塩川 太嘉朗(SHIOKAWA Takao)

キャリア論の研究者見習い / 立教大学大学院 経営学研究科 中原研究室D2 / 日系製造業で… もっとみる

塩川 太嘉朗(SHIOKAWA Takao)

キャリア論の研究者見習い / 立教大学大学院 経営学研究科 中原研究室D2 / 日系製造業で人材開発・組織開発担当 / マラソン / 温泉 / ビール / 日本酒

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  • 【note記事まとめ】キャリアについて書き綴ってきたこと。

    キャリアに関する論文や書籍についての感想を記したnote記事のまとめです。

  • キャリア構築理論/キャリア・アダプタビリティ(サビカス)

    M・サビカス先生が提示しているキャリア構築理論およびキャリア・アダプタビリティに関する論文や書籍のサマリーをまとめています。

  • 【記事まとめ】ジョブ・クラフティング

    ジョブ・クラフティング関連のブログのまとめ。

  • 【記事まとめ】研究デザイン、定量調査、定性研究

    研究デザイン、定量調査、定性研究などいろいろ集めてみました。

  • 【まとめ】『人材開発・組織開発コンサルティング』(中原淳著)

    中原淳先生の『人材開発・組織開発コンサルティング―人と組織の「課題解決」入門』の全章まとめです。

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社会構成主義の源流を探る旅。〜カント、ウィトゲンシュタインからバーガー+ルックマン、ガーゲンまで

立教LDCでの学びログ_2020.08.23温故而知新、可以爲師矣(『論語』為政第二・一一) 今年の盆休みの後半は、立教でのグループ課題として出ていた「社会構成主義とAI」というテーマで反転学習用の動画を作成してました。関連書籍を渉猟し、グループ内で議論し、この領域に詳しい先達とも対話しながら、どうにかこうにか形になりました(ありがとうございました!)。尚、機械オンチな私ですが、動画編集ソフト「camtasia」ともだいぶお友だちになれたという副産物付きです。 ここ数週間

    • 【論文レビュー】上司への信頼はどのように測ることができるのか?:藤原(2017)

      本論文では、一つの論文の中で、①部下が上司から信頼されているか、②部下が上司を信頼しているか、③上司が部下から信頼されているか、④上司が部下を信頼しているか、という四つの尺度が作成されているというてんこ盛りの内容です。上司と部下との間の信頼感をいかに測定するかについて多様な観点から捉えられる興味深い論文です。 部下から上司への信頼四つの尺度ともに興味深いのですが、個人的な興味関心から、ここでは部下から上司への信頼に絞って取り上げます。 探索的因子分析によって一因子構造であ

      • 【論文レビュー】日本企業でキャリア自律はどの程度定着しているのか?:藤本(2018)

        キャリア自律という言葉は、日本企業でもそれなりに耳にするようになってきた印象があります。少なくとも、日系の大企業であれば謳い文句として用いているところは多いでしょう。では、どの程度運用レベルで定着しているのでしょうか。本論文ではデータに基づいて検証していて、興味深い発見事実を提供してくれています。 個別化人事と長期育成志向人事制度には公平性や公正性が求められ、また大手の日本企業では(制度が変わったとしても)年功的な運用がなされることが多いため、本社人事部門の対応は十把一絡げ

        • 【ランニング】ようやく涼しくなってきた!?

          今週、走った距離は32.3kmでした。先週末に25km走を一本入れられ、徐々に長い距離をこなせる身体になりつつ、今週一週間もそれなりに走れました。暑さのせいで走ると身体的にしんどかった時期から、少し涼しくなって走りやすい環境になってきました。東北みやぎ復興マラソンまでの6週間、練習の質と量をもう少し上げていきます(と、自分に言い聞かせてみる)。 9月下旬の東京=8月上旬の高山25度未満の状態で走ると心地よいですね!24度・曇りという気象条件は、真夏の高山の早朝とほぼ一緒です

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        • 中原先生著作まとめ
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          【読書メモ】論語・顔淵第十二(加地伸行訳)

          論語の顔淵篇では、冒頭から十一まで孔子の弟子たちと孔子との問答形式が続きます。孔子は、弟子のタイプや情況に合わせて対応を変えるため、同じことをただ繰り返すことはしません。個人的には、本篇のタイトルにもなっている冒頭の顔淵との問答が好きです。 顔淵と孔子一部の引用でも良いのですが、文脈やトーンを表すために、ちょっと長いものの全てを引用します。 孔子と子路とのやりとりもほのぼのとするものの、他のあらゆる弟子を含めても顔淵とのやりとりが好きなんだすよね。顔淵の生真面目さが全面に

          【読書メモ】論語・顔淵第十二(加地伸行訳)

          【論文レビュー】能力開発の主体は個人ではなく企業である!?:労働政策研究・研修機構(2023)

          キャリア開発の主体は個人にあるとするキャリア自律が日本企業でもよく言われるようになってきました。では、能力開発についてはどうなのでしょうか?企業が開発主体なのか、個人が開発主体なのか、どのように企業では捉えられているのでしょう。労働政策研究・研修機構さんが調べてくれています。 能力開発の主体は企業まず結論から言うと、ほとんどの企業では、企業が能力開発の主体であると回答しています。 こちらの表をみると、約83.8%の企業が能力開発の責任は企業にあるとしています。思いのほか高

          【論文レビュー】能力開発の主体は個人ではなく企業である!?:労働政策研究・研修機構(2023)

          【論文レビュー】パワハラ的関与はメンバーのキャリア・アダプタビリティに悪影響:Rasheed et al.(2021)

          タイトルの内容は、そりゃそうだよね、というレベル感のものだと思います。ただ、パワハラ的関与(abusive supervisionなので「侮辱的な管理・監督」というのが直訳っぽいですがわかりやすさを重視して「パワハラ的関与」としました)が悪影響を与える対象としてキャリア面での成果への影響は明らかになっていませんでした。そこで著者たちはキャリア・アダプタビリティへの影響を実証的に検証し、ご想像の通り負の相関があることを実証しています。 仮説モデル結論は冒頭で述べた通りですが、

          【論文レビュー】パワハラ的関与はメンバーのキャリア・アダプタビリティに悪影響:Rasheed et al.(2021)

          【読書メモ】英霊の声:『手長姫 英霊の声』(三島由紀夫著)

          少し前に平野啓一郎さんの『三島由紀夫論』を大変興味深く読みました。取り上げられている四つの作品のうち、『英霊の声』だけは読んだことがなく、平野さんの解説に唸りながらも実感が湧ききりませんでした。というわけで、遅まきながら読んでみました。文庫版で約60頁という短さなのでサクサク読めます。 とにかく文章がきれい三島の何が好きかと尋ねられることがありますが、間違いないのは文章がきれいであるという点です。勿体ぶった書き方で漢字もやたら難しい、というネガティヴな評判も聞きますが、たと

          【読書メモ】英霊の声:『手長姫 英霊の声』(三島由紀夫著)

          【読書メモ】新しい雇用原則としてのバウンダリーレス・キャリア:『バウンダリーレス・キャリア上巻』(マイケル B. アーサー・デニス M. ルソー監修)第1章

          1996年出版のアーサー&ルソーの『The Boundaryless Career』の邦訳版が遂に出版されたとの朗報を知り、早速読みました。本書のタイトルにもなっているバウンダリーレス・キャリアは、プロティアン・キャリアと共にニューキャリア論として位置付けられる概念で、キャリア論を研究する上では避けては通れない存在です。 組織内キャリアへの批判バウンダリーレス・キャリアが対峙したのはエドガー=シャインやヴァン・マーネンをはじめとした組織内キャリア開発に基づくキャリア論です。

          【読書メモ】新しい雇用原則としてのバウンダリーレス・キャリア:『バウンダリーレス・キャリア上巻』(マイケル B. アーサー・デニス M. ルソー監修)第1章

          【論文レビュー】研究結果とともに研究プロセスについても勉強になる論文:Ishiyama(2023)

          石山先生の海外ジャーナルで採録された論文を拝読しました。日本の学術誌に投稿するのに四苦八苦している身からすると、雲の上の存在のようで大変勉強になる論文でした!オープン・アクセスなので、どなたでもダウンロード可能です。ジョブ・クラフティング、ナレッジ・ブローカリング、越境学習、ワーク・エンゲージメントのいずれかに興味がある方は、ぜひお読みになることをオススメします。 結論結論部分については、以下の図をご覧いただくのが最もわかりやすいと思われます。ポイントは二点でしょう。第一に

          【論文レビュー】研究結果とともに研究プロセスについても勉強になる論文:Ishiyama(2023)

          【ランニング】蝶ヶ岳登山(2023年9月11日)

          北アルプス・蝶ヶ岳に登ってきました。まさかの奥さんのコンディション不良によるDNSのため、急遽単独での登山となってしまい、方向感覚があやしく、目撃情報の絶えないクマにも気をつけながら、私にしては入念な準備を(前日の夜だけですが)行っての登山でした。 ざっくりの工程前日に河童橋から徳沢まで移動し、徳沢ロッヂに宿泊。余談ですが、徳沢ロッヂは山小屋っぽい感じではなく普通のホテルのようで、お風呂もあり、食事も美味しく、最高の環境でした! 当日は04:15に起床して、食事やら準備運

          【ランニング】蝶ヶ岳登山(2023年9月11日)

          【読書メモ】論語・先進第十一(加地伸行訳)

          論語の先進編は、なかなか悲しいエピソードが続きます。具体的には、孔子の高弟として有名な顔淵(顔回)が亡くなる話が多いんです。七〜十一までの五つの話で顔淵が亡くなります。孔子が、愛弟子の死に際して何を想い、何を考え、どのような行動をし、どのような言葉を発したのかを、同じ編に集めたのかもしれませんね。 顔淵の死五つ続く顔淵の死にまつわるエピソードのうち、最後のものだけ引用します。 孔子は、説教臭いというイメージも持たれがちですが、このエピソードには、人間としての孔子が表れてい

          【読書メモ】論語・先進第十一(加地伸行訳)

          【読書メモ】『質的研究のための「インター・ビュー」』(スタイナー・クヴァール著)

          お客さまへの営業活動としてのヒアリング。コンピテンシー作成のためのハイ・パフォーマーへのヒアリング。採用活動のための面接。私のキャリアの大半は、インタビューの繰り返しでした。うまくいくこともあるし、数多くの失敗もあったと思います(ごめんなさい)。本書を読むことで、自分自身のインタビューを振り返り、何が重要なのかを学ぶことができたように感じます。 interview=inter(間)+view(まなざし)インタビューとはなんでしょうか。本書ではタイトルにもあるように二つの言葉

          【読書メモ】『質的研究のための「インター・ビュー」』(スタイナー・クヴァール著)

          【論文レビュー】エンプロイアビリティ知覚とキャリア・アダプタビリティ:Lodi et al.(2020)

          本論文は、Rothwell & Arnold (2007)のself-perceived employability scale(エンプロイアビリティ知覚尺度)のイタリア語への尺度翻訳が主要な目的の論文です。その併存的妥当性の検証の一つとしてCAASとの関係が検証され、両概念が切り分けられつつも関連性があることが実証されています。 エンプロイアビリティ知覚尺度まず、本論文で翻訳される基となっているRothwell & Arnold (2007)のエンプロイアビリティ知覚尺度

          【論文レビュー】エンプロイアビリティ知覚とキャリア・アダプタビリティ:Lodi et al.(2020)

          【読書メモ】不完全データの統計解析:『欠損データ処理』(高橋将宜・渡辺美智子著)第2章

          アンケートを配って回答者に答えてもらう、という形式の調査を行うと、設問に対して未回答となる欠測データが生じることがあります。こうしたデータの特徴と、それを統計的にどのように処理するのかについて、『欠損データ処理』の第2章では書かれています。量的調査を行う上で必要不可欠な欠測データの対応について学べるテクストです。 欠測データの問題無回答には、①全ての設問への回答がなされていない全項目無回答と、②一部の設問への回答が欠けている一部項目無回答という二つのタイプがあります。いずれ

          【読書メモ】不完全データの統計解析:『欠損データ処理』(高橋将宜・渡辺美智子著)第2章

          【論文レビュー】トーゴ共和国でのキャリア・アダプタビリティ研究:Atitsogbe et al.(2019)

          本論文では、キャリア・アダプタビリティと自己効力感がエンプロイアビリティ知覚に影響しますよ、ということを実証しています。西アフリカのトーゴ共和国での研究です。世界にはいろいろな国や地域に研究者がいて、キャリア・アダプタビリティやエンプロイアビリティ知覚といった共通の概念で研究をしている、というのはなかなか興味深いものがあります。 エンプロイアビリティと起業意図本研究の結果図を以下に貼るのでまずはご覧ください。 私の関心に寄せて冒頭では書きましたが、結果変数には起業意図(e

          【論文レビュー】トーゴ共和国でのキャリア・アダプタビリティ研究:Atitsogbe et al.(2019)