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なぜ悪い日本ブランドのプレゼンテーション?

私は1991年からイタリアでファッションの仕事に関わっているが、イタリア(ヨーロッパ)と比べ日本のファッションブランドでかなりレベルが低い事がある。

それはプレゼエンテーション、特にルックブックなど、ブランドのイメージを相手に伝える時イメージ写真の質がとても悪い。

<キプロスのレディースブランドFANI XENOPHONTOS>

一番初めにそれに気付いたのは、以前私はミラノのレディースのファッションウィーク期間中に、ヨーロッパの新人デザイナーを集めてUPSIDEという小さな合同展示会を企画していたとき。 当時、繊研新聞が開催していた合同展示会IFFの中のクリエーターズビレッジというコーナーとUPSIDEとの間で、交換デザイナープログラムというのをやっていた。クリエーターズビレッジに出展している1ブランドをUPSIDEが選らび、そのブランドはUPSIDEに無料で出展でき、反対にクリエーターズビレッジが選んだUPSIDE出展の1ブランドが無料でクリエーターズビレッジに出展できる、という企画。 その時にUPSIDEに出展したいブランドがブランドプレゼンテーション用の資料を私宛に送ってくるのだが、どのブランドもプレゼンテーションで使われているイメージ写真のクオリティーがかなり低く、実際の商品よりもプレゼンテーション写真で見るコレクション方が悪く見えるのだ。誰でも、まだ自分のコレクションをよく知らない人間に対して、少しでもよく見せるのが普通だと思うのだが、残念ながら日本から送られてくるイメージはそれとは逆だった。 これは日本のファッションの専門学校に責任があると思う。いかにして相手に良いイメージで自分のブランドをプレゼンしなければいけないのないか、ということがちゃんと教えられていないのではないだろうか?ヨーロッパでは、相手にきちんとイメージを伝えることはとても大切だ、ということが、生活のなかから重要視されている様に思う。
<イタリアのレディースブランドMelampo>

UPSIDEにはイタリアだけでなくヨーロッパの他の国からのブランドもたくさん出展していたので、これはイタリアのブランドに限ったことではない。どの国もブランドのプレゼンテーション、特にルックブックの写真のクオリティーはかなり高い。

日本のブランドを海外で販売する時、事前にバイヤーにコンタクトを取るために、ブランドにコレクションの写真を送ってもらう様にお願いするが、コレクションの写真に費用はかけられない、という返事かまず一番に帰ってきて、会社の中で社員が身につけた写真が送られてくる。それも数十億能売上があるようなブランドでもそうだ。

しかしヨーロッパのブランドの場合、コレクションを初めてまだ間がなく、コレクションを作るお金さえも工面していいる様なブランドでも、スタイルの良い友達や、写真を趣味にしている友人などにお願いして素晴らしい写真を毎シーズン用意してくる。どのブランドでもプレゼンテーションに使う写真は毎シーズンきっちり時間も予算も作って撮影している。


<イタリアの帽子のブランドIlariusss>

それではなぜ、ヨーロッパではプレゼンテーションのための写真に力を入れ、日本ではそうでないのか?これについてはこれまでずっと考えてきた…で、私なりの答えとして、日本のブランドが相手にしているのはドメスティックのマーケットで、知り合いを通してなど、どうにかすればバイヤーに会うことはできると思うが。ヨーロッパの場合、セールスキャンペーンの期間は短く、バイヤーはその時期にしかミラノにやって来ず、ミラノに来たとしても多くのアポを取っていて、なかなか商談をしたいバイヤーに会うことができない。それで、どうにかしてバイヤーにコレクションをみいせるとなれば、とにかく良いコレクションの写真を撮ってプレゼンテーションをするしかないのではないか、と思っている…

海外進出を考えているブランドさん、ルックブックの写真は重要です!

Ciao!

*ここのある写真のブランドはどこもあまり規模は大きくないが、プレゼンテーションの写真は毎シーズンカッコ良い

<ハンガリーのレディースブランドABODI>

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