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夢と交差する視線。

真鍋由伽子さん 個展『Observe every water droplet』

新宿に用があったので、その足で西荻窪で開催されている真鍋由伽子さんの個展にお邪魔した。ここまで来ると、私の中ではるばる感が満ちてくる。

会場は「ヨロコビtoギャラリー」。はじめて伺う。飲み屋街とは反対方向にのんびり歩く。西荻窪は豊かな街だなぁと思う。生活との距離感がとても良いように思う。暮らしたことはないので、本当のところはよくわからないが。
郵便ポストを目印に右折。ギャラリーがすぐに目に入る。奥にカフェも併設されているらしい。

真鍋さんのベースには日本画があって、その上で版画を修了されている。今回の展示では、どちらの要素も見て取れて面白い。

真鍋さんの作品群 過去作品から新作まで
過去作品から新作まで、大小さまざまな作品が並ぶ

私が格別気に入っている「つまり…」と再会することもできたし、二〇二二年度の藝大卒業・修了作品展ではじめて出合った「壊れた道路を直しています」もポートフォリの中に見つけて嬉しくなった。修了展ではこの画の前に「心の煮物」として小作品群が展示されていたこともはっきりと覚えている。

右手を前に差し出し、つまり...つまり...とつぶやく人の版画。目から上は描かれていない。
「つまり…」この作品と最初に出合ったのは原宿だったか。

いずれにしても、彼女の作品には夢と現が同居しているようで、そこに疼きと忘却までもが混在しているように感じる。彼女の描くこの華奢な線が物語るものの饒舌さに静かに圧倒されてしまう。

彼女がただひとり、この世界に見ているもの。そのお裾分けを私たちは見ているのだ、きっと。

リトグラフのさん作品。左から「聖なる木」「星屑」「森のささやきII」。それぞれ着色されている。
リトグラフ三作。左から「聖なる木」「星屑」「森のささやきII」


松のある海岸?のようなところで、少女が左手に箸をもっている。肩には猫のような狐のような動物がマフラーのようにのっかっている。彼女は、「失くした箸」とつぶやき、そのすぐ横に同じ文言が反転されて書かれている。
「相生のあの子の夢」


ギャラリー左の壁に飾られた展示の数々。
展示風景1


ギャラリー右手の壁に飾られた、主に額装された作品の数々。顔料で着色された画も多い
展示風景2


東京藝術大学の図書館で廃棄されることになった洋書に、真鍋さんがドローイングを描きつけた作品。欧文フォントの上に彼女の線画が書かれている。全14点
ポートフォリオの中から「廃棄図書のドローイング1と2」(2018)


今回の展示場所となった西荻窪のギャラリー「ヨロコビtoギャラリー」の外観。大きな窓から作品が垣間見える
「ヨロコビtoギャラリー」外観

■真鍋由伽子さん 個展『Observe every water droplet』
会期 2024年7月10日(水)~7月28日(日) 終了
会場 ヨロコビtoギャラリー 東京都杉並区西荻南3-21-7


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