PISCSを用いてアゼルニジピンとポサコナゾールの併用によるAUCの上昇を求めてみる
こんにちは。
2024年9月にpmdaより出されたDSU(医薬品安全対策情報)に、アゼルニジピンの禁忌薬追加情報が出ています。
本文では、イトラコナゾールとアゼルニジピンとの併用により、アゼルニジピンのAUCが2.8倍に上昇するという記載があります。
同じく本文には禁忌薬として、ポサコナゾールの記載が追加されていますね。
では、アゼルニジピンとポサコナゾールを併用したら、AUCはどのくらい上昇するのか?というのを検証してみたいと思います。
ポサコナゾールの添付文書にそのヒントがありました。
例えば、ミダゾラム(経口)と併用した場合、ミダゾラムのAUCは平均で4.97倍上昇する。という記載を見つけることができました。
ミダゾラム(経口)のCR(寄与率)が0.92で、ボサコナゾールとの併用でAUCが4.7倍に増加した場合、PISCS(CR-IR法)の公式を使ってボサコナゾールのIR(阻害率)を求めることができます。
PISCS(CR-IR法)の公式は以下の通りです:
与えられた条件は次の通りです:
AUCratio=4.7
CR=0.92
IR を求める
これを代入してIRを求めます。
IR≈0.856
したがって、ボサコナゾールのIR(阻害率)は約 0.856 となります。
次に、アゼルニジピンのCRを求める必要があるので計算してみましょう。
イトラコナゾールのIRは0.95、アゼルニジピンとの併用によりAUCは2.8倍になるとき、アゼルニジピンのCRは?
イトラコナゾールのIRが0.95、アゼルニジピンとの併用でAUCが2.8倍に増加する場合、PISCS(CR-IR法)の公式を使用してアゼルニジピンのCR(寄与率)を求めることができます。
与えられた条件:
AUC_{ratio} = 2.8
IR=0.95
CR を求める
まず、公式に代入します:
$$
2.8 = \frac{1}{1 - CR \times 0.95}
$$
最後に、CRを求めます:
CR≈0.677
したがって、アゼルニジピンのCR(寄与率)は約 0.677 となります。
ここからが本題。
アゼルニジピンのCRは0.677、ボサコナゾールのIRは0.856の場合、両剤を併用したらAUCはどのくらい変化しますか?
アゼルニジピンのCRが0.677、ボサコナゾールのIRが0.856の場合、PISCS(CR-IR法)の公式を使って、両剤併用時のAUCの変化を計算できます。
公式は以下の通りです:
$$
AUCratio=1/1−CR×IR
$$
与えられた値:
CR=0.677
IR=0.856
これを公式に代入します:
AUCratio≈2.38
したがって、アゼルニジピンとボサコナゾールを併用した場合、AUCは 約2.38倍 に増加することが予測されます。
結果としてはアゼルニジピンとポサコナゾールの併用でアゼルニジピンのAUCが約2.38倍に上昇。
アゼルニジピンの用量の上限は16mgですから、8mg投与の場合でも16mgを超えることになり、十分併用禁忌の内容ですね。
このように薬学の知識やPISCSの知識を使うことで、より服薬指導に熱量が加わることがおわかりいただけたかと思います。
この計算を実務実習生といっしょにやってみました。
薬物相互作用や薬物動態が実際の現場でどう生かされているかを知るのにはいい機会だったかと思っています。
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