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【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティとジョブ・クラフティングとワーク・エンゲージメント。:Federici et al.(2021)

キャリア・アダプタビリティジョブ・クラフティングとの関連を探究する先行研究には、ワーク・エンゲージメントとの関係性を実証したものもあります。本論文の結論を先にまとめると、①キャリア・アダプタビリティからワーク・エンゲージメントへの影響関係をジョブ・クラフティングが媒介すること②キャリア・アダプタビリティからジョブ・クラフティングへの影響関係を機会向上系の高業績仕事慣行が中程度以上ある場合に促進する(調整効果を持つ)こと、の二点が明らかになりました。

Federici, E., Boon, C., & Den Hartog, D. N. (2021). The moderating role of HR practices on the career adaptability–job crafting relationship: a study among employee–manager dyads. The International Journal of Human Resource Management, 32(6), 1339-1367.

全体像

冒頭で述べた二つの結論は、以下の仮説図を見てみた方が関連をイメージしやすいでしょう。

p.1342

①キャリア・アダプタビリティ→ジョブ・クラフティング→ワーク・エンゲージメント

こうして概念を並べてみると、カタカナワード満載ですね。笑
キャリア・アダプタビリティについては、先日、その背景にあるキャリア構築理論とともに熱く(?)まとめてみたのでご関心のある方は以下をご笑覧ください。

すごく意訳して言えば、変化を機会と捉えて前向きにキャリアをすすめる能力を持っていると、職務を通じて工夫を凝らし、その結果として働きがいを持って働くことができる、ということです。「キャリア」以外は全て和文で書いてみましたが、いかがでしょうか。

②高業績仕事慣行の調整効果

高業績仕事慣行(High-Performance Work Practices:HPWPs)の調整効果は状況が限定されているので注意が必要です。

HPWPsが中程度か高程度の場合にのみ、キャリア・アダプタビリティからジョブ・クラフティングへの影響関係を強化することが明らかになったと著者はしています。そのため、実践的な示唆としては、個人に対して機会を向上するような高業績仕事慣行を中程度以上に高めることによって、キャリアを前にすすめる能力が仕事に工夫を凝らす度合いが高まる関係性を強化するということが実証されました。

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