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写真展『透光』の振り返りと、公務員を退職してからの実際のところ

ここ数日で一気に気温が冷え込みましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はここ1ヶ月、転職と写真展の開催という重大イベントを乗り切り、心身ともに目まぐるしい日々を過ごしていました。
やっと落ち着いて自分に向き合える時間ができたので、こうしてnoteを書いています。

写真展『透光』について

9月30日から10月2日まで、Aoki Nagisaさんとの合同写真展『透光』を開催していました。
光の存在感と透明感を大切に写真を撮っているNagisaさんと一緒に、うつろう四季の彩りと、季節ごとに姿を変えていく光をテーマに、春夏秋冬の写真を展示しました。

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写真展に込めた想いについては、撮影機材のサブスクサービスを展開するGOOPASSさんが運営するウェブメディア「MARSH」さんにインタビューをしていただいた記事で紹介いただいています。
https://goopass.jp/marsh/takano_interview2/

今までは、大人数の中での合同展とオンライン上の展示しか経験してこなかったのですが、ここまで自分が納得できる、今一番私が皆様にお見せしたい写真を展示できたのは初めてだった、という実感があります。
また、写真展に来ていただいた多くの方から、展示されている写真のうち、どれが私が撮ったものでどれがNagisaさんの撮ったものか分からない、という声をいただきました。
私も、どちらの写真も大好きな写真家さんたちの展示に伺った際は同じようなことを感じたことがあるので、そう言っていただけて嬉しかったですし、感性が似ているNagisaさんと展示をご一緒できて本当に良かったと思いました。

今回は初めて、国家公務員時代には叶わなかった写真集とポストカードの販売を行いました。
自己満足で販売するものにどれだけ需要があるのだろうと不安な気持ちでいっぱいでしたが、予想外に反響をいただき、2日目の昼過ぎには写真集が完売するという結果になりました。
個人的にはとても嬉しかったのですが、写真集を楽しみに展示にお越しいただいた方々にとっては、心苦しい気持ちでいっぱいです。
約1年半前に、しまうまプリントさんとCURBONさんの企画で、抽選で写真集をプレゼントさせていただいたことがあったのですが、その時に応募をいただいたのは約120名でした。
無料の写真集を欲しいと思う人の数が120名であれば、有料では50名もいれば良いところかな、と思ったのですが、見立てが甘く申し訳ありません。
有難いことに再販のお問合せを沢山いただいているものの、今回の写真集の再販やオンライン販売は行わず、『透光』に来てくださった方限定の販売とさせていただければと考えています。
この写真集は展示した写真を中心に構成されており、写真展に来てくださった方々が展示の空気感を思い出していただく際の導入剤になってほしい、という想いで制作したものです。
ですので、全く同じ内容の写真集の再販は行わない予定ですが、また別の機会に一から新しく制作し、オンラインで販売などできればと考えております。

写真展をご一緒したNagisaさんとは、SNSを通じて知り合ったため、実は展示を決めた時はまだお会いしたことがありませんでした。
実際にお会いしてみて、人見知りの私でもすぐに打ち解けることができたのは、Nagisaさんの包容力と、接する人を笑顔にしてくれる明るさのお陰だったと思います。
評判が非常に高かった会場のBGMや、所々に配置された透ける布の演出もNagisaさんの考案によるものです。
また、週末の2日間は、モデルのMariaさんにお手伝いいただきました。お客さんと話しているとどうしても周りが見え辛くなってしまうので、360度気を配ってくださるMariaさんの存在には本当に救われました。

ここからは反省点です。
展示した写真の内容は一点の曇りもなく満足だと言えるものの、パネル加工をはじめとした展示の技法については、今でも悔いが残っています。
私は恐ろしく手先が不器用なため(中学の家庭科の授業でエプロンを作った時、多分女子ではたった一人「頑張りましょう」の評価だった)、これまでの展示ではRoonieさんで木製パネルの加工をしてもらっていました。
今回は、ギャラリーのカジュアルな雰囲気に合わせたく、また、出展点数も比較的多かったため、自前でハレパネを切って写真を貼り付けるという方法を選びました。
きっと手こずって時間がかかってしまうだろうと思い、展示の1ヶ月ほど前から作業に取り掛かったのですが、仕上がりに満足できず何度もやり直し、本業もある中でしたので結局ギリギリまで作業していました。
搬入当日、スーツケースを開けていざ壁に展示しようと思ったら、早めに作業を済ませたパネルが、湿度のせいで反ってしまっており愕然としました(今思えば、前日に確認しなさいよとしか言いようがないのですが)。
1日目は、お客さんがその写真を見ているといたたまれなくて悔しくて、いっそ取り外してやろうかとも思いました。
その日の夜、展示経験の豊富な夫にパネル加工をしてもらい、2日目の朝に4枚の写真を貼り替えました。
「自分の展示なのだから、自分で全てやる」と意地を張っていましたが、お客さんの立場になればそんなプライドは何の役にも立ちませんね。
初めからできる人に頼っていれば良かったと、この時ほど痛感したことはありません。次の機会には、私ができないことは得意な人にお任せしようと思っています。

写真展『透光』を無事開催できたことで、国家公務員を辞めて1ヶ月、心から満足のいく形で兼業写真家人生のスタートを切ることができました。
今後はいつか、3〜4つ程のストーリーを基にした写真を個展で展示できればと思っておりますので、楽しみに待っていただけると嬉しいです。

国家公務員を退職してからの生活について

国家公務員を退職し、新たな仕事を始めて1ヶ月が経ちました。
転職先は知的財産関係の仕事で、全く新しいフィールドなので覚えることが沢山ある上に絶対にミスをしてはいけないという緊張感はありつつも、国家公務員時代のように、15分で総理答弁を確認したり、早朝5時に国際会議の成果文書の交渉にあたったりといったようなことはありません。
元々自分に向いている静かな環境で、落ち着いて業務にあたることができています。
国家公務員の仕事と比較した時、単純に業務内容だけを見ると、社会に与えるインパクトという面では正直減ってしまったのではないかと思います。
ただ、残業時間は当時の4〜5分の1に留まり、通勤時間も大幅に減少したため、夫と一緒に夕食を食べたり、運動をしたり、写真関係の連絡調整をこなすことができています。
今の自分にとっては、自律的に時間を使うことができる状況がとても大切なので、今のところ、転職したことは1ミリも後悔していません。

今の職場では、公序良俗や守秘義務等に反さない限りでの兼業が認められています。
MARSHさんのインタビューでもお話ししたのですが、私は写真を仕事にすると、クライアントさんの意向をまずは優先し、自分の撮りたいものを我慢しなくてはいけないのではないかと思っていました。
ただ、実際に仕事を受けることができるようになり、お仕事のお話をいただくことが増えたのですが、殆どの方や企業は私のtwitterやnoteを事前に見てくださり、写真の方向性や考え方を踏まえた上でお仕事を提案してくださるので、こんなに寄り添ってくださるのものかと感激しています。
中でも、公開は少し先になるものの、ずっと題材にしたかった小説を基に撮影することができそうな案件があります。
本業を第一優先としつつ、無理なく写真や文章の仕事を受けていければと思っています。

少し誤算だったのが、撮影の依頼が思ったよりも平日に集中してしまうことです。
私は土日にしか休みがなく、しかもその土日も作品撮りや夫との予定を入れてしまうので、撮影の依頼をいただいても、とにかく日程が合わずお受けすることができていません。
(数えていないのですが、約半分の依頼は日程が合わずお断りしてしまっています)
3ヶ月ほど前であれば都合がつけられることが多いので、撮影依頼や作品撮りのお誘いなど、是非お早めにご連絡いただければ幸いです。

今後、国家公務員時代に培った経験が転職先や兼業先で生かされたことや、逆に妨げになっているかもしれないこと、そしてセンシティブなお金のあれこれなど、皆様の参考になりそうな情報を発信していければと思っています。

夜通し国会対応に追われ、明け方に帰宅した日の空。
今となっては夢のよう。

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