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R6行政書士試験対策 憲法判例集(全77判例)


最大判昭27.8.6 石井記者事件

【事案】
Yは朝日新聞記者として朝日新聞社に勤務していた者である。税務署員の収賄事件における逮捕状の記載内容の事実が逮捕状の執行の翌日の朝刊に掲載され、情報が事前に漏れていた疑いで、国家公務員法違反被疑事件について、新聞記者Yが証人として召喚された。Yは記事の出どころについて証言を求められたものの、取材源の秘匿を理由として宣誓及び証言全部を拒否したため、証言拒絶罪(刑法161条)で起訴された。

【争点】記者に証言を拒絶する権利(証言拒絶権)は、憲法21条により認められる権利であるのか。

憲法21条
1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

【判旨】新聞記者に取材源につき証言拒絶権を認めるか否かは立法政策上考慮の余地のある問題であり、新聞記者に証言拒絶権を認めた立法例もあるが、わが現行刑訴法は新聞記者を証言拒絶権あるものとして列挙していないのであるから、刑訴149条に列挙する医師等と比較して新聞記者にその規定を類推適用することのできないことはいうまでもないところである。
憲法21条の表現の自由の保障は一般人に対し平等に表現の自由を保障したものであって、新聞記者に特種の保障を与えたものではない。憲法の規定の保障は、公の福祉に反しない限り、いいたいことはいわせなければならないということである。

【結論】憲法21条は新聞記者に特種の保障を与えたものではない。未だいいたいことの内容も定まらず、これからその内容を作り出すための取材に関しその取材源について、公の福祉のため最も重大な司法権の公正な発動につき必要欠くべからざる証言の義務をも犠牲にして、証言拒絶の権利までも保障したものではない。

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※YouTubeで配信していたものになりますので判例番号は気にしないで下さい

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