【論文レビュー】越境経験が本業でのジョブ・クラフティングに与える影響とは?:藤澤・高尾(2020)
本論文では、越境経験としてプロボノ活動が取り上げられ、プロボノ活動を行うことが組織アイデンティティ(以下OI)とワーク・アイデンティティ(以下WI)の内省を促し、本業におけるジョブ・クラフティング(以下JC)に影響を与えることが検証されています。
藤澤理恵, & 高尾義明. (2020). プロボノ活動におけるビジネス‐ソーシャル越境経験がジョブ・クラフティングに及ぼす影響: 組織アイデンティティとワークアイデンティティによる仲介効果. 経営行動科学, 31(3), 69-84.
分析結果の図がここで述べた関連を示す上で最も理解しやすいので、以下に引用します。
プロボノ活動における越境性の認知が大事
本論文が興味深いのは、所属する企業における職務ではなく、企業の外部における活動であるプロボノを経験することが本業におけるJCにポジティヴな影響を与えることを明らかにした点にあります。
その際に、プロボノ活動における越境性を認知するという主体的な経験がOIやWIを内省につながります。したがって、ただ単にプロボノ活動をするということではなく、本業とプロボノとの異質性をいかに認知させるかが鍵となります。活動のデザインとともに活動中・活動後の内省をいかにデザインするかが重要となると考えられます。
新規プロジェクトとの関連もある!?
ここからは妄想レベルの推察となりますが、社外への越境に対してはまだ理解を得られない企業もあるでしょう。そうした場合であっても、本論文での示唆を踏まえれば、越境性を認知させられるような通常の業務以外の活動をデザインできるのではないでしょうか。
たとえば、社内でも横断型の新規プロジェクトにアサインするということが考えられると思います。そうすれば、通常の業務との越境を認知させることができ、自部署で業務を遂行する際のアイデンティティが揺さぶられ、現業に戻った際に自部署での工夫をすることができるのではないでしょうか。
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