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水戸岡先生と黒い特急電車


 JR九州のデザイナーといえば、水戸岡鋭治さんです。
初めての、新型電車のデザインされた車両がかつての「つばめ」用特急電車です。


衝撃の特急電車

 もう30年以上前になりますが、当時九州新幹線が
影も形がなかった頃に、在来線で福岡ー鹿児島を結ぶ
特急電車として、デビューした黒い車両です。

 このデザインを見たときに雷に打たれたような、
衝撃を受けました。

 先頭部のデザインもさることながら、
車内の特にインテリアが素晴らしく、
単に快適な座席が進行方向に並ぶだけでなく、
バリエーション豊かな車内、
ちょっと暗めな大人な雰囲気にクラクラしました。

 まだ学生だった私には水戸岡先生のことや
当時のJR九州の考えも知る由もなかったのです。

JR九州「つばめ」としてブランド化

 当時、福岡ー鹿児島間の都市間連絡では
高速道路が開通するところで、
マイカーや高速バスに押され気味でした。

 また、JR九州発足間もないころで
旧国鉄の古い(ダサい)特急電車も多く走っていたり、
路線条件も良くなく同都市間は4時間以上
かかっている現状でした。

 そこで、線路を改良し、新しい特急電車を投入し
概ね3:50ほどの所要時間と
1時間毎のわかりやすいダイヤで「つばめ」として
運転されます。

へそ

 福岡ー鹿児島間が時間短縮したとは言え、
4時間弱の所要時間です。

 他の交通機関ではできない魅力として、
列車の編成を「街」として捉え、その真ん中に
「へそ」を作ることにしたのです。

 それが、ビュッフェです。そのデザインが秀逸で、
天井がエッグ上になっており
そこを照らすスポットライトがあります。
つまり、ビュッフェは、列車内の社交場のようなイメージですね。


在来線「つばめ」頃のビュッフェ車両

多様な設備

 ビュッフェにとどまらず、新造当時には、
グリーン席も3種類ありました。通常の座席、
トップキャビン、個室と1両に詰め込まれていました。


手前に重厚なドアがあります。

 普通車も、コンパートメント風の座席があったり、
車両のまんなかに大型の荷物収納スペースが
あったりと、普通車にも抜かりはありません。
また、座席のモケットの柄も何種類もあり、
暗めな車内ではありますが
色は原色系の明るいものです。これがまた映えるのです。


普通車、コンパートメント

講演会


 たまたま、講演会が大阪で実施されていることがあり、
その時に間近でお目にかかったことがあります。
優しそうな表情が印象的でしたが
その内容は、鉄道に対する熱意やひたむきな姿勢に
感銘を受けたことを覚えています。

絶大な影響


 水戸岡さんの車両のデザインをきっかけに、
日本の鉄道車両デザインの方向性を大きく変えた
という気がします。

 それは、今でこそ当たり前になっていますが、
ガラスや木といった自然な素材を難燃素材にする
ことにより活用しています。

 また、鉄道会社が新しい車両を開発するときに
デザイナーを外部から招へいすることも増えました。

 また、鉄道は単に移動するというだけでなく、
「乗ること」や「見ること」そのものを目的とする
旅行の発掘にもつながったと思われます。

 それは、クルージングトレインとして
主に富裕層向けに運行される列車のさきがけも作りました。

まとめ


・JR九州をはじめとする鉄道のデザインをされている水戸岡さん
・初めての新型車両のデザインされた黒い特急電車。
・そのデザイン、レイアウトは車内の多様性を実現
・鉄道界を変えたといえる存在

 






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