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「龍師」 第2話 【白百合の想い】

「龍師」
 
2話 【咲】
 
 
「‥‥龍は卵を二つ産む、一つは龍、そしてもう一つは吉弔きっちょうという亀になる」
 
かくの声「咲、大丈夫だよ。いつだって側にいるよ」
 
サブタイトル「白百合の想い」
  
  ○みかさの家
  みかさが学校から帰ってくる
みかさ「ただいま」
  佑、出てくる
佑「おかえり~」
みかさ「おりこうにしていたか?」
  佑の頭をぐりぐり撫でるみかさ
佑「うんっしてた。あのね、笙子しょうこさん来てる」
 
  ○居間
  笙子が座っている
  みかさ、覗いて
みかさ「笙子さん、こんにちは」
笙子「みかさ様、お帰りなさいませ」
  頭を下げる笙子
みかさ「今日は?」
  笙子、大きめの封筒を渡す
笙子「宮尽みやつこ様からみかさ様にお渡しするように言われました」
  受け取るみかさ
佑「笙子さん、美味しいものもってきてくれたよ」
みかさ「いつもありがとう」
笙子「(微笑んで)いいえ、それでは私は」
みかさ「もう帰るの?」
笙子「また、参ります」
みかさ「気を付けて」
笙子「ありがとうございます」
 
  ○みかさの家のお堂
  みかさ、封筒を開ける
  中には手紙と写真二枚が入っている
  手紙を読み、写真を見る
  写真を見て一瞬驚くみかさ
 
  ○居間
  居間には、蒼、佑、咲、裕、紲がいる
蒼「宮尽のおっさん、何だって?」
  みかさ、黙って写真を一枚、蒼に渡す
  他のメンバーも覗き込む
  写真には六歳ぐらいの少年が写っている
蒼「この子がどうかしたのか?」
  もう一枚の写真を出す
みかさ「これは、その時に一緒に撮った写真」
  写真を渡す
蒼「うっ!」
裕「これは!」
  少年の顔が別人のような恐ろしい顔で写っている      
みかさ「名前は篠崎望央みお、六歳。母親が心霊写真ではと、宮尽様の所へ持ってきたらしい」
咲「明日にでも行きましょう」
  咲、立ち上がり部屋から出て行く
  そのうしろ姿を見ているみかさ
みかさ「また?」
裕「そう、赫から、全然連絡が無いから機嫌が悪いんだ」
佑「きげんわるいの~」
蒼「明日、出発?」
みかさ「うん、早いほうがいい‥‥ただ‥‥」
蒼「ただ?」
みかさ「ちょっと、問題があって(裕を見る)」
裕「何?何で俺を見るんだ?」
 
  ○みかさの家の庭の池の側
  池を眺めている咲
咲「何で会いにこないかなぁ?赫‥‥赫は、あたしに会わなくても平気なの?」
 
  ○朝
  みかさの家の玄関
みかさ「じゃあ、行ってくる」
みかさの姿の裕「何で‥‥」
佑「そっくり、そっくり~」
みかさ「こっち、行かないと」
裕「だからって、何で俺がみかさの代わりに学校の試験受けなくちゃいけないんだよ」
みかさ「裕、頭いいし、化けるの上手だから」
裕「みかさ~」
みかさ「じゃぁ‥‥終わったら、すぐに来い」
  みかさ、出て行く。皆も出て行きながら
紲「さすがは裕だな」
蒼「見分けつかないよ!すげーよ!」
佑「かわいい、かわいい~」
咲「‥‥(じっと見つめて)本物より綺麗なんじゃない?」
佑「いってきま~す」
  全員、出て行く
裕「(ため息)」
  裕の後ろからすうが現れる
崇「素晴らしいね。裕」
裕「崇まで、そんな事言うか~」
崇「いや、かわいいよ。俺は裕の吉弔でよかったな、こんなにかわいい裕が見られたし」
裕「崇~」
崇「(笑う)」
 
  ○望央の家
  みかさ、蒼、紲、咲が母親の話しを聞いている
  佑は望央と庭にいる
望央の母親「あの子、二週間前に迷子になって」
みかさ「迷子?」
望央の母親「実は今、主人と別居していまして‥‥望央の兄を主人が連れて出て行っているのです。その兄を探すために黙って家を出てしまい、この先の森で泣いているところを保護されたのです」
みかさ「‥‥」
  咲、部屋から出て行く
  庭にいる望央と佑の側に行く咲
  いすに座ったままで窓から庭の様子を見ているみかさ
望央の母親「それからです望央が話さなくなったのは‥‥望央を元気付けようと遊園地へ連れて行ったら、あんな写真が撮れてしまって‥‥」
 
  ○庭 
咲「ねぇ、あんた、お兄ちゃんに会いたいの?」
  咲を、じっと見てから黙って頷く望央
咲「お兄ちゃんの事が好きなんだ」
  頷く望央
咲「お兄ちゃんを探すために森に入ったの?」
  頷く望央
咲「森の中で何かを見た?」
  驚く望央
望央「お兄ちゃんに‥‥お兄ちゃんに会わせてくれるって言ったんだ」 
  咲が望央の肩に触れる
  咲指先で何かを感じる
望央「(奇声をあげる)」
  望央、走り去る
咲「(望央を追いながら)佑!みかさ達を!」
 
  ○森の中
  走っている望央
  追う咲
  途端に望央が立ち止まり、振り返る
  攻撃してくる望央
  避ける咲
咲「結構、力があるわね。この身体じゃ駄目かしら」
  咲、呪文を言う
  咲、大人バージョンになる
  望央の攻撃
  受けるとめる咲
咲「くっ!パワーありすぎよ」
  望央の攻撃
  受け止めそこねる咲
咲「うっ!」
  咲、木に身体をぶつける
  ぶつかっている咲に攻撃をする望央
  赫が出てきて咲を抱きかかえて飛ぶ
咲「赫!」
赫「ごめん、ちょっと遅かったね」
咲「‥‥‥‥遅いわよ!何していたのよ!」
赫「ごめん、ごめん」
  赫、望央の前に下りる
赫「咲に傷を負わせたな」
咲「赫、待って望央は傷つけないで!」
赫「お前がやられて俺が黙っていると思う?」
  赫、望央に攻撃する
咲「赫!」
  攻撃が望央に当たり、望央の中から怪羅の本体が出てくる
  倒れる望央
赫「ほら、怪羅を出す攻撃(振り返って咲に微笑む)」
咲「赫」
怪羅「許さぬ」
  怪羅の攻撃
  赫、咲、避ける
  みかさ、佑、蒼、紲が来る
みかさ「咲!」
咲「みかさ」
  みかさ、鈴の付いた杖を出す
みかさ「龍師、みかさの名のもとに召喚する。木は青々と茂り龍王を待つ、火は赤々と燃え龍王を待つ、金は白々と続き龍王を待つ、水は黒々と流れ龍王を待つ、土は黄々と光り龍王を待つ」
  次々、龍王の姿になる
青龍の蒼「森の中っていうのが丁度いい!木々達よ」
  蒼の言葉で森の木が動き怪羅を押さえつける
怪羅「何!」
  赤龍、佑の火の攻撃
怪羅「ぎゃー」
  白龍、咲の風の攻撃
怪羅「ぎゃー!」
  黒龍、紲の水の攻撃
裕「遅くなった~」
  黄龍の裕が来る
みかさ「遅い!」
裕「これでも頑張って急いで来たんだよ」
  五龍王の攻撃
  怪羅、消える
咲「望央!」
  望央の側にかけ寄る
  赫が望央を抱いている
咲「赫!」
  赫、望央の額に手を置く
  望央、目を覚ます
咲「望央?」
望央「お姉ちゃん」
咲「良かった」
  望央の母が来る
望央「お母さん!」
望央の母「望央」
  望央、母の所にかけ寄る
 
  ○夕方
  みかさの家の縁側
  赫と咲が座っている
咲「あのお母さん、もう一度家族一緒に暮らせるように頑張るんだって」
赫「よかったね」
咲「大好きな人と離れるのって辛いんだよね‥‥」
赫「俺は咲の側にいるよ」
咲「うそつき」
赫「いるって、いつだって咲の事見守っているよ」
咲「調子いいんだから‥‥ばか」
 
  夜
  みかさの部屋
  赫が入ってくる
みかさ「行くのか?」
赫「咲をよろしく」
みかさ「また機嫌が悪くなるな」
赫「いつもの事」
みかさ「で?例の事は?」
赫「追跡中」
みかさ「わかった」
  
                  終わり

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