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はじまりのいっぽ

今までは見て見ぬふりをしていた世界に

足を

片足を

少しでも

踏み入れると決めた時は

自分には無限の可能性があると

キラキラが全身を駆け巡る


踊りを始めたときも、

楽器を始めたときも、

絵を始めたときも、


私はこの世界で輝けるという幻想が

キラキラを量産し

私を夢中にさせる


片足でも

ほんの僅かな一歩でも

エネルギーは爆発的で

加速する


身体が軽い


何でもできる気がする


両足なら

もっと早く走れるか


でも

左足を突っ込んだ瞬間

世界は真っ暗に


暗転する


キラキラは輝きを失い、

世界の住人が、

私の心をギュッと押し込み

心拍を止めようと

息の根を止めようと

寸前のところで

力を調整している



世界を手に入れた

もっと輝くキラキラが

遠くで輝いている

6等星くらいの

明るさなのに


眩しくて

目が開けられなくなる



遠くで輝気を,放つ

遠い存在を

羨ましく

恨めしく

見つめる


心臓を掴む手から

血が溢れ始める



六等星から私までの光の筋は

計り知れない距離がある


私の足元には

滴り落ちた血の塊が

形を成していく



オマエはナニモノダ





足元で口々に

そう言い続ける

ナニモノかが

蠢いている



恐怖で右足を上げる

とっさに

一歩だす


怖くて走り出す


足の裏が気持ち悪い


足の浮腫が重たさを際立たせるのか


言葉が重くするのか


だけど


その恐ろしい言葉無くして

私は進めない


名前のない私は

キラキラの筋を目指して

暗闇を

辿々しい足取りで進む


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