塩川 太嘉朗(SHIOKAWA Takao)

キャリア・アダプタビリティ / キャリア構築理論 / 立教大学大学院 経営学研究科 後…

塩川 太嘉朗(SHIOKAWA Takao)

キャリア・アダプタビリティ / キャリア構築理論 / 立教大学大学院 経営学研究科 後期博士課程中原研究室 / 日系製造業 人材開発 マネジャー / マラソン / 温泉 / ビール

マガジン

  • 【note記事まとめ】キャリアについて書き綴ってきたこと。

    キャリアに関する論文や書籍についての感想を記したnote記事のまとめです。

  • キャリア構築理論/キャリア・アダプタビリティ(サビカス)

    M・サビカス先生が提示しているキャリア構築理論およびキャリア・アダプタビリティに関する論文や書籍のサマリーをまとめています。

  • 【記事まとめ】プロアクティブ行動、組織社会化、組織適応

    プロアクティブ行動、組織社会化、組織適応、関連のnoteをまとめてみました。

  • マラソン日記〜サブフォー達成までと、その後〜

    (1)京都マラソン(2019年2月)、(2)とくしまマラソン(2019年3月)、(3)黒部名水マラソン(2019年5月)、(4)横浜マラソン(2019年11月)、(5)新横浜鶴見川マラソン大会(2020年12月)、(6)東京マラソン(2022年3月)。(7)黒部名水マラソン(2022年5月)、(8)湘南国際マラソン(2022年12月)、(9)長野マラソン(2023年4月)、(10)東北みやぎ復興マラソン(2023年11月)、(11)大阪マラソン(2024年2月)、(12)長野マラソン(2024年4月)

  • 【記事まとめ】ジョブ・クラフティング

    ジョブ・クラフティング関連のブログのまとめ。

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【入門篇】キャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティをざっくり知りたい方へ

先日、池田先生(東京大学)が企画され、関根さん(東大・中原研究室OB)がアレンジしてくださった組織行動論勉強会に参加させていただきました。参加者のみなさまの読み込みの深さとツッコミの的確さにアワアワしましたが、マーク・サビカスのキャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティについて発表してきました。池田さん、関根さん、貴重な機会をどうもありがとうございました! ※尚、表紙の画像は関根さんに許可をいただいて借用しております。(関根さん、こちらもありがとうございます!) 今回は

    • 【読書メモ】ピッチ数をマニアックにデータで考える!?:『ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版』(ジャック・ダニエルズ著)

      『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』の第2章では、ランニングにおけるトレーニング、ピッチ、接地などについて徹底的に書かれています。いずれもデータに基づいて、かつ豊富な実例を交えて説明してくれるのでランニングを考える上でとても参考になります。 ハードな練習の筋疲労は48時間後著者はビジネスパーソンの忙しさに共感してくれた上で、平日の二日連続+週末の二日間というトレーニング・スケジュールを推奨しています。というのも、ハードな練習をした後の筋肉疲労は24時間後よりも48時間後

      • 【論文レビュー】フィリピンでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Tolentino et al. (2013)

        Savickas & Porfeli(2012)の国際版の尺度開発に関わっていない国として、フィリピンでもキャリア・アダプタビリティ尺度の検証が行われています。 フィリピンの特徴著者たちは、フィリピンでの職場の特徴について、先進国の職場では高い年齢の社員が働く環境になりつつあるのに対してフィリピンでは若い社員が多く経済発展が続いているとしています。また、個人は家族との繋がりを大事にし、自身の環境が経済的に発展することを希望する傾向が強いとしています。こうした特徴があることか

        • 【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティとキャリア決定自己効力感:Stead & Hurtado Rua(2022)

          キャリア決定自己効力感(Career Decision Self-Efficacy)という概念があります。これは、バンデューラの自己効力感をキャリアの領域に援用した概念で、自身のキャリアを決定することに関する自己効力感を表すものです。キャリア・アダプタビリティがキャリア決定自己効力感と有意な相関関係を表す先行研究はいくつかあり、本論文ではそれらをメタ分析しています。 メタ分析に用いた論文の一覧著者が両者の相関分析に用いた論文は全部で18あります。キャリア・アダプタビリティの

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        【入門篇】キャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティをざっくり知りたい方へ

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        • 【記事まとめ】プロアクティブ行動、組織社会化、組織適応
          39本
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        • 【記事まとめ】ジョブ・クラフティング
          69本
        • 【記事まとめ】サビカスの主要論文を徹底的に精読する!
          24本

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          【論文レビュー】トルコでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Buyukgoze-Kavas(2014)

          Savickas & Porfeli (2012)の国際版のキャリア・アダプタビリティ尺度開発に参加しなかった国において、同尺度を翻訳して開発している国があります。トルコでの研究もその一つで、本論文ではトルコ版のキャリア・アダプタビリティ尺度の開発を行っています。 尺度翻訳の背景なぜSavickas & Porfeli (2012)のキャリア・アダプタビリティ尺度を翻訳したのかという理由について、トルコという国家単位での理由を説明しています。端的に言えば、西洋と東洋を架橋す

          【論文レビュー】トルコでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Buyukgoze-Kavas(2014)

          【論文レビュー】リアリティ・ショックはどのように生じてどのような影響を及ぼすのか?:尾形(2012)

          新しく組織に参入するとき、私たちは何らかの認識にギャップやズレを感じます。こうしたものを組織行動論ではリアリティ・ショックと呼びます。本論文ではその発生のメカニズムや影響について丹念に説明をしてくれています。 発生のメカニズムリアリティ・ショックはどのように発生するのでしょうか?さまざまな文献で描かれている内容と基本的には近いものですが、著者はご自身の文献を基に以下のように引用しています。 現実と期待の組み合わせ私たちが組織に新しく参入したときに感じるギャップには大小があ

          【論文レビュー】リアリティ・ショックはどのように生じてどのような影響を及ぼすのか?:尾形(2012)

          【ランニング】フォームを改善するための靴とサンダルを履いてみた感想:2024年4月28日〜5月4日

          ぎっくり腰からの回復期間中でまだ動くと痛みが出るのでランニングは再開していません。通常よりゆっくりめに歩くことはできますし、適度に動いた方が良いと言われますので、それなりに歩くようにしています。そこで、長野マラソンの振り返りのnoteでも触れましたが、知人から話を伺って興味を持っていた姿勢を矯正するためにMBTのシューズとサンダルを購入したのでその印象を書きます。結論から書くと、私のように姿勢が悪い人にはとてもオススメのものと言えます。 MBTとはMBTはMasai Bar

          【ランニング】フォームを改善するための靴とサンダルを履いてみた感想:2024年4月28日〜5月4日

          【論文レビュー】キャリア論の「第4世代」サステナブルキャリアとは何か?:石山(2024)

          石山恒貴先生のサステナブルキャリアに関する論文、大変興味深く拝読しました。学びになるとともに、個人的な今後の研究についても大いに刺激になる内容でした。今後、サステナブルキャリアを後続する研究者やビジネスパーソンが学ぶ際の大事なテクストの一つになる存在と言えます。少なくとも個人的には何度も読み返すものになるでしょう。 サステナブルキャリア(sustainable career)ではサステナブルキャリアとはなんでしょうか。石山先生は、提唱者による定義を以下のように的確に訳してお

          【論文レビュー】キャリア論の「第4世代」サステナブルキャリアとは何か?:石山(2024)

          【読書メモ】ランニングの基本原則とは何か?:『ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版』(ジャック・ダニエルズ著)

          多くのランチューバーの方々がこぞって推奨する『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』を読んでます。これはランニング好きな方々におすすめの一冊です。フルマラソンを速く走りたいという方にも推奨できますが、健康的に走りたいという方にも推奨できるものです。1章ずつ丁寧に読んでポイントをまとめますので、興味関心を持ったランナーの方々、あるいはランニングを始めたい方々はぜひ本書をお手に取ってみてください。 ランニングの基本原則第1章では、ランニングの基本原則として12個掲げられています

          【読書メモ】ランニングの基本原則とは何か?:『ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版』(ジャック・ダニエルズ著)

          【論文レビュー】韓国でのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Tak (2012)

          国際版のキャリア・アダプタビリティ尺度開発研究には韓国の研究者の方も参加されています。本研究では、韓国の278名の大学生を対象とした調査(平均年齢21.6歳)を行い、尺度の検証を行っています。 記述統計4つの下位尺度および24設問の記述統計を見てみます。スコアは中華圏や南北アメリカ大陸と比べるとやや低めという印象で、天井効果や床効果は特に問題がなさそうです。 クロンバックのαも出してくれていて、4つの下位尺度および24設問全体についても良好な値であることがわかります。

          【論文レビュー】韓国でのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Tak (2012)

          【読書メモ】若手社員の組織適応を促すために重要な存在とは?:『若年就業者の組織適応』(尾形真実哉著)

          企業等の組織に入るとき組織に馴染むことを組織適応と言います。この組織適応を促すために組織が支援することが行われ、その主たるものがビジネス現場でも使われるようになったオンボーディングです。今回は、尾形真実哉先生の『若年就業者の組織適応』の第8章「組織適応エージェント」を基に組織適応を促す存在についてまとめます。 同僚サポートの調整効果職場のコミュニケーションの活発度合いをコミュニケーション風土と呼び、勤務する組織の暗黙的なものも含めた文化規範に慣れる度合いを文化的社会化と呼び

          【読書メモ】若手社員の組織適応を促すために重要な存在とは?:『若年就業者の組織適応』(尾形真実哉著)

          【論文レビュー】南アフリカ共和国でのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Maree (2012)

          Savickas & Porfeli(2012)のキャリア・アダプタビリティ尺度開発研究に参加した13か国の中には南アフリカ共和国も含まれています。本論文では、同尺度を用いた南アフリカでの実証研究の結果がレポートされています。 記述統計南アフリカでの調査では9年生から11年生が対象となっていて、平均年齢は15.49歳となってします。日本で言えば高校生くらいがメインの年齢層というあたりでしょうか。 ここでもいくつかの設問は天井効果が厳しい値になっています。高い回答に寄りがち

          【論文レビュー】南アフリカ共和国でのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Maree (2012)

          【読書メモ】『ヒューマンカインド(下巻)』(ルトガー・ブレグマン著)

          上巻を読んで先日ベタ褒めしたところですが、下巻も大変興味深い内容でした!なかなか研究領域と離れている書籍を読む時間が取れていないのですが、読書も大事ですね。 善性ゆえの戦争上巻では人間の持つ善性に焦点が当たり、著者は性善説について語ってきました。下巻では、こうした性善説と矛盾しているようにも受け取れる、戦争という行為に人々が向かう理由について冒頭で描かれます。なぜ人々は戦い合ってしまうのかという疑問に対する理由はシンプルです。 イデオロギーや打算的な理由によって他国の人々

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          【学びメモ】「何をいまさらとはいえない、”人”から始める組織の成長」:花田先生・石山先生対談@慶應MCC

          二十歳で学部ゼミに入ってから師事している花田光世先生と、三十歳から私淑してきた石山恒貴先生との対談という、個人的には夢のようなセッションに参加しました。石山先生が話題提供されている時に花田先生がツッコミを入れて対話になり、後半でもその反対のことが起きるなど、人・組織・キャリアについて考えさせられるゆたかな学びの場でした。このような生成的な対談ができるノリって素敵ですね。投影資料配付なし&撮影禁止という形式でしたので、以下で書く内容は私が理解した範囲に基づいた所感になりますので

          【学びメモ】「何をいまさらとはいえない、”人”から始める組織の成長」:花田先生・石山先生対談@慶應MCC

          【マラソン日記】 #12 長野マラソン 2024.04.21

          これまでマラソンを走った後の私の感想にはパターンがありました。①準備段階での調子は良かった、②にも関わらず期待のタイムには及ばなかった、③自己ベストは更新したので一旦良しとします!、こんなところです。今回の長野マラソンは、①準備段階でやや不安が残り、②でも期待のタイムを大幅に上回ることができ、③自己ベストも更新した、という感じで、良い意味でパターン外のものとなりました。タイムは3時間41分13秒で過去のPBから6分32秒も短縮でき、ずっと乗り越えられなかった3時間45分の壁を

          【マラソン日記】 #12 長野マラソン 2024.04.21

          【読書メモ】生きることと走ること:『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹著)

          『走ることについて語るときに僕の語ること』の第9章の本題はトライアスロンですが、村上春樹さんはマラソンも織り交ぜて長距離走を走ることについて書かれていらっしゃいます。味わい深い章です。 生きることと苦しさ著者はこれまでの章で走ることの苦しさや困難といったストイックな面についてはこれまであまり触れてきませんでした。ことさらに根性論で走ることを語ることは避けてきたともいえ、私も同感なので心地よく感じていました。その流れの中で、最終章で苦しさについて語っている箇所は興味深いものが

          【読書メモ】生きることと走ること:『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹著)