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【読書メモ】高地トレーニングに意味はあるのか?:『ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版』(ジャック・ダニエルズ著)

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版』の第6章は高地トレーニングについて扱っています。第6章の前半を読んでいると著者は高地トレーニングに懐疑的であることが読み取れますが、後半まで読み進めると効果的なトレーニングにもなり得るということがわかります。


高地にいれば効果があるわけではない理由

高知でトレーニングすればすなわち効果があるという単純な構図が成り立たない理由を著者はとても端的に説明しています。

もし、世界のトップランナーを生んでいるのが高地だとしたら、高地がほぼ当たり前という南米諸国からトップランナーが多数輩出されないのはなぜなのか? また、ロッキー山脈出身の若い選手は、ランニングで頭角を現さないと、責められなければならないのだろうか? どちらも高地で育ち、幼いころから高地で鍛えているはずである。

p.153

グーの音も出ませんね。ただ、著者は高地トレーニングを否定的に捉えているわけではありません。あくまで、効果のある高地トレーニングには条件があるということなのです。

高山は高地トレーニングには当たらない!?

著者は高地を標高1,200mから2,500m程度であるとしています。というのも、標高914m(3,000フィート)までは高地によるVO2maxの低下の問題はそれほど起きないためです。

この事実は個人的にはとても悲しいものがあります。昨夏に高山(岐阜県)で走った時には高地トレーニングの効果はほぼなかったことになるからです。なんとなく効果があったように感じたのは幻だったようです。

とはいうものの、当時のnoteでも書いたように、東京の酷暑の中で走るのに比べれば、熱帯夜がない高山の涼しい朝に走るのは快適です。そのため、今年の夏もまとまった期間は高山で走り込む予定です。既に宿も手配済み!

最適な高地トレーニング

では高地におけるランニングで意識するべきことはなんでしょうか。今後、菅平とかに行く時に備えてポイントをまとめておきます。

まず、E走とR走については低地でのトレーニングと何も変える必要はないとしています。E走はゆっくりのペースだからそうなのかなと思いますが、一見して意外なのは最も速いペースで走るR走も低地と変わらないという点です。この理由は言われてみるとシンプルで、R走はほぼ全速力ですが30-90秒程度という非常に限られた時間なので高地でも変えなくて良いという理由です。

他方でT走とI走についてはペースを低地の時よりも落とした方が良いとしています。残念ながらどの程度落とすべきかの具体的なアドバイスはありませんので、自分自身で考えながらという感じでしょう。またさらに残念なのはM走に関する記載が一切ないことですが、自分なりに考えて取り組むたのしさを残してくれているとも捉えられます。

E走、R走、といった言葉は以前noteで概念定義(笑)しましたので、詳しく知りたい方は以下をご笑覧ください。


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