塩川 太嘉朗 | キャリア研究 | 人材開発マネジャー

キャリア・アダプタビリティ / キャリア構築理論 / 立教大学大学院 経営学研究科 後…

塩川 太嘉朗 | キャリア研究 | 人材開発マネジャー

キャリア・アダプタビリティ / キャリア構築理論 / 立教大学大学院 経営学研究科 後期博士課程中原研究室 / 日系製造業 人材開発 マネジャー / マラソン / 温泉 / ビール

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  • 【記事まとめ】研究デザイン、定量調査、定性研究

    研究デザイン、定量調査、定性研究などいろいろ集めてみました。

  • 【記事まとめ】プロアクティブ行動、組織社会化、組織適応

    プロアクティブ行動、組織社会化、組織適応、関連のnoteをまとめてみました。

  • 【note記事まとめ】キャリアについて書き綴ってきたこと。

    キャリアに関する論文や書籍についての感想を記したnote記事のまとめです。

  • 偏愛的読書録まとめ【社会学篇】

    ざっくり1950年以降の社会学に関する書籍に関する読書録をまとめています。網羅性はありません!

  • 【記事まとめ】プラグマティズム徹底詳解

    『プラグマティズム古典集成』の全章解説を中心にプラグマティズム関連の記事をまとめました。600頁超の同書のポイントを、超意訳すると以下の三点です。 ▼ パース:困難を乗り越えるためにプラグマティズムはある。事実への疑念をきっかけに、意味の確定(=真理)を目的に探究せよ! ▼ ジェイムズ;真理はアプリオリに内在するのではなく、経験から生成される。未来を見据えた行為帰結主義によって真理を自らの手で生成せよ! ▼ デューイ:経験とは、能動性と受動性を兼ね備えた他者との相互作用である。相互作用を通じた内省によって将来を創造せよ! ▼ ビジネスパーソン向けに一文で要約するとどうなるか。ふと心に浮かんだのは、故・江副浩正氏の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」です。R出身者の方々からお叱りを受けそうですが、プラグマティズムをざっくり掴むためには、この言葉がフィットする気がいたします。

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【入門篇】キャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティをざっくり知りたい方へ

先日、池田先生(東京大学)が企画され、関根さん(東大・中原研究室OB)がアレンジしてくださった組織行動論勉強会に参加させていただきました。参加者のみなさまの読み込みの深さとツッコミの的確さにアワアワしましたが、マーク・サビカスのキャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティについて発表してきました。池田さん、関根さん、貴重な機会をどうもありがとうございました! ※尚、表紙の画像は関根さんに許可をいただいて借用しております。(関根さん、こちらもありがとうございます!) 今回は

    • 【読書メモ】心理尺度はどのように構成されているのか?:『心理尺度構成の方法 基礎から実践まで』(小塩真司編)

      『心理尺度構成の方法 基礎から実践まで』の第2章のタイトルは「心理尺度の形式」です。社会人大学院の心理統計に関する基礎的な授業で扱われる、教示文、尺度の種類、リッカート法、などが丁寧に説明されています。授業を受けるとその時はわかった気になるのですが、実際に尺度を作ろうとすると理解があやふやだったりします。本書は、授業の復習教材や副読本としても最適な一冊と言えそうです。以下では第2章のポイントをまとめます。 教示文アンケートに答える時、質問項目が始まる前に説明がきがありますよ

      • 【論文レビュー】海外赴任から帰任した後の組織再社会化はどのようになされるのか?:内藤(2011)

        グローバル人事を2年ほど担当したことがあります。海外赴任者とのやりとりを日常的に行い、勤怠や海外地域給の観点で労組とも打ち合わせ、また現地法人側のグローバル人事担当者と連携しながら業務を行い、制度を改定していく、というような業務役割でした。というような経験をしていたからか、海外勤務から帰任した社員に焦点を当てて組織再社会化で組織適応が促される関係性を明らかにした本論文は大変興味深い内容でした。 海外赴任と海外出張本論文の調査対象者は過去に6ヶ月以上海外赴任した経験があり、調

        • 【読書メモ】アーギュメントをつくる:『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(阿部幸大著)

          立教LDC時代からお世話になっている田中聡先生が、少し前にXで阿部幸大さんの『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』について書かれていました。田中先生が勧められるのであればと読んでみたのですが、この本はすごいです!レポート、学位論文、学術論文、研究書を書くためのポイントが考え方から実践にまで落とし込まれています。著者も言及しているように学部生から読める内容でありながら、特に修士課程や博士課程でアカデミック・ライティングが必要な方にとっては必読の一冊と言えます。

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        【入門篇】キャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティをざっくり知りたい方へ

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        • 【記事まとめ】研究デザイン、定量調査、定性研究
          63本
        • 【記事まとめ】プロアクティブ行動、組織社会化、組織適応
          51本
        • 【note記事まとめ】キャリアについて書き綴ってきたこと。
          351本
        • 偏愛的読書録まとめ【社会学篇】
          39本
        • 【記事まとめ】プラグマティズム徹底詳解
          39本
        • キャリア構築理論/キャリア・アダプタビリティ(サビカス)
          203本

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          【論文レビュー】異動慣行が社員の業績にポジティヴな影響を与える!?:Suleman et al. (2022)

          人事異動に関する研究の中には社員の業績との関係性を見ているものがあります。異動は海外の企業よりも日本企業にとって独特なものがあるようにも直感的には感じますが、日本をフィールドにした調査はそれほど多くなく、今回取り上げるのはガーナ共和国での調査です。 全体像まず、本論文での仮説モデルを提示します。結論から言うと基本的にはこの枠組みが検証されたとしています。 図に関して少しだけ補足しますが、図を見てわかる方は読み飛ばしてください。この図は、①ジョブ・ローテーション慣行(異動慣

          【論文レビュー】異動慣行が社員の業績にポジティヴな影響を与える!?:Suleman et al. (2022)

          【読書メモ】心理尺度とは何か?:『心理尺度構成の方法 基礎から実践まで』(小塩真司編)

          正直に書けば、2度目の修士課程を修了した後でも、のほほんとアンケートに回答し、妥当性や信頼性があやしげな「心理尺度らしきもの」にも気づかずにいました。そんな私が博士課程で尺度開発に取り組むことになり、論文や書籍を読み込んで理解を深めましたが、私のような素人が尺度開発を学ぶテクストを選ぶのに骨が折れました。最近出版された本書は、心理尺度を開発する上での最適なテキストであり、また尺度を活用してレポートや論文にする学生にとっても必読書といえます。できれば2年前に世の中にあったら私の

          【読書メモ】心理尺度とは何か?:『心理尺度構成の方法 基礎から実践まで』(小塩真司編)

          【読書メモ】キャリア開発と能力開発:『キャリア開発論 自律性と多様性に向き合う』(武石恵美子著)

          武石恵美子先生の『キャリア開発論 自律性と多様性に向き合う』の第2章のタイトルは「キャリア開発の主体」です。節のタイトルにもキャリア開発という言葉が並んでいますが、実際に読んでみると書かれている内容のほとんどは能力開発であることに気づけると思います。ここに日本企業におけるキャリア開発の現状が凝縮されているようです。 能力開発における二つの技能能力開発や人材開発の教科書的なものでよく説明される通り、企業で求められる能力は一般的技能(general skill)と企業特殊的技能

          【読書メモ】キャリア開発と能力開発:『キャリア開発論 自律性と多様性に向き合う』(武石恵美子著)

          【ランニング】高山でのランニング風景:2024年8月11日〜17日

          高山旅行の後半に2回目のハーフ走を入れられました。台風7号接近のために1日滞在を縮めざるを得なかったものの、2週間弱の滞在でハーフ走2回と10km走を3回走れたので満足でした。暑い時期に涼しい環境で走るのはやみつきになります。今回は、高山で走っているコースの風景を少しご紹介します。 高山で走る景色高山でジョグ(E走)をするときは、市内の中心部をゆっくりと景色を眺めながら走るようにしています。昼間は観光客で溢れかえっている場所も午前7時前後だとまばらです。 古い町並に至って

          【ランニング】高山でのランニング風景:2024年8月11日〜17日

          【読書メモ】ゴッフマンを初めて読むならこの一冊!:『儀礼としての相互行為<新訳版>』(アーヴィング・ゴッフマン著、浅野敏夫訳)

          ゴッフマンに以前トライした時は訳になじめず断念したのですが、本書は読めました!訳者は、後書きにおいて「社会学にもゴッフマンにもまったくしろうとである」(p.321)と謙遜されていますが、大変すばらしい訳です。ゴッフマンを理解するための最初の一冊は本書が良さそうです。今回は、ゴッフマンの考え方の概要を知ることができる第1章についてまとめます。 面目本書の鍵概念の一つに面目(face)があります。日常的にも「面目ない」とか言ったりしますが、その面目です。以下のように定義づけてい

          【読書メモ】ゴッフマンを初めて読むならこの一冊!:『儀礼としての相互行為<新訳版>』(アーヴィング・ゴッフマン著、浅野敏夫訳)

          【論文レビュー】学校から職場への移行で起きるリアリティ・ショックは何に影響するのか?: Caliskan & Ergun(2012)

          組織行動論の領域の先行研究を修士時代に行い始めた当初驚いたのは、看護領域での研究蓄積が非常に多いという点です。海外でもそうですし、日本でも同様の傾向のように感じます。本論文は、トルコの医療機関で働く若手の看護師を対象として、学校から職場へ移行したばかりの際に感じるリアリティ・ショックに関する調査を行っています。 全体像本論文では、職務満足、感情疲弊(燃え尽き)、離人症傾向、個人的達成感、とリアリティ・ショックとの関連を見ています。全体像を示した分析閣下は以下のとおりです。

          【論文レビュー】学校から職場への移行で起きるリアリティ・ショックは何に影響するのか?: Caliskan & Ergun(2012)

          【論文レビュー】新卒入社者と中途入社者とではリテンションにどのような相違があるのか?:梅崎・西村 (2023)

          離職率の低い企業にいるとあまり実感しないかもしれませんが、そこそこ人が辞める企業にいると人事やマネジメントにとって課題になるのはリテンションです。地方都市の製造工場のように、離職率が高く採用が難しいという状況ではリテンションが重要なKPIになり、人事マネジャーは誰かしら常に採用面接をやっているのでは?という事態になりがちです。このリテンションに関して、新卒入社者と中途入社者ではどのような相違があるのかを本レポートでは明らかにしています。 調査対象企業本調査の対象企業について

          【論文レビュー】新卒入社者と中途入社者とではリテンションにどのような相違があるのか?:梅崎・西村 (2023)

          【読書メモ】キャリア開発とは何か:『キャリア開発論 自律性と多様性に向き合う』(武石恵美子著)

          キャリア自律という言葉が広く言われ始めたからか、キャリア関連の書籍は増えてきている印象です。「個人の感想です」というレベル感のものも結構ありますが、本書はしっかりとした教科書的な本です。キャリア開発ってそもそもなんでしたっけ?というそもそも論から学ぶことができます。以下では第1章の「キャリア開発とは何か」に焦点を当てて書きます。 キャリアの意味キャリアという概念は多義的です。本書におけるキャリアの意味合いは基本的には職業キャリアを念頭に置いているとしています。その上で、現実

          【読書メモ】キャリア開発とは何か:『キャリア開発論 自律性と多様性に向き合う』(武石恵美子著)

          【レポート】現在、社内異動はどの程度行われているのか?:労働政策研究・研修機構(2023)

          なんらかの人的な事象の実態を調べる際に重宝するのは労働政策研究・研修機構さんのレポートです。毎度毎度、ありがとうございます!今回は、社内異動について調べてみました。 異動の実態本レポートは、300名以下の中小企業と300名以上の大企業の双方を対象として調査を行っています。中小企業での調査は二つの調査に分かれていて、どちらとも回答している企業数は2,071社。大企業での調査では442社が回答しています。 異動に関する設問についてはこのうちの大企業を対象とした調査で用いられて

          【レポート】現在、社内異動はどの程度行われているのか?:労働政策研究・研修機構(2023)

          【読書メモ】『ライフ・オブ・ラインズ 線の生態人類学』(ティム・インゴルド著)

          先日noteで取り上げたインゴルドさんの『人類学とは何か』があまりに良かったのでこちらの書籍を読みました。こちらも石山恒貴先生がFBで紹介されていたものです。金沢21世紀美術館に訪れる前から読み始め、その後に通読し終えました。展覧会に行くための予習としても復習としても良いテクストと感じます。 ラインとブロブインゴルドさんのライン(線)を理解するためには、ブロブとの対比で捉えることが重要なようです。そのため、本書の最初の節は「ラインとブロブ」になっています。両者を対比的に記述

          【読書メモ】『ライフ・オブ・ラインズ 線の生態人類学』(ティム・インゴルド著)

          【ランニング】酷暑の環境を避けて、高山で走る。:2024年8月4日〜10日

          夏は涼しい環境で走るのにかぎります。東京で湿度が高く30度を超えた環境で走るのが辛すぎたので、高山での早朝ランニングが天国のように感じます。熱帯夜というものがない土地は素晴らしすぎます。 涼しければ長い距離も走れる!夏、暑い時に走るとあまりに走れなくて「私の走力はもう落ちてしまったに違いない」と毎年落胆しますが、そのようなことはありません。昨年と同様に先日から高山を訪れていまして、決して熱帯夜にならないこの地で、25度以下の朝に走るとハーフの距離も普通に走れます。 ハーフ

          【ランニング】酷暑の環境を避けて、高山で走る。:2024年8月4日〜10日

          【読書メモ】三つの言葉の対比から読み取るジェイムズの思想:『ウィリアム・ジェイムズのことば』(岸本智典編著)

          今回は三つの言葉の対比からジェイムズの思想に近付いてみたいと思います。具体的には、衝動と抑制、習慣と好奇心、活動と統一、です。 衝動と抑制最初に取り上げたいのはジェイムズの衝動と抑制という二つの対となる言葉です。本書ではダイエットを例にして、食べたいという衝動と我慢せねばという抑制とをわかりやすく伝えてくれています。 こうした衝動と抑制とは、私たちが持つ傾向性であり、両者の相剋が私たちの人格を形成していると以下のように解説されています。 衝動と抑制の話を読んでいて想起し

          【読書メモ】三つの言葉の対比から読み取るジェイムズの思想:『ウィリアム・ジェイムズのことば』(岸本智典編著)