見出し画像

【読書メモ】よりよい課題解決者になるために:『人材開発・組織開発コンサルティング―人と組織の「課題解決」入門』(中原淳著)第6章

『人材開発・組織開発コンサルティング』の最終章は、第5章までのまとめと、現場での実践に向けたガイドブック的な位置付けの内容です。以下では、これまでの章のまとめのテーストとは異なり、ポエムっぽい個人的見解を多く書いてしまったので話半分にご笑覧ください。

本を1トン読め!

本書の最終章で中原先生は、他者に学べという人材開発・組織開発コンサルタントは、「自らも学び続けなければならない」(p.539)という、至極まっとうだけれども(だからこそ?)スパイシーな指摘をされます。その上で「書籍を読みましょう」というアドバイスを具体的にされています。

筆者がリスペクトする経営者である、ヤフーの元CEO宮坂学さんの口癖は「本を1トン読め」です。プロフェッショナルたるもの、読書を習慣づけたいものです。

p.539

読む書籍の分量は1トンらしいです。立教LDCの授業でもよくおっしゃっていたお言葉で、そのたびにzoomに映る私たちの顔が苦笑に溢れるのはもはや恒例行事でした。

知的探究心ゆえに学ぶ。

人材開発・組織開発の専門家は、人に学べというのだから本人も学ぶことが求められます。私は、偶然にも学ぶという行為が好きなので、中原先生の本書の趣旨にわりと適合的な人間です。そのため、人材開発や組織開発を生業とできているのは幸運としか言いようがありません。

ただ、社会人になってから30歳代前半までは、人から「なぜそんなに学ぶの?」と冷笑的に尋ねられることがよくありました。おそらく、その背景には、学習しても仕事のためにならないではないかという認識があるからでしょう。

意外に思われるかもしれませんが、私は、そうした質問をされる方々の認識は基本的に正しいと思います。学んでいる内容が仕事ですぐ活きるというケースは限定的なのではないでしょうか。むしろ、どこかで「学んだ」内容を、「〇〇先生がこう言っていた!」とか「今は〇〇という言葉が組織行動論での最新の概念だからうちでも研修の内容に取り入れよう!」などというビジネスパーソンを、私は信頼しません。

多様な知識をあれこれインプットし、組み合わせを変えてみて実践して反応を検証する、というプロセスにはあまりに多くの時間と労力がかかります。効率的に何らかの正解を得られるという類のものではなく、徒労に終わることがほとんどです。

しかし、効率や効果といったものは、他者や組織からそのように見えるというだけでしかありません。学ぶプロセス自体がたのしいのであれば、そのプロセスに真摯に取り組むだけで充分であり、他者からどのように思われようと関係はありません。学ぶという行為は、少なくとも現代の日本の社会的文脈では悪い行為だとはみなされていませんので、粛々と、長期的に、誰の邪魔もせずに学び続ければよいのではないでしょうか。

幸いにして(?)、本書で提示されている「ブックガイド」には多くの良書が掲載されています。個人的には読んだことがある書籍も多く、いずれも興味深い内容の良書でした。全てを読もうと気張るのではなく、気になるタイトルのものから読み始めてみることをお勧めします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?