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『◯月◯日区長になる女。』なんで朝街宣ってやるの?

2ヶ月前にヨーロッパから帰国し杉並区長選に臨んだ岸本聡子さんと杉並区民の60日間の闘いとその後。泣いた。岸本区長が誕生するのがわかっているのに涙が出てきた。杉並区民全員の勝利。江東区長選を戦った経験を元に比較の視座から書き残しておきたい。

一般の視聴者は気づかない選挙ハックの数々。私も知らなかった。目を凝らさないと、外から見るだけでは気づかないもの。

1.明確な争点設定。喫緊の争点は、補助133号線の延伸に伴う立退問題。

2.保守分裂。相手は現職。これは大きい。過去の選挙データから野党一本化により勝率が高いことも後押し。

3.江東区ではやっていない選挙手法が明確に2つないし3つ。公選法の盲点。細かい点だが、これはすごい。非公表。

4.ボランティア(や議員)の絶対量が多く女性比率が非常に高い。ボランティアからのちの区議選へ。女性区議のカラフルな服装。さらにスニーカーで登庁。岸本区長の初登庁は自転車にグラサン。

5.住民運動が非常に活発。住民が候補者を選ぶことにより引き出される主体性。


ローマは1日にしてならず。

そして何より、岸本聡子さんの成長。最近、欧米の左派の政策を開陳していないのだが、東南アジアにいた10年前より貧困、差別の解消や気候危機に対する危機感から、サンダースやコービン、バルファキスなどの政治家をフォローしている。オキュパイウォールストリート、BLM、黄色いベスト運動、Fridays for Futureなどの運動もウォッチし、その文脈や国策としての民営化やドイツのシュタットベルケなどから、岸本さんの講演を何度か聴いていた。英語日本語どちらも。はっきりいって上手くない。政策や知識の面からではない。今回のドキュメンタリーでも大いに市民から指摘される。最初はヨーロッパの活動にはない朝の駅頭などもやる意味がわからなかったなおさらだろう。

だが、選挙が進むにつれ、どんどん上手くなる。つっかえもなくなる。熱量も上がる。これは選挙というものが持つ力。候補者をどんどん成長させ、周りに熱伝導する。感動のフィナーレでした。

素晴らしい選挙映画だが、一つミスリードを防ぐため書いておきたい。

やはり何より大事なのは、日頃の活動。平時の活動。やはり選挙の前だけやればいいってものじゃないんだよ。

日々の活動に勝るものはないんだよ。今江東区では、選挙活動だ、政治活動を事前活動だと言い争っているが、それは日頃の活動をしていないから。日々活動していないから、嫌疑がかかる。声を大にして言いたい。直前に焦っても仕方ないんだよ。あと、◯万回街宣したとか◯万軒訪問したとか回数アピールしてるのはほんとうにくだらない。真偽もそうだが、そもそも区民が少しも求めてない情報。何を伝えたか、何を聴いたか。の方が大事なのは明確。民間で、顧客視点のマーケティングを意識してたらすぐ気づく。

ローマは1日にしてならず。

それにしても高田馬場四丁目に住んでいたので、大学時代は、荻窪も高円寺もここ東中野も落合も、東京都の西側で遊んだり、飲み歩いたものだが、めっきり機会が減った。また来よう。新しい風を感じに。

最後のキョンキョンが歌うエンディング曲『ミュニシュパリズム』が最高でした。選挙と政治にかかわるすべての人に見ていただきたいドキュメンタリーです。傑作です。

高野はやと@江東区