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【読書メモ】フィードバック面談のポイント:『人と組織の行動科学』(伊達洋駆著)

上司からメンバーへのMBO面談や1on1など、ビジネス場面においてフィードバックが求められる状況は多くあります。しかし、職務を取り巻く環境の変化が激しく、また職務自体も複雑になっているため、マネジャーからメンバーへのフィードバック面談の難しさは増していると言えます。今回は、フィードバック面談のポイントについて見ていきます。

具体的なフィードバックには注意点もある

まずフィードバックのセオリーには、行動に対して焦点を当てて行うというものがあります。採用面接の手法としても確立されているように、どのような状況で、何を行ったら、どのような結果になったのか、というように行うと良いと言えます。

では、ここでいう「具体的」とはどのように考えれば良いのでしょうか。本書が大変興味深いのは、具体的すぎるフィードバックが適さないケースがあることを指摘している点です。

 具体的なフィードバックのほうがよいのは、受け手の能力やモチベーションが低い時です。「記憶すれば対応できる」などのシンプルな仕事においても、具体性のあるフィードバックが奏功します。
 逆に言えば、能力やモチベーションが高い相手には、具体的なフィードバックが効きにくいということです。応用が求められる仕事においても、具体的なフィードバックは避け、相手が考える余地を残すようにしましょう。
伊達 洋駆. 人と組織の行動科学 (Japanese Edition) (p.89). Kindle 版.

能力および動機付けの高低によってフィードバックの具体性を調整せよ、というのが本書のポイントです。能力やモティベーションが高い場合には、相手の裁量を担保してある程度抽象化してフィードバックをすることで、相手の成長を促すことができると考えるべきでしょう。

フィードバックの前提

フィードバックが活きるための大前提として、フィードバックをする側とされる側との信頼関係があります。

 与え手と受け手の関係がよくないと、フィードバックは有効に機能しません。
 フィードバックの与え手と受け手の関係性の質が重要です。例えば、上司部下関係の質=LMXが高いと、部下はすすんで上司に対してネガティブなフィードバックを求めます。
伊達 洋駆. 人と組織の行動科学 (Japanese Edition) (p.90). Kindle 版.

信頼関係がしっかりとできていれば受け入れられるフィードバックも、そうでないとなかなか効果がなくなってしまいます。さらには、反発を受けるということにもなりかねません。

あとがき

今回はフィードバックの留意点について扱いました。フィードバックのプロセスとそれぞれのポイントについては、中原先生の『フィードバック入門』がわかりやすいので併せて読むことをオススメします。


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