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今年最も聞かれた質問から、新米に大切な3つの力を考えてみる

テーマ「○△に大切な□✕」

本記事は #HRアドベントカレンダー2020 「○△に大切な□✕」の12番目の記事です。LINE青田努さんから今年のご褒美のような機会をいただきこの記事を書いています。

こんにちは。高野葉子です。私は普段デザインパートナー事業やデザイナーエージェントサービスReDesignerなどを展開する日本で初めて上場したデザイン会社、Goodpatchという会社でPR/PX/HRマネージャーとしてコーポレートデザイン領域のマネジメントを担当しています。

マネージャーとしてはまだまだ新米で日々チームに支えられながら仕事に向き合っています。

新米であることは面白い

前提として「新米」であることは良いことだと思います。
伸び代しかない状態は希望しかありません。そして人は誰しも最初は「新米」です。ちなみに私は昔から新しいことに挑戦するのが好きで、これまでのキャリアもやったことがないことや新しいことに挑戦できるような選択をし続けてきました。常に知らないことがある「新米」である状況が楽しく、できるようになっていくことや、知ることに面白みを感じます。そのため不確実性の高い新規事業や、社内外の空気をデザインする広報PRや、山の天気ほど変わりやすい人材・組織、実験が必要で抽象度の高い企業文化の仕事ほどやりがいを感じてきました。これからもこれまでも、仲間と共に常に新しい機会を自ら創り出し「新米」であり続けたいなとも思っています。

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今年最も聞かれた質問

今年は面談面接をはじめとしてGoodpatchという会社や組織に興味を持ってくださる人とお話する機会がグンと増えました。その時に一番よく聞かれたのは「組織崩壊の時になぜ辞めずにやり抜けたのですか?」という質問でした。組織崩壊に関してはIPOまでのGoodpatchというストーリーを振り返る上では欠かせず、2020年でも度々皆さんに知っていただくことになったからだと思います。

組織崩壊時、私はコーポレート人材としてもビジネスパーソンとしても「新米」でした。自分がわからないことがわからず、メタ認知が全然できておらず感情と事実を切り離せずに涙することもあり、フィードバックを受け取ることもとても下手だったと思います。漫画でわかるロジカルシンキング(おすすめ!)を手渡され自分に失望したこともありましたし、「少しは自分にもよくなかった点があると思えないの?」と言われ他責思考を初めて自覚することもありました。

何もできなかった新米の私が当時、唯一できたことは「デザインの力を証明する」というミッション、つまりコトを成すために、目の前で起きている小さなことに全力で取り組むこと。ただただ代表の横に立ち続けて今日よりも明日、会社が前進するために必要なことをやり抜くことしかできませんでした。自分の成長の遅さが会社の成長のボトルネックになる。期待に1%でも応えたい。何もない自分の可能性を信じて採用してもらった以上、恩返しをしたい。そんな中で学び、実践することで、自分を少しずつ成長させてもらったように思います。

ちなみに余談ですがCultureの語源は、ラテン語のcolere。colereは「耕す」と「崇める」という意味を持つそうです。信じるものを耕し育むこと。文化を耕すには人の手が必要であり、耕し続けるには当たり前を当たり前にやり抜くことで文化は醸成されていくのではないかなと思っています。

ここまで #HRアドベントカレンダー2020 の記事を拝見していても、皆さんが人事に大切なこととして挙げられることには「当たり前を当たり前にできること」や「胆力」に関する言葉が多く見受けられたように感じています。
人事領域は、長期的であり不確実性が高く、とことん人と向き合う必要のある仕事。人事という仕事が「人」を司どるものであり、人というのは会社のリソースの中で最も個人的な資産(感情、キャリア、時間等)だからなのかもしれませんね。

今日は今年最も聞かれた質問から、私が「新米」として大切にしている3つの力を言葉にしてみたいと思います。

1. メタ認知力

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まず新米として最初にやるべきことは「自分を知ること」です。今の自分には何ができて、何ができないのか。課題は何か。足りない能力は何か。など自分がおかれている状況を正しく知ること。
実際に私は、入社当時自分を全くわかっていませんでした。組織崩壊直前、広報顧問に松原佳代さんが就任してくださり課題を聞かれた際には「全ていい感じです!」と答えていました。自分と業務に課題が山積みだったことを認識し始めたのはそのすぐあとのことでした。

メタ認知力があると「目的」から逆算した「手段」を導き課題解決することができます。また「主観」と「客観」の使い分けや「感情」と「事実」の切り分けもできるようになります。自分本意ではなく、周りの意図や状況のコンテクストを理解することもできるので、コトに向き合いやすくなります。「自分自身のハンドルをしっかり握って、地図を見ながら安全運転できている状態」というのがわかりやすいのではないでしょうか。

メタ認知が上手な人は振り返りも上手です。成長に振り返りという行為は最強のツール。常日頃から「どうしたら今日よりも明日、事業と自分が前進するのか」について考えを巡らせています。「目標」「現状」「ギャップ」をメタ認知できているからです。そのため、行動の改善がスムーズになり、自分を成長させられるのだと思います。

メタ認知できていない時に陥りがちなこと
・目先のタスクや業務で頭がいっぱいになる
・トラブルや失敗に関して誰の責任なのかが気になる
・事態に対しなんらかの言い訳が先に出てきてしまう
・事態の先にある改善や解決策への行動に意識がいっていない

これらは経験のない新米なら尚更、できなくて当たり前です。まずはメタ認知できているのか整理することが物事を進める上では重要です。

2. フィードバックを受け取る力

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フィードバックは指摘ではありません。フィードバックは相手が「自分」や「コト」を前進させるために行うものであり、あなたを否定するものではありません。もし否定されていると感じることがあれば、それは「個人」と「役割」を切り分け、「役割」として受け取ることをおすすめします。「事実」と「感情」を切り分けて「役割」、つまり一人のプロフェッショナルとして受け取ることが重要です。特にコーポレートは、主語がIではなくWeである、バランス感覚を求められる職種だと思います。

フィードバックは相手からのギフトであり、もらえるのが当たり前ではありません。運よくもらうことができた際には相手に「すみません」ではなく「ありがとうございます」と伝えましょう。自らもらいにいく働きかけも必要です。
お恥ずかしながら私は同じチームメイトであるベテラン人事の小山さんとあることがきっかけで激しく衝突したことがありました。その時、彼は真摯に事実に向き合い、年下で経験も浅い私にフィードバックをもらいにきてくれたのです。おかげで私はフィードバックをすることができ一緒に問題を解決するだけでなく、それがきっかけで彼との確固たる信頼関係を築くことができました。

中原 淳さんの「フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」は初めてメンバーを持った際に上司が教えてくれた書籍。主にフィードバックをする側の視点に立った内容ですが、フィードバックを受け取る方にもおすすめです。

フィードバックに必要な「SBI」
・状況(Situation):どのような状況で、どんな状況のときに
・行動(Behavior):どんな振る舞い、行動が
・影響(Impact):どのような影響や結果を与えたのか

フィードバックは、まずは上記のようなポイントを抑えて受け取ること。そして、一旦受け入れてしっかり噛み砕くことが重要です。新米ゆえに時折もらった言葉を丸ごとそのまま鵜呑みにしたり、具体から抽象化できないこともあります。「受け取る」から「受け入れる」には自分なりに噛み砕くことが必要不可欠。必ず自分の言葉に変換して、言語化することで初めて自分のものにすることができます。
まずは自分が腹落ちできるまでしっかり噛み砕きましょう。自分だけで言語化しようと思わず、壁打ち相手を見つけましょう。同僚でも先輩でもあなたの成長を願っているチームメンバーは必ず付き合ってくれるはずです。

3. やり抜く力

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やり抜く力は、何事にも変えがたい、自分さえ努力できればいかようにでもコントロールできる無敵の力です。努力できるのも才能とも言われますが、他の才能に比べたら、挑戦のしがいがあるものです。「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる」という言葉がありますが、まさにその「自分」と「未来」を変える方法として努力のしようがあり、可能性を広げてくれるものです。
新米の状態から次のステップにいくには、信頼を一つずつ積み重ねていくことしかありません。次のチャンスを掴む握力を鍛えるためには、今できることはなんだろうと考えて、それに真摯に向き合いひたすらにやるしかありません。「新米」は無条件信頼され、可能性を期待された機会提供だと思います。その期待に応え続けるには、どんな小さなことでもやり抜くことを繰り返し、成果を出すことが重要です。

私が好きなアンジェラ・リー・ダックワースのTED 「成功のカギは、やり抜く力」にはこのような言葉があります。

やり抜く力とは超長期的な目標に向けた情熱や忍耐力でスタミナがあることでもあります。
やり抜く力は明け暮れても自らの将来にこだわることです。その週だけとか、その月だけではなく。何年もの間一生懸命に取り組み、その夢を実現することです。やり抜く力は短距離走ではなく、マラソンを走るように生きることです。
才能があっても最後まで決めたことをやり抜けない人がたくさんいます。
やり抜く力とは才能の高さと反比例するのです。

何事もはじめたばかりの頃は、短期視点になりがちで長期視点で考えられないことがあります。そんな時には、誰かと比べたり、才能のなさや不向きを嘆くこともあります。弱みを克服しようしすぎると自信もなくなってしまいますよね。他の選択肢を模索して今ここではないどこかや、幸せの青い鳥を探しはじめる人もいるかもしれません。
そう思うことは、もちろん私にもありました。顧問の松原さんに「私じゃない人が広報をした方が会社のためになるのではないでしょうか...」と弱音をこぼしたことがありました。その時に松原さんは「はこちゃんは誰よりもデザインが好きで、デザインの力を信じているのでしょう。それが何よりの強みでやるべき理由」という言葉をかけてくれました。その言葉のおかげで、自分がここにいていい理由を再確認し、やり抜く決意ができました。
目の前にある、あなただからこそできるコトに向き合いやり抜くこと。それが信頼への一番の近道なのではないかと思います。

新米であることを楽しもう

2020年も残りわずか。今年はどんな新しい挑戦を経験できたかなと自分自身を振り返りながらこのnoteを書いてみました。来年、新しいことに挑戦する新米の皆さん。今年うまくいかなかったけどもうちょっと続けてみようと挑戦する皆さんにとって少しでもお役に立てる記事になっていたら嬉しいです。
私は来年、少し仕事をセーブして、新米ママとして出産と育児という新しいこと、役割に挑戦します。また来年の今頃、どんな挑戦ができたのか振り返ることが楽しみです。

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