)」「健康になりたい」と言ったもので、「ムキムキになりたい」「1秒でも早く走りたい」というものではありません。よって怪我のリスクを負ってまで効果を追求する必要はないのです。
 「業界の構造」が一つの問題ではないかと考えています。トレーナーは多くの脅威に晒されて過剰な成果主義に繋がっているのではないでしょうか。例えば、パーソナルジムは低コストで開業可能で成長市場なので新規参入が凄まじい勢いで進んでいます。その影響で生き残りをかけてトレーナーは必死で成果をクライアントへ提供しようと焦ります。それが過剰なトレーニングへとつながる可能性があると考えています。他にも顧客は沢山あるジムの中から選ぶことが可能です。これが逆にジムが少なく顧客が多い需要と供給のバランスであればトレーナーは長期的に体を作るプランを作るようになるでしょう。それが市場原理だと思います。最後に売り手であるトレーナーです。パーソナルジムにとっての仕入れはトレーナーという人材であり、その人材市場は飽和しています。誰でも簡単になれてしまうからです。これに関しては国家資格がないからでは?という議論でますが私はそうは思いません。なぜなら、前述したように医療現場でも事故が起こることを見ればわかります)。パーソナルジムは人材を選びたい放題なので労働者であるトレーナーは必死で選ばれる努力をします。それが成果を出すために過剰なトレーニングと過剰な食事指導へと裏目に出ているのではないでしょうか。


トレーナーの立場の弱さが過剰な成果主義を後押し


改善案

1.優秀なトレーナーはどんどん独立開業して質の低いジムに競争を仕掛けましょう。
2.ジムオーナーは運動強度に対するガイドラインには最低限のルールを設けるように部分的な研修システムを導入しましょう。
3.顧客も知識をつけて質の低いトレーナーを見分けられる様になりましょう。
4.顧客は短期ダイエットはリバウンドリスク、怪我のリスクが高まることを理解して賢くパーソナルトレーニングを利用しましょう。

 多くのパーソナルジムはトレーナーを業務委託として採用しています。有名な大手ダイエットジムでは現場トレーナーの給与は低く、非現場の経営陣の給料は高額です。これが何を意味しているのか?パーソナルジムにおいて商品である運動指導を行うトレーナーは『非コア』”それほど重要ではない”ということです。大型ジムは立地や内装、システムや広告宣伝で優位性を確立します。小さなパーソナルジムではトレーナーが独立することを見越して雇用します。パーソナルジムは美容室や飲食店と同じで分散型事業です。規模化が優位性を必ずしも産まないため上手くやれば1人社長でそこそこやっていけます。さらに開業費も高くないため独立を目指す人材が多くいます。それを雇い主も理解しているため「いずれ辞める人材に、高い給与は払えない・教育費にコストはかけれない」となる訳です。つまり、現在の業界構造のままだと改善は難しい。主な改善方法は優秀なトレーナーが独立すれば質の低いジムは自然淘汰されます。もしくは、教育コストがない、教育ノウハウが自社にないジムは外部研修を利用して障害リスクに対するガイドラインを自社に持つと良いでしょう。残りは顧客の問題になりますが「家から近い」「安い」などの理由ではなくトレーナーの質で判断しましょう。また、短期的な成果要求は自分自身の首を絞める自爆行為だということを知ることが大切だと思います。


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