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BtoBブランディングへの5つのアプローチ

SmartHRの岡本(@takaokamoto1)です。

BtoB企業においてもブランディングの必要性が理解され、浸透しはじめ、SmartHRでも2020年からブランドマーケティングの組織を立ち上げ、これまで以上に力を入れはじめました。

しかし、その進め方、アプローチの仕方について語られることは、まだあまり多くないように感じます。今回はBtoBブランディングの代表的な5つのアプローチ方法についてご紹介します。


➀事業転換期の企業ブランド再構築

事業構造の再編や新規事業への参入、海外進出、グループ再編といった事業構造の変化に直面したときに行うものです。

事業構造とは、どんな商品をどういった方法でどういった顧客へ販売するかということで、その変化へ対応するためにブランドを見直すこと。リブランディングという言葉を良く耳にすることがあると思いますが、まさにこれがそれです。

名称やシンボルマークなどの表面的な変更に留めず、自社のブランドの存在意義を再定義し、戦略を練り直すことが重要です。現状の認識、将来への期待、意思を明確化することからブランドの課題を抽出、そこからブランド価値を規定し、それを言葉にする。ブランド名やシンボルマークを再開発し、ブランドを社外へ発信、ブランドを社内に浸透させるまでが一連の流れになります。社内に浸透させるという点は、後述の営業人材へのブランド浸透と深く関わりがあります。


➁営業人材へのブランド浸透

ブランド価値を顧客企業に自律的に提供するように営業担当者を強く動
機付け、その意識や行動をマネジメントすることです。

提案型営業によってお客様の課題解決を行うときには、営業個人ではなく
組織としてお客様の信頼が高くなれば、その提案効果も高くなります。
ブランドの底上げによって、提案営業が効率化し、営業のパワーアップに
繋がります。そのためにはブランドが提供する価値を、どのような営業担当者の、どのような行動で実現するのかを明確にし、具体的な施策に展開していく必要があります。

ブランドの価値に沿った、営業担当者の行動がお客様の満足を呼び、ブランドと営業人材双方の力が最大化し、利益の拡大につながるような好循環をいかに生み出していくかが営業人材へのブランド浸透の課題の中心です。

営業人材、担当者にフォーカスしましたが、SaaSビジネスにおいては、カスタマーサクセスやサポートも含めた、顧客と直接関わりをもつ部門の人員もその対象になります。

➂技術・素材ブランディング

直接の顧客を飛び越え、流通チャネルや一般消費者に対して、自社の技術・素材・部品のブランドを形成することです。

「Intel Inside」や「Pentium」といたパソコン向けMPUのブランディング
が有名で、無意識に聞いたことがあると知っているものではないでしょうか。
技術や素材を対象にブランド化を図り、最終的な消費者や流通から評価
されて推奨を受けることができれば、顧客企業の攻略にも有利に働きます。実際にその効果は、「競合優位維持効果」と「顧客発見効果」の二つがあります。

「競合優位維持効果」とは、競合環境がより厳しくなるなか、直接の顧客
だけでなく、一般消費者からも、ブランディングを通じた支持を得ること
で、自社の技術や素材の競合優位がより長期にわたって強固にするものです。一般消費者へのブランディングは、後述の「BtoBとBtoCの事業間シナジー」と類似性の高いものになります。

「顧客発見効果」とは、ブランディングによって技術や素材の存在を広く
知られることで、開発者が当初想定していなかった新たな使用用途を顧
客企業側からのアプローチで発見することができるというものです。有名な例としては、「台所から宇宙まで」広く社会に広がったデュポンの「テフロン」があります。

技術・素材ブランディングを実現するには、競合に対する差別的優位性が
あり、かつユニット化することができる技術や素材を持つ企業であることが必要です。ユニット化とは、技術や素材はあるいは部品が、広く複数の顧客企業の最終商品に互換的に搭載できるよう、ひとつの単位(ユニット)として成立していることを指します。

技術というと「ものづくり」をすぐに連想してしまいますが、セールスフォース社の提唱する「THE MODEL」のような提供するプロダクトの価値を高め、他社も利用可能な専門的な知識体系も、ここにカテゴライズされると個人的には思っています。


➃BtoBとBtoCの事業間シナジー

一般にBtoB企業といっても、BtoBの事業だけを100%行っているかというと、必ずしもそうではありません。実際には、BtoB企業の多くがBtoCにも展開しており、逆にBtoCの会社の印象が強くても、実際の事業収益がBtoBのウェイトの方が高いといった企業もあります。BtoC向けの商品や広告を通じて広く一般層にまで浸透している電気メーカーや食品メーカーでも、その実態はBtoB事業の比重が大きく、売上や収益を支えている企業も多いです。ブランド構築においてBtoBとBtoCの整合性や相乗効果は重要なテーマになります。

一般的にBtoBの事業は、企業ブランド全体にとって、プロの顧客に対する
ブランドの理解や関係を深くする役割があります。一方で、BotCの事業は企業ブランドの認知やさまざまなステークホルダーとの接点を広げる役割があります。このBtoB事業ならではの「深さ」とBtoC事業の「広がり」を上手く組み合わせることで、ブランドはより一層大きく、強固なものになっていきます。

この「広がり」という点では、必ずしもBtoC事業を展開する必要がある
わけではなく、BtoB事業が提供する価値が、社会やその構成員である個人とどのようのに関わるか、どのような効用を与えるかを起点としたコミュニ
ケーションを展開することでも補完することができます。

⑤商品ブランドの体系化

商品ブランド数が増えて複雑化し過ぎた企業にとって、よりシンプルな
商品ブランド体系への再編は重要な課題です。

BtoB企業では、顧客ごとの商品やサービスのカスタマイズを余儀なくさ
れる場面が多く、その体系が複雑化するのは致し方ない部分もあります。
しかし、顧客企業の担当者や使用者にとって、過剰な選択肢は逆にストレ
スをもたらす要因にもなるので、商品やサービスアイテムと、マーケティングの投資単位であるブランドを弁別し、最適化するような商品ブランド体系の再構築を行っていく必要があります。

さいごに

BtoBブランディングを実行する5つのアプローチを紹介しましたが、決していずれか一つを選択するものではありません。それぞれが補完し合い、相乗効果を生むものなので、できる限り複数のアプローチを連動させ、実行していくと、複利的にその効果も大きくなります。その点も理解・考慮し、戦略を設計・実行していくことがベストだと思います。

そしてSmartHRでの取り組みについても、近々note化予定ですので、乞うご期待ください!


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