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さて、Fundsに翼を授けるのは?【FundsAC2021連動】

※ これは「Funds Advent Calendar 2021」24日目の記事です。※

ご無沙汰しております。ファンズの髙尾です。気づけば今年もあとわずか、note更新は前回STOのエントリー以来1年5ヶ月ぶりのようです。あないみじ、時が経つのは実に早いですね。

うーむ、何を書こうかなと考えたのですが、普段あまりテキストで表現する機会がないので、ファンズというチームについてマジメに書きます。なお、以下ではファンズという場合は組織としてのファンズ株式会社、Fundsという場合はプロダクトとしてのFundsをいいます。

なぜファンズはFundsをやってるか

チームとしてのファンズを語るには、私たちがどのような課題に取り組んでいるかを説明しなければなりません。個人の資産形成/資産運用という自助の機会を提供すること、これです。

総務省の公表によれば、2021年7月1日現在、日本の総人口は1億2568万人、このうち65歳以上の高齢者は3617万人、現役世代(15~64歳)7465万人であり、ざっと65歳以上1人を現役世代2.0人で支えています。今後も少子高齢化が進み、2065年には65歳以上1人に対して現役世代1.3人という比率になると見込まれています(内閣府・高齢社会白書)。参考までに、戦後の経済復興が軌道に乗りつつあった1950年の比率は高齢者1人に対し現役世代12.1人であり、人口動態は100年余りで著しく変化することが分かります。

こうした社会状況を念頭に、2019年6月に公表された金融審議会「市場WG報告書」では以下のように指摘されていました(当時、老後2000万円問題として取り沙汰された報告書です)。

人口の高齢化という波とともに、少子化という波は中長期的に避けて通れない。(中略)公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していくことを踏まえ…資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要があるといえる。

2019年1月のリリース以来、我々がFundsというプロダクトで解決を目指してきた課題は、市場WG報告書に的確に表現されています。私たちが掲げるミッション「未来の不安に、まだない答えを」もまさしくこのような課題認識を前提としています。

”Mission Driven”

ここからが本題です。ファンズとはどういうチームか。まず言えることは、Mission Drivenであるということです。

「未来の不安に、まだない答えを」は、①未来の不安に対する答えを提供すること、②その答えがまだ世にないものであること、の2つの要素に分解できます。このうち①は、将来不安に対してAnswerを示す以上、言わずもがな個人投資家を始めとするステークホルダーに対して誠実でなければならないということです。また、②の要素は、既存のパラダイムに引きずられず、新たな着想を得て、その着想の具現化に立ち向かうことを要求します。私がファンズに仲間入りしてから4年半、実現できたこと、それよりもまだ多くの実現できていないことがありますが、このチームはミッションに対して忠実に意思決定し、行動してきたのではないかと思います。

投資家を始めとするステークホルダーに誠実であれ、というのはファンズのValue「コンプライアンス・ファースト」とも言い換えて表現できるのではないかと思いますが、これが私たちに最も浸透した価値観のひとつであることに異を唱えるメンバーはいないはず。新たな着想を得て、その着想の具現化に立ち向かうことは、これまで数々の「まだない」を世に出すことで体現してきました。今年のトピックは19日目の藤田さん記事で書かれているとおりであり(個人的には地位移転スキーム導入もbig thingですが)、去年も含めるとメルカリファンドのメルペイ決済連携などですね。

前例のないことをやるには多くの困難が伴いますが、各自がそれぞれの専門領域で主体性を発揮し乗り越えてきました。「超・自分事」というValueで言語化しています。あ、ファンズのValueってそもそもどんなん?と興味を持っていただいた方は6日目のHR絵美さん記事をご覧いただけると幸いです。

”Bundle of Arrows”

もう一つ、私がファンズに対して思うのは、Bundle of Arrows(矢の束)とでも言うべき特性です。

Funds上で提供しているファンド商品には物理的な姿かたちがありません。リンゴのように手に取りつやを確認したり、自動車のように試乗して加速のスムーズさを体感することで良し悪しを判断することはできないわけです。では、Fundsで販売しているファンドの正体は何でしょうか。その答えは、お金をめぐる様々な約束ごとの集合体(Bundle of Rights)です。

つまり、どういう条件が成就した/成就しなかった場合に投資元本・利回りが支払われる/支払われないのか、いかなる条件のもとで返済が猶予されるのか、担保権が実行されるかといった取り決めそのものがFundsの商品です。このような取り決めは、資金提供者である投資家と最終的な資金需要者である借り手企業との間でお金が行き来する際に、当社以外の関与者がいる場合には、その関与者との関係でも決めておく必要があります。

したがって、ファンズのBizDevメンバーは、借り手企業や提携パートナーと折衝し、多岐にわたる約束ごとの内容を詰めていく動きが必要となり、プロダクト開発部門は取り決めの履行を可能ならしめるシステムの設計、開発が期待されます。また、リーガル担当は約束ごとの内容をテキストに落とし込み具現化する職責を担い、CS/Ops部門は顧客からの問い合わせに対して適切な案内を行うこと、お金の行き来を差配することが求められます。

さらに、先ほどお話したリンゴや自動車との比較からも明らかなとおり、金融商品の良し悪しは外形的に現れにくいことから、審査部門は借り手企業の信用リスク等を調査することにより、粗悪な商品の上市を防止する役割を担います。コンプライアンス担当は、商品の内容や組成プロセスが法令、自主規制規則に適合するように態勢を整備することが求められます。

このように、Fundsの運営に際しては、各領域を担う部門や担当者が一体となり矢の束のごとく総攻撃で新しい商品を仕上げていきます。それゆえに、各自が互いの職能に対して背中を預け合えるだけの信頼感をもってないと上手くいかないし、さらには自らの領域を跨ぐことを躊躇せず、またそれを受け入れる組織でなければなりません。14日目のCTO若松さん記事における以下の記述がこのことを示唆しているように思います(ドメイン知識をバックグラウンドを異にする専門的知見と言い換えれば)。

金融という事業の性質上、金融商品取引法をはじめとする法令に基づき運営する必要があり、各種帳簿類の整備も必要…ルールさえ分かれば実装すること自体は可能です。ただこうした帳簿の記録は、会計の知識があれば、より汎用性のあるモデルで取り扱うことが可能であると後から気づき、ドメインについての知識をより正確に理解できていればなぁ…と感じています。

ただし、これは自分自身への戒めとしてもあえて書くのですが、ある領域で高い専門的な知見を有する人材は、一般論として自らの領域の切り口から物事をみたがる(つまり、他の観点や一歩引いた鳥瞰的な視座を重視しない)ケースがあるように感じています。そこで、ファンズでは、先ほど紹介した「超・自分事」というValueの意味づけに超/Superのみならず、超/Beyondを含めた上で施策に反映することにより、サイロ化の問題が生じにくい組織設計にしています。

全員Enablerであれ

ここまで、私が普段から感じているファンズというチームの特性を”Mission Driven”と”Bundle of Arrows”という言葉で語ってきました。

個人向け資産運用のD2C=Funds?

(そろそろこの乱文を終わらせるべきなのですが)ここで少しプロダクトとしてのFundsについて説明させてください。

Fundsは資金提供者である投資家と資金需要者である借り手企業を「貸付ファンド」でつなぐオンラインマーケットです。貸付ファンドの仕組みは二本立ての契約で成り立っており、まず、投資家と営業者(ファンド組成企業)の間で匿名組合契約という出資の契約が結ばれ、ファンド組成企業と借り手企業の間で金銭消費貸借契約という融資の契約が結ばれます。こうした契約を私たちがアレンジして投資家に直接販売しており、ビジネスモデルは至ってシンプルです。

もっとも、資産運用の領域では、販売業者が自ら商品をつくっているケースは多くありません。たしかに、既存の商品を仕入れて販売する方がアレンジの手間がかからず合理的であるように思います。

でも、他社サービスでは売っていないリスク・リターンを左右する要素が単純で把握しやすい金融商品を自分たちでつくって販売することが、”Mission Driven”な私たちの山の登り方です。商品組成に携わることによりリスクに対する解像度が向上し、仕入れて販売するよりも販売業者としての責任感が高まる効果もあるかもしれないですね。

Fundsの拡張性=∞

このように、Fundsはいわば資産運用サービスのD2Cともいえるシンプルなオンラインマーケットですが、シンプルであるがゆえにカスタマイズの余地がめちゃくちゃあります。私がFundsに愛情と情熱を注ぎ続けられる大きな理由の一つは、この拡張性の高さにあります。Fundsこそが日本の資産運用の在り方をアップデートする存在であると本気で信じられるのです。

2019年11月に経産省が公表した「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書」というペーパーがあるのですが、その中で法務部門のクリエーション機能(実現可能な範囲を広げる機能)というコンセプトが以下のように説明されています。

法的な専門性を武器とする者は、新しい技術や事業に触れた際には、単に既存のルールや解釈を当てはめるのではなく…新たな事業構想を実現可能なものとする(enable)努力をすべきである。(中略)現に、先進的な欧米企業では、法務がこうした機能を発揮することは当然と受け止められており、その表れとして、法務機能を指して“enable function”、つまり事業を“可能ならしめる機能”と呼ぶことがある。

私がこれまでFundsに携わり、数々の「まだない」の実現を支えてきたことは、まさにクリエーション機能の発揮と言えるのではないか思っていますし、その自負もあります。

ちょうど本日、三菱UFJ銀行が借り手になる「Money Canvasファンド#1」シリーズを公開することができました。三菱UFJ銀行へのクレジットで予定利回り1%(税引前)というのも驚きなのですが、同行との共同募集という座組を採用しています。詳しくは以下のリンクをご覧ください。

この案件でまた一つ、Fundsの拡張性を示すことができたと思っています。

もっとも、本件はファンズとして一丸となって”Bundle of Arrows”で注力してきた案件であり、クリエーション機能の発揮は、ひとり私のみの業績でもなければ、法務部門のみのものでもなく、BizDev、プロダクト開発、マーケ、CS/Opsなどすべての部門、メンバーを含んだチームとしてのファンズの業績です。また、にわかに信じがたい案件を実現するチャンスをくださった三菱UFJ銀行の皆様、とりわけデジタルサービス企画部の皆様にこの場を借りて心より御礼を申し上げます。Money CanvasとFundsの連携を一層強化していけましたら大変に有り難いです。

最後に

ファンズというチームのことをマジメに書いてみました。「未来の不安に、まだない答えを」というミッションを果たしていくには、ファンズのメンバーはポジションを問わず、一人ひとりがFundsの可能性を最大限に引き出すEnablerであるべきだと思っています。

Fundsを国民的な資産運用サービスに飛躍させる私たちの挑戦を面白そうだと感じていただいたら、ぜひ仲間になってください!
さて、Fundsに翼を授けるのは・・・?


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