高野しえり

2022年から物書きの楽しさを知りました。初心者の書き物です。よろしければ読んでやって…

高野しえり

2022年から物書きの楽しさを知りました。初心者の書き物です。よろしければ読んでやってください。

最近の記事

スピってる

結構、スピってるね 友人に娘が鉱石にハマってる話をした時の反応である。私はこの、スピってる と言う言葉への理解が足らず、流しながら会話を続けたわけだが、よくよく考えれば「スピリチュアル」の意だと、遅れて気づいた。 スピリチュアルという言葉は、なんとなくマイナスなイメージが付きまとう。怪しい、胡散臭いものに、ハマる人と言う印象を持つ人が多いだろう。私も、そのうちの1人であったから、気づいた時点で娘への印象を改善させようと「純粋に石に興味があるだけだよ、博物館に行ったり」と、

    • 枯れていく道

      一本の白い糸を見つけた後、また一本の白い糸を見つけて、それからまた見つけて、糸が数十本になった。親指と人差し指で、その糸を擦り合わせると、太さのある紐のようになる。 真っ白な髪の束に、自分の命の衰えを感じる。 口コミが良い美容液を額に塗りこんでも、刻まれた皺が無くなることはない。眉をあげれば、いつでも、シワがこんにちはと挨拶をしてくる。ハリのない肌は、毛穴が重力に逆らわず、楕円に開いている。Photoshopで、迷わず消される毛穴がいくつも目視できる。 なんだこれと、知らぬ

      • 終わりの淵から エピローグ

        身体は疲れ切っていた。 鼻を劈く異臭と暗闇しかない世界に入り込んでから、一体何時間が経ったのだろう。 生臭い腐臭混じりの使い古された空気に、息苦しさは増すばかりだ。私の体は、この場所に順応しなくてはならないと、生命維持装置をフル稼働させ、無けなしの底力を発揮して、足を前に進めていた。長時間、下水に浸かった足の感覚は、もうない。こんな風にむかしは歩いていたという、感覚だけが頼りだった。この終わりのない迷路に必ず目指す場所がある。逃げ場のないこの地下水道で、私は、ただ未来を信じて

        • 短いお話し【冬籠】

           睡眠は人間にとって必要不可欠なものだ。私は、その重要性を身をもって知っている。眠らなければ、私の体は鉛のように重く、頭痛も目の下の隈も酷い有様だ。ショートスリーパーで有名なかのナポレオンは、睡眠時間が3時間くらいだったと聞く。ナポレオンはきっと眠りたかったけど眠れない環境にいただけで、心身ともに疲労困憊だったに違いない。睡眠を研究する有名な大学教授は、こう言った。『生物にとって睡眠は必要不可欠。野生動物は眠るという危険を犯してまで、なぜ眠るのか』  私は、この冬、冬籠を計

          星の海へ

          松本零士先生が13日に旅立ったと、 今朝のニュースで知りました。 私が尊敬する方がまた1人、星に還られました。 15年以上前でしょうか。 やなせたかしさんが生きている頃、 先生のパーティで松本先生にお会いしました。 銀河鉄道999のファンで、 学生の頃はキャプテンハーロックを 携帯の待ち受けにしていた私の前に、 本人を見つけた時は、緊張で息も吸えなく、 遠くから見てるだけでいいと思っていました。 しかし、一緒に参加していた先輩に パーティに参加していた声優さんとのツーシ

          はじまりのいっぽ

          今までは見て見ぬふりをしていた世界に 足を 片足を 少しでも 踏み入れると決めた時は 自分には無限の可能性があると キラキラが全身を駆け巡る 踊りを始めたときも、 楽器を始めたときも、 絵を始めたときも、 私はこの世界で輝けるという幻想が キラキラを量産し 私を夢中にさせる 片足でも ほんの僅かな一歩でも エネルギーは爆発的で 加速する 身体が軽い 何でもできる気がする 両足なら もっと早く走れるか でも 左足を突っ込んだ瞬間 世

          はじまりのいっぽ

          43歳の大石昌良

          サウンドスケジュールというバンドの ピーターパンシンドロームという曲を 10代だったか20代の頃、 当時ミュージックステーションで初めて聴いて、 彼らサウスケのファンになりました。 シングルもアルバムも買いました。 でも、 そうしたら、 いつの間にか解散しちゃって、 それから推しはころころ変わりました。 それから数年して、 大石昌良ソロデビューってのをネットで知って、 嬉しくて どこだったかな。いつだったかな。 新宿のタワレコの握手会で、 初めて本人を見て、握手してもらっ

          43歳の大石昌良